毎週ショートショートnote 『接吻代行』
彼は顔が良い訳でも、会話が面白い訳でも、セックスが上手い訳でもなかった。
ただ、私が一番落ち込んで、駅のベンチで酔いつぶれていた時、120円の水と優しい言葉をくれたひとだった。
「自分を大切にしなよ」
優しいだけのひと。
でも、それだけで良かった。
世の中にはゴミみたいな男しかいないから、彼の言葉と存在が癒しだった。
いつも会うのは金曜日の夕方と決まっていた。
最初の頃は外でご飯を食べることもあったけど、最近じゃコンビニ弁当を私の部屋で食べてセックスするだけ。
それでも別れ際にくれるキスが好きだった。
「金曜日だけじゃ足りないよ。週末も会いたい」
勇気を振り絞ったわがままも通らなかった。
そんなある日、見てしまった。
彼が妊婦と並んで駅の階段を降りていた。
ナアンダ。オマエモカヨ。
今日は節分の日だ。帰って3人の幸せを願うのだろう。
私は所詮、妊娠中でセックスできない奥さんの身代わりだった。
あの偽りのキスのお礼に、鬼は外に落としてあげる。
(410字)
たらはかにさんのショートショートに参加します。
こちら、表のお題のお話とセットになっています。
金曜日はこの女性と会っていたようですが、妻は旦那が帰ってこないと不満があったようです。
さて、金曜日以外は誰と会っていたのでしょう?
そもそも押したのはこの女性??
いやぁ、自分で書いてて怖くなりました。
なんのはなしですか
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