あなたをnoteに書いたら、少しだけ前を向けた。夫の命日に思い出した若い日のこと。
テレビから、懐かしい昭和の歌が流れてきました。
あの頃のアイドルは、60歳を過ぎても、私の中ではやっぱりアイドルのままです。
歌を聴いていると、不思議ですね。
忘れていた景色や、その頃の空気まで、一緒に戻ってきます。
そして私は、あなたのことを思い出しました。
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あなたと出会ったのは、私が17歳の頃でした。
喫茶店でウェイトレスをしていた私にとって、あなたは少し年上の、大人の男性でした。
あなたは私を子ども扱いして、よくからかいました。
私は少し腹を立てながらも、あなたの優しい眼差しが嫌いではありませんでした。
あの頃の私たちは、まさかこんなに長い時間を一緒に過ごすことになるとは、まだ知りませんでした。
時が、少しずつ二人を大人にしてくれたのでしょうか。
二十歳の誕生日にもらった万年筆とペーパーナイフは、今も私の宝物です。
万年筆を見ると、若かったあなたと私が、すぐそばに戻ってくる気がします。

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どのくらい一緒にいたのでしょう。
どのくらい話したのでしょう。
どのくらい愛されていたのでしょう。
そして私は、どのくらいあなたを愛していたのでしょう。
長く一緒にいると、それを言葉にして確かめることは、だんだん少なくなっていきました。
でも、思い出のひとつひとつを拾っていくと、確かにそこに愛情があったのだと思います。
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あなたは地図が好きでした。
高速道路のサービスエリアで地図をもらうと、楽しそうに眺めていましたね。
「地図を見ると、わくわくする」
そう話していた顔を覚えています。

電車の旅にも、一人で出かけていました。
『世界の車窓から』や、吉田類さんの酒場を巡る番組も好きでした。
知らない土地を歩いてみたかったのでしょうか。
いつか、気の向くままに旅をしてみたかったのかもしれません。
二人でキャンピングカーの展示会にも、よく行きました。
定年になったら、キャンピングカーでで旅をしよう。
そんな話もしていました。
私は、その時間が本当にやってくると思っていました。
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けれど、その約束はかないませんでした。
もっと一緒に旅をしたかった。
行ったことのない町を歩いて、知らない景色を見たかった。
地図を広げるあなたの隣で、「次はどこへ行く?」と、もう一度聞きたかった。
そう思うと、今でも胸の奥が痛みます。
それでも、二人で西国三十三所を巡れたことは、私の大切な思い出です。
あの旅に行けて、本当によかった。
道に迷ったことも、疲れて言葉が少なくなったことも、今となっては全部、愛しい時間です。

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あなたが亡くなって、三年になります。
もう、涙は出ないと思っていました。
日々の暮らしにも慣れて、ひとりでできることも増えました。
けれど、この日が来ると、やはり寂しくなります。
時間が悲しみを消してくれるわけではないのですね。
ただ、抱え方が少しずつ変わっていくのかもしれません。

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私はnoteに、あなたのことを書くようになりました。
夫を見送ったこと。一人になって感じたこと。
二人で過ごした暮らしのこと。
最初は、書いたら余計につらくなるような気もしていました。
うまく言葉にできず、何度も手が止まりました。
それでも、ひとつずつ思い出を書いているうちに、気づいたことがあります。
書くことは、あなたを過去に置いていくことではありませんでした。
あなたとの時間を、私の中でもう一度、大切に抱き直すことでした。
そして、誰かが読んでくださり、「私も同じです」「思い出しました」と声をかけてくださるたび、ひとりきりだった悲しみに、小さな灯りがともりました。
あなたのことをnoteに書いたら、私は少しだけ前を向けたのです。
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あなたを忘れない。若かったあなたも。
地図を眺めていたあなたも。
旅に出ることを楽しみにしていたあなたも。
家族のために生きてくれたあなたも。
全部、私の中にいます。

今日は命日です。どうぞ、安らかに休んでください。
そして、私や子どもたちを、これからも見守っていてください。
みんな、あなたのことが大好きです。
「ありがとう。お疲れ様」
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最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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いつも本当にありがとうございます。💐
おその|シニアの保健室
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