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夏の中に、秋がひとつ 〜寒蝉鳴〜

こんにちは。
風待ちロクです🍃🌿

夏の夕暮れ。

昼間の強い日差しが少しずつやわらぎ、

空の色がゆっくりと変わり始めるころ、

どこからともなく聞こえてくる声があります。

「カナカナカナ……」

ヒグラシの声です。



七十二候には、

「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」

という言葉があります。

立秋を迎えたころ、

ヒグラシが鳴き始める時期を表した言葉です。

「寒蝉」と書いて、

「ひぐらし」。

まだまだ暑い盛りなのに、

その文字には、

どこか涼しさが感じられますね。



セミの声というと、

真夏の昼間に聞こえる、

元気いっぱいの鳴き声を思い浮かべます。

ミーンミーン。

ジージージー。

暑さをさらに盛り上げるような、

夏らしい音です。

でも、

ヒグラシの声は少し違います。

夕暮れの中に響く、

「カナカナカナ……」

という声。

どこか静かで、

少し寂しくて、

そして懐かしい。

同じセミなのに、

こんなにも感じ方が違うのが不思議です。



子どものころの夏休み。

たくさん遊んで、

気がつけば夕方。

ヒグラシが鳴き始めると、

「そろそろ帰らなくちゃ。」

そんな気持ちになったことを思い出します。

まだ遊びたい。

でも、

少しずつ暗くなっていく空を見ると、

家へ帰らなければならない。

ヒグラシの声には、

そんな夏の日の記憶まで、

一緒に閉じ込められているような気がします。



「寒蝉鳴」のころは、

暦の上ではもう秋です。

もちろん、

実際にはまだ厳しい暑さが続きます。

冷たい飲み物も欲しくなりますし、

少し歩いただけでも汗をかきます(笑)。

それでも、

夕暮れがほんの少し早くなったり、

吹く風にわずかな変化を感じたり。

自然の中では、

次の季節への準備が、

静かに始まっています。



季節の変化というものは、

カレンダーを1枚めくるように、

突然やってくるものではないのでしょう。

夏の中に、

少しだけ秋が混ざり、

その秋が、

日に日に大きくなっていく。

ヒグラシの声は、

そんな季節の境目を知らせてくれる、

小さな便りなのかもしれません。



夏は楽しい季節ですが、

どこか儚さもあります。

花火。

入道雲。

夕立。

風鈴。

そして、

ヒグラシの声。

どれも、

ずっと続くものではないからこそ、

心に残るのかもしれませんね。



もし夕暮れどき、

「カナカナカナ……」

という声が聞こえてきたら、

少しだけ足を止めて、

耳を澄ませてみたいと思います。

過ぎていく夏を惜しみながら、

少しずつ近づいてくる秋を感じる。

そんな時間も、

この季節ならではの楽しみです。



寒蝉鳴(ひぐらしなく)。

夏の終わりを告げるには、

まだ少し早いけれど、

季節は確かに、

次の場所へ向かって歩いています。

急がず、

焦らず。

ヒグラシの声を聞きながら、

残りの夏も大切に過ごしていきたいと思います。

今日も読んでくださり、
ありがとうございました🍃🌿🌇

風待ちロク 🌿

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