見出し画像

カカオを見に京都府立植物園へ

このところ、お財布は板チョコの価格高騰によって静かに危機を迎えていませんか。この資本主義の不条理は突き止められるべきかと、私は京都の温室へと潜入しました。
2月下旬、京都府立植物園では、梅の開花が始まり、梅園ではほのかにつーんといい匂いが。
京都府立植物園の創立は1924年(大正13年)1月1日。日本でも屈指の標本数を誇ります。

主に花梅(はなうめ)を中心に約60品種が植えられています

天気は曇り。

二分咲きほどでした

咲いていたのは20標本ほどで、木から木へと移動し匂いを比べました。
最高気温が13度あたりの予想で、風もなく、京都にしては暖かい日。
だからでしょうか、開花が促され、いっそう香りが立ち込めます。
厳しい冬の寒さの中でいち早く花を咲かせる梅は、強靭であることが注目され、また再生を象徴します。
先行きが不透明になっている今だからこそ、梅から、強靭であれかしと思い起こさせられることは、勇気につながります。かといって、現実の深刻な日常に抵抗できるのか?!
経済の乱高下は乱暴に襲いかかってまいります。

トランスカルチャーは、食の分野で盛んです。
今、梅━こちらは食べる梅です━とカカオを掛け合わせるお菓子が話題とのこと。
日本では、長らく「甘み」が美味しさと同義に受け止められてきました。
世代が変わってきたからか、苦味、酸味、さらにはその掛け合わせで、新しい食の分野を切り開くマイスターが誕生しているらしい。
梅の香りを嗅ぎながら、チョコレートの匂いにもなぜか鼻がくすぐられます。

いざ、大温室へ!

京都府立植物園の大温室は、日本一コレクションが充実しています。今のガラス温室の開館は1992年。地下鉄が真下を通ることになり、従ってかなりの区分地上権設定補償金、つまりは地下使用料が入って大改築が実現しました。どこも経済の論理からは逃げられません。笑

オレンジピンクの花がなんとも魅力的

植物の美しさの秘訣は、保存のためのもうひとつのバックヤード温室にあります。
植物たちを開花させ、次の年にまた観覧温室に飾るためには、適切な時期に花が咲くようにコントロールすることが必要ですよね。
大改築以前にも、日本で屈指の業者が納品したテクニカル温室があったが故に、「見頃」の花が次々と陳列されてきました。驚いたことに、私の父親も技術系会社員としてバックヤード温室を納品していたと最近知りました。ちなみに、植物園に確認したところ、地下使用料によって、父が納品した少し後に何倍もパワーアップした、今の温室を建てたとのこと。これが日本で名実ともに最も充実した大温室です。

4つの気候の違う温室からなる

さて。
特に、何年も前から気になってきたのは、カカオ。
カカオは、桜のようにいきなり幹から花が飛び出します。

カカオの花

大温室の扉を開けた瞬間、2月の京都の寒さに油断していた私のメガネは完全に真っ白になり、そして当然カメラのレンズも使い物がない状態に。1ミリの視界も奪われた状態で、私は「神の食べ物(カカオ)」の匂いを鼻だけを頼りに追跡する彷徨う者と化したのでした。
なので、観覧温室で撮った写真は昨年11月のもの。世界一のカカオ産地であるガーナでは、雨季にあたる4月から7月が開花ピークなのだそう。

明るいブラウンの全長8cmほどの実がなっている(2月18日撮影)

先ほど、「神の食べ物」とさらっと書きましたが、カカオ(学名:Theobroma cacao)は、南米原産のアオイ科に属する常緑の熱帯植物(フルーツ)で、ギリシャ語で「神の食べ物」を意味し、古来、貴重な栄養源や通貨、儀式の供物として神聖視されてきたとのこと。
気になりますよね、昨年来のカカオの先物市場での高騰ぶり。

これくらいの大きさになると収穫どき

板チョコ1枚の値段、昨年からほぼ2倍になりましたね。
ポンポン・チョコも今のところ2倍程度。ですが、ガーナでカカオ取引を大々的に扱う大手商社マンによると10倍程度まで上がってもおかしくないとのこと。

水滴がき潤っている様子が生々しい
斑入りの葉と白い花の蘭

もちろん、旅人の木、バオバブがあったり、ヘリコニアが咲いていたりと、目を奪われるものはたくさんあります。

タビビトノキ
カリブで何種類も、またよく見かけたヘリコニアは湿度の高い温室にある
アフリカ各地に由来するバオバブの陳列室はカラッと乾いていて気持ちがいい

圧倒されたのは、沙羅の木でした。背が高くて、とっぷり見上げました。https://www.facebook.com/100000772426818/videos/a.26125904503685274/2270522410142721

沙羅双樹は、インドで仏陀がニルヴァーナに向かう際に、その近くで瞑想した木。

ディープ・グリーン

濃い緑って、後からわかるのですが、リラックスをもたらします。

深緑色の乾燥温室にあった植物
「紫紺」がディープグリーンに覗くとこんなに鮮やか
赤い茎が妖艶さをかもしているような

本当でしょうか?
緑色は副交感神経を活性化させ、心拍数や血圧を下げる効果があると言われています。

蕾、可愛すぎ

温室では、ムワッと香りが襲ってきて、生命を感じさせられます。
『なぜ花は匂うのか』は、植物学者牧野富太郎が晩年に綴った珠玉のエッセイ。牧野博士に思いを馳せてみてはいかがでしょう?

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集