働く意味が分からなくなった数年間の話
1日のうち1/3程度の時間を使って私は毎日働いている。職種によってはこれが1/2以上という人もいるだろう。
これだけ「働くこと」が人生に占めるウエイトが大きいのに、「なぜ働くのか」とか「いい働き方とは」って、これまでしっかり考えたことがなかった。
それがここ数年で深く考えるようになり、44歳になった今、ようやくその答えがうっすら見え始めてきた。
自分の気持ちを整理するために。そして似たような悩みを持つ人がいたら考えるきっかけになるように、今私が考えていることを書いてみたい。
そもそも数年前まで「いい働き方とは」なんて考えなくてよかったはずなのに
私の親世代。いわゆる高度経済成長期といわれた1950年代から1970年代は、「なぜ働くのか」とか「いい働き方ってなんだろう」なんて口にしようもんなら、「そんなこと言ってないでとにかく働け」と返されただろう。
根性論が大手を振るう時代で、働くことに対する疑問を口に出しちゃいけないような空気があったと思う。(経験してないからホントのところは分からないけど)
実際、「いい働き方ってなに?」なんて考えなくても生きていけたのではないか。
サラリーマンであれば、一旦就職すれば定年まで会社が手厚く面倒をみてくれた時代だ。
レールを外れなければ、年功序列で出世して、給料もだんだんと上がっていくのがスタンダードだった。きっと、がむしゃらにやることが正解だっただろう。
私が生まれた1982年になっても、まだまだ一生懸命働くのが正解とされていた。
そこには「なぜ働くのか」とか「いい働き方とは」なんて問いかけはやっぱり存在しなかった。
『24時間働けますか』なんてフレーズと共に、仕事に生きるのがカッコイイという価値観すら作り上げられ、バリバリ仕事に生きることが正解とされてきた。
『勝ち組』なんて強ワードで、勝ち負けを明確に定義付けられ、負けたくなければいい学校に入って、いい仕事に就け、と教育された。
言われた通り、私も世間で言うところのいい大学に入っていい会社に入った。
聞いていた話では、これで将来安泰のはずだった。
はずだったのに……。
2020年頃から急に雲行きが怪しくなった
仕事にも慣れ、さぁここからアクセル全開で頑張るゾ!という30代後半の脂の乗った時期に、『働き方改革』が言われ始め、仕事をしたいのにブレーキを踏むしか無くなった。
一生懸命働くことの裏側にあった、パワハラや過重労働などのブラックな環境にようやくスポットライトが当たったのは良かったが、ブラック、ホワイト関係なしに皆が一斉にブレーキを踏んだことで、どうやって限られた時間で成果を出すのか工夫をしたり考える必要が生まれた。
ここにコロナのパンデミックが起こった。
コロナによって、さらに働き方を工夫する必要が生まれ、がむしゃらに身を粉にして働く従来のやり方しか知らない頭の固い人たちは一斉に悩み始めたように思う。
さらに間が悪いことに、このタイミングで、(頭が固くて時代の変化に順応しきれず、恐らく働き方に悩んでストレスを溜めまくった)上司から、ひどいパワハラを受けるようになった。
メンタルもやられた結果、一生懸命働こうとか、出世したいとか、この会社のために尽くしたいとか、そういう気持ちは全て霧散した。
こうなると、働くことの意味そのものを考え始めるようになった。
何のために働くのか考えれば考える程、孤独になった
もう今の仕事を辞めてもいい。そこまで思った時、どうして働き続けるのか。どういう仕事を自分はやりたいのかを改めて考えるようになった。
本当は同僚や上司に相談したかったが、会社では誰も自分と同じように悩んでいる素振りを見せる人はいない。
それなのに会社からは「キャリアは自ら選び、形成するものです」なんて言われて前向きに行動することが正解とされる。
こんな風に悩んでいるのは自分だけなのだろうか。
前みたいに目の前の仕事にまっすぐ向き合えない自分は欠陥品なのだろうか。
会社が求める「自律的にキャリア形成していく社員」になれないとしたら、ここで働く資格はないんじゃないか。
「何のために働くのか分からないんです」なんて言えなくって、一人で孤独に数年間悩んだ。
その間にnoteを始めて「書くこと」の楽しさを知り、メンバーシップ運営やSNS運用が思いのほか自分の強みを活かせることを発見した。一時期は本気で本業を辞めて「書くこと」を仕事にしようと考えたりもした。
そして昨年、新しい上司になって初めて悩みを打ち明けた。ほぼ同年代で、何を言っても受け止めてくれそうな優しい人だったから、一歩を踏み出すことができた。
優しい上司は、「君だけじゃないよ。みんな悩んでるし、僕だって悩んでる」と言われて、ようやく冷静に「自分にとって働く意味」を考えられるようになった。
人が働く理由は3つある
生成AIの力も借りて働く理由について整理してみた。大きく3つ挙げられると考えている。
① 生活するため
まずはシンプルに生活費を得るために働く。
これは全ての土台となるので外せない。
食べる。住む。そして家族を守る。って大事。
毎日切り詰めて我慢ばかりの生活はしんどい。
ローンやカードの督促電話が毎月かかってくるような状況はやっぱりきつい。
決して贅沢はしなくていいけれど、家族が笑顔で暮らすために一定以上の収入は必要だと思う。
そして何気に今のご時世、家族が不安なく過ごす為のハードルは結構高いと感じている。
② 社会と繋がるため
自分の存在が誰かの役に立っていると確認する為に働く。誰かの今日を支えている実感は、自己肯定感を満たしてくれて、穏やかな気持ちになれる。
製薬企業で働いている私の場合、やはり患者さんやそのご家族のために働いていると実感できた時に喜びを感じる。
あとは社内外の人間関係の綻びとか、うまく流れていかないところを調整できた時も嬉しい。
自分ひとりじゃなくて、誰かとつながっていると感じた時、やりがいや充実感を感じるのだと思う。
③ 自分を使い切るため
自分の好奇心に素直に従ったり、強みを活かして一生懸命がんばったりして、「ああ、今日は自分をちゃんと使ったな」と思える感覚で一日を終えると幸せを感じられる。
その為にはその仕事に真剣に向き合えること、持っている能力をフル稼働させることが大切になる。
これを続けられると、自身の成長にも繋がって、出来ることが増えて、益々働くことが楽しくなる。
大事なのは、この3つのうちどれが欠けてもダメだということ。
①がないと生活が立ち行かない。
②がなければ、やりがいがない。
③がなければ、これでいいのかな、と不安になる。
これは自分にとってのいい働き方の必要十分条件だと思う。
いい働き方って、「好きな仕事をする」ということではない。
それよりも、自分の性質や強みが、その仕事の役割と合っている状態であることの方が大事。
どんな仕事をするか(What)よりも、どんな風にその仕事に向き合うか(How)の方が、幸せに働く上では大事だということにようやく気が付いた。
モヤモヤから抜け出して気持ちに整理がついてきた今、これからどんな風に働こうかワクワクしている。

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