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ライブと居酒屋は行けるうちに

久々に店に来た友人がいつものように前置きなしで語り始めた。違うのはいつもの与太話なんがじゃなく、静かながらも明確な意志が漏れていたことだ。

詳細はもちろん割愛だけど、日本屈指のスキーリゾートで旅館を構えていた御実家が再開発で転機を迎えているという。
彼は50。その自分の節目に合わせて東京を引き払い地元の再出発に加わろうというのだ。
聞かなくても分かっていたけど、「それは前向きに?」    念のため。
当然だった。前途があり条件もそこそこ。
それを語る彼の、韓国ドラマを一日中観て腫れたおした瞼の奥の眼はたしかに輝いていた。

そこでキッチンカーを出す。
彼がくれた提案だ。
季節工、期間工、リゾバか?笑

全国を飛び回りながら料理をして酒を紹介する。遊ぶように働き、大真面目に遊ぶ。
またこの考えが頭をもたげる。

しがみつく気はないなんてうそぶいてみても、結果的に何も成し遂げずただ店を維持することに終始する日々には眩しすぎる提案だった。
当然東京に思い入れはある。引かれる後ろ髪だっていつのまにかとっても長い。
とはいえこのままオワる今生のはずもない。

転機。こちらから迎えにいくのか。あちらからやって来るのか。
重い腰を上げる気になった時がそれなのかもね。

ライブと居酒屋は行けるうちに。



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