創作大賞2025感想文 : ももまろ うめこさん 『火遊びウサギは笑わない』
安優香というキャラクターは、混沌の中に人間の真実を詰め込んだ存在だった。
そして、その真実に触れることで、わたし自身もまた、少しだけ赦された気がした……。
今回読んだのはこちらの作品だ。
主人公の瑠璃が、合コンで知り合った安優香とのやりとりを通じて、自分のことを理解し、赦していくお話だ。
読みながらずっと感じていた。
話が進む度に、明らかになる安優香の身の上話がスゴすぎる。
作品の中で、安優香の話を聞いている瑠璃以上に、こちらの感情が追いつかない。
本当なら、情報が渋滞し、理解しきれない人物が出てきたら……読みながら「これはどうしたらええねん」となってしまいかねないのに、ももまろさんの作品はそれを許さない。
展開が面白く、次が気になって最後まで読んでしまう。そして、最終話までたどりつくと、とても人間らしいお話を読めたなって肩の力が抜ける。
元来、ひとは孤独なのかもしれない。
自分のことを理解してくれる人なんて、そんなにいないのが当たり前だ。それでも、社会の一員として、ちゃんとしなきゃって毎日もがいている。
そんなしんどい毎日で、突然誰かとつながるチャンスの扉が開く。そんなとき、ひとは、安心の涙を流して、共鳴を喜び、そして笑うのだ。
ここでタイトルに戻りたい。
火遊びウサギは笑わない。
笑わない火遊びウサギが笑う時、瑠璃の人生はどう変わるのだろうか。
そして、読者の人生はどう影響を受けるのか。
誰かの真実に触れたとき、自分の中にも、小さな赦しが芽生えることがある。
これは、そんな静かな共鳴の物語だ。
ぜひ、あなたにも届いてほしい。
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