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福島のお菓子でほっとした思い出

福島土産

東京で働いていた頃、盆や正月明けは、地方出身のみなさんが帰省のお土産を買ってきてくれることがよくあった。
たくさんお土産をいただくなかで、ひときわ覚えているのが福島土産のお菓子である。

福島出身のその人のセンスがいいのか、福島のお菓子のレベルが高いのか、福島土産はどれもすごくおいしかったのだ。

王道の『ままどおる』はもちろん大好き。会津の『太郎いも』も、見た目もかわいくて美味しかった。そして、衝撃的だったのは『柏屋薄皮饅頭』。見た目は素朴な普通の饅頭なのだが、さらさらほろほろの、ひんやりしっとりしたこしあんが、格別だった。饅頭ってこんなに美味しいものだったっけ?と衝撃を受けた。

いざ福島へ

そんな福島に、初めて旅したのは2018年のこと。
2011年の震災の時、私は学生で九州にいた。東北に知り合いもいないし、行ったこともなかったから、まるで遠い国のことのように感じていた。
青春18きっぷを使って、福島を一周しようと計画して初めて、いまだ(当時)全線開通していないことを恥ずかしながら知った。

東京から常磐線でいわきへ。原発事故で開通していない区間(富岡〜浪江)は振替バスに乗る。浜通りを北上し、宮城の岩沼駅で東北本線に乗り換え、中通を南下し東京まで。

いわき駅に着く前あたりから、だんだんと街が新しくなってくる。新しいということは、被災して建て直したということなのかと思うと怖かった。

いわきから富岡までは、どんどん海に近づいていく。浜がつく駅名でどきっとした。もう海はすぐそこか、と。
富岡から浪江までのバスでの景色は胸が締め付けられた。駅にある線量計。海辺に置かれたたくさんの黒い袋は、おそらく放射線汚染物質だろう。潰れた家も、割れたガラスも、そのままだった。

いわき駅で出会った『じゃんがら』

いわき駅で見つけたのが、『じゃんがら』というお菓子。小麦の生地であんこをサンドしたようなものなのだが、他に似たものがなく、例えるのは難しい。

すごく甘くてねっとりしている。でも、その濃厚さが恋しくなるのだ。
1つだけ買ったのだが、気に入ったので、帰りに福島駅や郡山駅で買おうと思っていたら、なかった。いわき銘菓だからだろう。残念だが、いわきでしか買えないのも、より価値が高まる。

お菓子にほっとさせられる

バスから見た景色と、じゃんがら。形あるものはなくなってしまっても、銘菓という伝統や文化は残していけることをしみじみと感じた。そしてそれが、生活必需品ではなく、甘いお菓子というのにもほっとした。こういうものが、心を癒し、復興のエネルギーになるんだろうな、と思う。

地方に行くと、その土地の銘菓を探すのが好きになった。どんな物語が、その土地で生まれ、ここまで愛され育ってきたのだろうとわくわくさせる。長く愛される銘菓は、きっとたくさんの人たちの心を救っている。

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