お気持ちだけ、って言われると試されてる気分になるよね、の話
「えーー??いいんですかぁ?!」
時間は17時過ぎ。残りの体力5マイトン。
半分死んだ目でパソコンに向かっていると、前のデスクの女子が突然歓声をあげた。
会話に入る元気はなかったので、視線はそのままに、それとなく前をうかがう。
どうやら、グループのリーダーがメンバーの女の子2人と話しているようだ。
「これ、ホワイトデーのお菓子。こうてきたわ」
おや?
ホワイトデー ダト?
これは聞いてないふりをするしかないやつだ。
なぜなら、わたしはホワイトデーをスルーした男。というより、うちの職場ではこういうやりとり自体が珍しい。
瞬時に空気を察した私は、とりあえずパソコンを続けるフリをしながら、耳だけ前に全集中する。
「えーー、私たちバレンタイン何もやってないんですけど」
そうなんだよ。そういうのやらないのがうちの暗黙のルールだよねぇ。
それなのに、さすがリーダーやな。
そう、うちのリーダーはすごい。
いつもメンバーにちゃんと声がけをしているリーダーのおかげで、グループの雰囲気は大学のサークルみたいに仲が良い。
これまでいろんな部署に所属してきたが、チームビルディングが上手な人だと感じているし、マネージャーとして尊敬もしている。
だからこそ、女の子たちに気を遣うのは、いつも通りのリーダーという感じもしたし、むしろ何も用意をしなかった自分を少し恥じた。
「えーー!!なんですかこれ?めっちゃずっしりしてるー」
「たしか、あんみつやったかなあ」
「あんみつ!うれしい!!……あんみつ。あんみつ。あんみつ……」
女の子のうちの一人があんみつの海に沈んで行ったのを聞きながら、うっすら聞こえてきた「えいたろう」というワードを頼りに検索する。
これか。
※アマゾンアソシエイトはやってません。
まあまあええやつやん。
やるなリーダー。
その間も、女の子たちは、うれしそうにリーダーへの称賛の声を送っている。
「いやいや、まあええんよ」
と言いながら席に戻ったリーダー。
んはっ!
無意識に気配を消そうとしていたらしい。
しばらく息を止めていたことに気が付かなかった。
なんやねん、めっちゃ気まずいやん。
体力残り2マイトンなったわ。
すると、「ピコン」とメール受信のポップアップが開いた。
メールはさっき席に着いたばかりのリーダーからだ。グループの男全員宛のようだ。
「さきほど、女の子たちにホワイトデーのお菓子を渡しておきました。お代はお気持ちだけでいいですよ」
はぁ?
ってごらぁぁぁあああああ!!!
渡す時ひとことも、男性陣一同より、って言ってなかったやんけ!
さも、おれひとりで買ってきましたけど?って顔してたやんけ!!
「たしか、あんみつやったかなあ」
やないねん!
なに しらこいことゆーとんねん!!!
今思い返せば、リーダーがいつも声がけしているのは女性陣3人ばかりだった。
てっきり、若い子を気遣ってるのかと思ったけど、この一件でわかったわ。
お前、ただの女好きやんけ!!!
さぁて、この「お気持ち」どうやって返させてもらおーかのぅ、ほんまに。
とりあえずこのコテコテの関西弁なったん、どーにかしてもらおかー?おぉ?
ほな、言わしてもらうで!!
なんのはなしやねん!!
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