第11話 二人三脚
子どもが小学校に入学すると同時に、フルタイム正社員で働くことを決意し、今の会社に転職した。それまでに取得していた資格が、転職を後押しした。
25年の間に、会社の業績は毎年伸びに伸び、顧客も営業人数もぐんぐん増えていった。
水野さんと私は、二人三脚で営業所内の事務作業や、運営に関わる雑務を全て引き受けていた。私の意識としては、2人チームとしてこなしていた、といういい関係だった。
どちらかが休みのときはフォローし合い、忙しいときは助け合う。もちろん、どちらかが主導権を握ったり指示したりすることはなく、それぞれが自ら動いて協力し合っていた。
気心が知れていて、頼りになる1番近い存在。それが水野さんだった。
「水野ちゃん! 今日、請求書まとめたいの。手伝ってもらえる?」
「大丈夫! そろそろだと思っていたから、予定してたよ」
阿吽の呼吸、というべきだろうか。良いコンビだったと思う。お互いの家族の話もしていて、その点でも理解者だった。
「私たち、年々忙しいよね」
「営業職の増員はあっても、事務職の増員はないもんね。西沢さん、有給休暇、ずっと取ってないよね……」
「うん……うちの営業所は顧客人数も何倍にもなってるし、経理も1人じゃやりきれないよ……営業だけじゃなく、事務員も増員してくれないかな」
そんな話題が、少しずつ多くなっていった。
水野さんはパート勤務だったので、負担はかけられない。その分、私が頑張らなくちゃ。
皮肉なことに、業績が良くなるごとに、私たち事務員は目の回る忙しさになっていった。
それでも。
やりがいは、確かにあった。忙しい中にも、充実感があった。
水野さんとともに営業所を支え、盛り上げ、運営がスムーズにいくように心がけているだけで、私の評価は上がった。
今思うと――あれが、全盛期だったんだな。

