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本という、タチの悪い宝もの。

大掃除をしていて、あらためて「参ったなあ」と思ったんです。

本のことです。

買ったときは、あんなにワクワクして。

「よし、読むぞ」なんて意気込んで。

読み終えたら、またいつか読み返すつもりで、大事に棚に並べる。

でも、正直に言えば、読み返すことなんて、まず、ない。

それなのに、本棚にぎっしり並んだ背表紙を眺めていると、そこには「その時の自分」が、恥ずかしいくらい、そのまま置いてあるんですよね。

ああ、この頃はこんなことに夢中だったな、とか。

こういう自分になりたかったんだな、とか。

そうなると、もういけません。

新しい本を置く場所がないから整理しようと思っても、一冊一冊に、かつての自分の「カケラ」がくっついている。

パラパラとめくった瞬間に、当時の空気がふわっと戻ってきて、「やっぱり、これ、捨てられないや」ってなる。

本って、もしかしたら

この世でいちばん「タチの悪い」存在かもしれません。

だって、それはただの紙の束じゃなくて、自分だけの「ちいさな宇宙」の集合体なんだもの。

それを手放すっていうのは、自分の一部をちぎって捨てるような、なんだかそんな怖さがあるんですよね。

かつてメルカリで、「元気でね」と泣く泣く送り出した本もありました。

なのに、棚の奥から全く同じ本が3冊も出てきたりして。 

「どんだけ好きなんだよ」と自分にツッコミを入れながら、でも、そのマヌケさも含めて、なんだか愛おしくなっちゃう。 

みなさんは、この「増えつづける宇宙」と、どんなふうに折り合いをつけていますか?

たぶん、正解なんてないんでしょうね。 

でも、本に囲まれて「困ったなぁ」と笑っている時間も、それはそれで、けっこう幸せなことなんじゃないかな。

わたしは、そんなふうに思うんです。

皆さんはどう思います?

もうソウ太郎


『ピンボケの幸福論』

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