やればよかったと思う前に、本を作ることにした
自分の書いた文章が本になる。
初めてそんな経験をしたのは17年前、博士論文を書いた時でした。
その時は、研究室の先輩方が書いた論文を参考に、自身の研究内容を一生懸命に記載しました。
研究論文ですので書き方に自由は無くて、正解だけがある世界でした。指導教員によって綺麗に整えられて、最終的には私が書いた文章とは言えないものだった気がします。今ならAIでも書けるような正しい文章。
だからでしょうか。製本されて仕上がった本は、私の研究の記録に違いないのですが、自分が作ったという感覚はありませんでした。
嬉しさよりも、区切りをつけた安心感の方が大きかったように思います。
父は本を見て「我が子がついに博士になった」と大いに喜んでくれましたが、私の中では喜びよりも、これからの社会人生活に対する期待と不安でいっぱいでした。
それから仕事に全力を尽くした30代を走り抜けました。
山あり、谷あ……!谷!がけ……っ!くっ……!また谷っ!!の先には悩みだらけの40代が待っていました。
ボロボロの私が偶然出会ったnoteという街で、これまた偶然出会った人たち。みんなそれぞれ全く別の人生を歩んできたのに、どこか似たような悩みを抱えていたことに、ほっとしました。
そして何よりここには「書くこと」を楽しんでいる人が沢山いました。
そんな人たちと、今度一緒に本を出します。
それこそ20年前は個人が本を出すって高額な自費出版しかなかったわけですが、今ではその方法も沢山あります。今回私はZINEという形で自分の書いた文章を本にします。
最初に作った博士論文とはまったく違う本です。
正解はありません。自分たちで勝手に出すので、こうしなければ、という決まりもありません。売れる必要もありません。(いや、売れては欲しいんですけど)
noteで知り合った人と私の2人が書いたエッセイやショートショートが入っています。好きな文章を好きなように載せました。
装丁も、編集も、間に挟んだミニコラムも、本の宣伝ポスターも。全てお手製で、協力くださった皆さんの手で本が出来上がります。
正直、ここまで嬉しいものとは思いませんでした。
自分の言葉と発想で生み出した作品は、客観的に評価されてもされなくても我が子も同然です。自分が面白いと信じ、世界一可愛いと思って生み出した作品たち。そんな作品たちがちゃんと本になって、誰かの目に触れるかもしれない。
出来の悪い子ほど可愛いと言いますが、違います。どんな子でも可愛いし、うちの子たちは出来も良いんです(笑)。
それくらいの気持ちが込もった本が出来ることを、本当に幸せなことだと思っています。
昔はやってみたくても、簡単には出来なかったことが沢山ありました。
個人で本を作るのもそうですし、ゲームを作ったり、音楽を作ったりするのも、今ではなんでも手軽に出来ます。会社だってその気になれば作れてしまいます。(作った後、維持するのが大変ですが)
やってみたいなぁ、と指を加えたまま人生最後の日を迎え、やれば良かったと思いながら終わるのは面白くないと私は思います。
それならば、やってみてその先にどんな景色があるのかを見たいです。やっぱり新しいがけかもしれないけど、転んだ経験もまた「書いて」面白くすればいい。
だから今回、自分も挑戦してみました。
44歳になって本を出すことをきっかけに、私の人生は確実に新しい道に入っていくと感じています。
先日、かつての大学研究室の同期や先輩と会いました。皆それぞれ、研究室時代の経験をベースに、同じ業界で着実にキャリアアップしています。
そんな中で私1人が、「今度本を出すんです」と言いました。彼らも最初は『仕事がうまくいかなくて趣味に走った可哀想な奴』と見ていたかもしれませんが、あまりに私が楽しそうに話すので「買いに行くよ」と最後は応援してくれました。
言いたいのは、ひとつの業界で一生懸命頑張ることと、私のように仕事以外の道も進み始めることで、どちらがいいとか悪いということではありません。
大事なのは、自分が楽しいと思った道を進めていること。自分の気持ちを誤魔化さずに、やりたいことをやれていること。それが一番大事だと思います。
そして今、間違いなく楽しいです。
これから何が起こるか分かりませんが、目の前で起こる出来事を全身で楽しみたいと思います。
まずはこの可愛い可愛い我が子を携えて、2026年2月15日のZINEフェス横浜に参戦します。

(追記)
ZINEフェスに参加した感想がこちら。
出来上がった本がこちらから買えます👇

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