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公務員の加賀美│創作大賞感想

 今年の創作大賞は、遅筆ながらも書きつつ、かつ昨年ほとんどできなかった『読む』という行為を並行してできております。完結された作品を中心に拝読していて、(気まぐれに)感想を残すなどもしているため、この際だからさすらいの感想ネキとしての所業を残しておこうかと思いました。
 そしてあわよくば、これをきっかけにその作品を読んで、おもしれぇ!と思ってくださる方がいればみんなハッピー!


公務員の加賀美│アルロンさん

 静かに始まる物語。その数行に目を通した瞬間に、あぁこれはおもしろいわと思いました。文章が丁寧ってこういうことなのよね。職場に絶対ひとりはいる、発言が理路整然としていて話のうまい人っているじゃないですか、ああいう感じです。つまり読みやすいのです。
 主人公を取り巻く環境や人々が丁寧に配置され、春川も広義で同じ職種についていたことがあるので、「あ~こういう仕事あるわ」「こういう人いるわ」と、楽しく懐かしく読んでいきました。頑張れ~と応援したくなる主人公と、徐々に垣間見える不穏(?)な空気。ある場面から、その理由が明らかになっていき、冒頭や幕間に散りばめられた描写とリンクしていく構成がお上手です。
 最終的にはちゃんと救われますし、労働っていいもんかもしれねぇ!と思わせてくれる読後感でした(でも春川はできれば働きたくない)(すべての働く皆様ごくろうさまです)。



 最終話にて寄せた感想↓(長い)
 微妙にネタバレあるかも。

 書き下ろしの新作ということで、気づけば一気に読みすすめておりました。 昨年の潜入捜査くんを読んだときにも思いましたが、頭の中に絵が浮かんでくる表現が本当にお上手ですね。何が起こっているのか、そして何故そうなったのかが自然と読む側に伝わる、またそうなるようにと意識して丁寧に綴られた、気遣いと配慮の溢れる文章だと感じます。だから読んでいて楽しいのでしょうね。
 胸を打つ場面はたくさんあったのですが、印象に残っているのはやはり終盤の吉門氏の「公務員にとって大切なのは~」の言葉でしょうか。
 公務員というのは、利益を追求する職種ではありません。経済を大きく発展させることも、爆発的に娯楽を生み出すこともありません。正直、つまらない仕事も多いです。(※公務員経験者ゆえの発言です。仕事を蔑む意図は無いのでお許しください🥲)
 けれど、誰かがやらなければならない仕事をやっている、という意味では社会に不可欠な存在だと思います(そうであってほしいという願望含む)。
 世間の優位に立つ仕事だとも、目立たないからと卑下される仕事だとも思いません。ただ粛々と、世のため人のためになれることはないかと悩んで行動する。まさに、人に寄り添うことが公務員の仕事なのだと、改めて深く共感しました。
 中盤、主人公の静夜くんの中にあった暗い感情が湧き上がる場面は、ぐっと胸が締め付けられるとともに、そんなことはないんだよと声をかけたくなりました。のちに、同僚たちからの温かい言葉によって彼が救われる展開も素敵でした。
 公務員という職種を題材に、人の心の奥底を映し出した作品で、読者の中にも、その気持ち分かる!と共感できる方は多くいらっしゃるのではないかと思います。またそれだけでなくて、今日もどこかで働いているであろう、いち公務員の存在や、もっと広く、働く全ての方への思いを馳せるきっかけとなる作品だと思いました。

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