修論提出できました!①
「Pineapple Cultivation in Early Modern Dutch Republic: Byzondere Aenmerkingen (1737) by Pieter de la Court」という題で、2026年1月15日に無事に修士論文を提出できました。12月中に書き終わる計画が伸びに伸びて、結局最終日になってしまいました…。文字数下限の20,000words達成したのが確か11月終わり頃で、「もう終わりが見えてきたな」から長く、最終的には上限ギリギリの31,200wordsになってしまいました。
指導教員やゼミの先輩、オランダの先生方、そして身近な友人たちには本当に感謝の気持ちでいっぱいです。役立ったツールや執筆の経過、修士課程を振り返って思ったことなどを忘れないうちに書き残しておきたいと思います。今回は役立ったツールや執筆の経過を公開します。
課金してよかったツール
① Grammarly
課金はおそらく修士課程に入る前からしていたと思います。当時と比べるとかなり進化しているんじゃないでしょうか。今はwordにも自動校閲機能がついていて、ワンクリックで修正できるのですが、それと二重で使っていました。書いていると下線が引かれて、それにカーソルを合わせると修正提案が表示され、クリックすると修正案が採用されます。
私自身英語の文法がかなり怪しいため、Grammarlyのおかげでスイスイ執筆できてとても助かりました。
② 『アカデミック・フレーズバンク そのまま使える!構文200・文例1900』(2004年、講談社)
こちらは英語版(原文)が無料でアクセスできます(https://www.phrasebank.manchester.ac.uk)。ただ非ネイティブ的には、ブラウジングがしづらいのものあって、あまり活用できていませんでした。
ちょっと高めですが邦訳版だと日本語から探せるので、ストレスフリーにしっくりくるフレーズを選べて良かったです。Kindleで買っていたので、使いたいフレーズをそのままコピペできました。
また、フレーズバンク自体が先行研究把握→問題点の指摘→自身の研究課題→…のように、文章のフローに沿って構成されているため、イントロダクション・コンクルージョンを書く際、上から順番に語を拾っていくと勝手に綺麗な流れになるのが個人的にとても助かりました。
③ Perlego
Perlegoは日本ではあまり知られていないのですが、学術書・専門図書を中心とした洋書のサブスクです。
円安なので、今の価格だと年間2万円くらいだと思います。2022-23年の留学中に契約して、それから毎年ずっと更新しています。高くはあるのですが、読みたい洋書の学術書の6~7割がこのサイトで読めてマーカーをつけられるので、便利さが勝ち続けています。1冊洋書買おうと思ったら高いですし、全部が大学図書館に入っているわけではなく、あったとしても大学図書館に行って探して…という手間もあるので、思い当たった時にすぐパソコンで読めるというのがありがたいです。目当ての本を探しているときに、同じ検索ワードで似たような本も引っかかってくるので知見が広がります。
アップル製品を学割で購入する際経由するUNiDAYSや、Student Beansといったサイトから学割クーポンを探して購入すると、割安になると思います。
④ Historische woordenboeken Nederlands en Fries(無料)
これはオランダ語特化で課金ではないのですが、古いオランダ語について複数のオランダ語辞典を一括検索できるウェブサイトです。17~18世紀の文献を読んでいたので、とてもお世話になりました。昔のオランダの研究をしたくて課金するのであれば、『オランダ語史料入門』(2023年、東京大学出版会)にいろいろな情報がまとまっており大変便利です。
WORDについて
修論を終えて、wordも若干前より使いこなせるようになったと思います。明確に教えてもらったというよりも、去年修論や博論を書いていた先輩や、知り合いのやり方を横から見てなるほどね〜と思ったので、特に役立った部分について、ピアが居ないor/and指導が手薄な学部生・院生に向けてあえて書き残しておきます。
各章ごとにファイルを分けて最後に統合:一つのファイルに別のファイルをインポートする方法もありますが、どうしても表の書式やインデントが崩れてしまったので、全選択→コピー→(書式を保ったまま)ペーストという古典的な形が個人的にはスムーズでした。
Split Viewで作業する:分量が長くなったり、修正の段階に入ってくると、何ページも跨って上にいったり戻ってきたりという作業が入ってきます。Split Viewを使えば2画面で作業できるので、長大なスクロールをする手間が省けて楽になりました(提出直前にパートナーから教えてもらいこの機能を知る)。
見出しを設定すると、サイドパネルで飛べるようになります。
執筆の経過
夏休みまでには、使う資料について大体の下訳を終えていました。初期近代オランダにおけるパイナップル栽培については、M1の頃からひととおり発表を重ねており、ある程度見通しはついている状態でした。
10月半ばには研究科での中間報告と国際セミナーでの発表があり、あんまりよろしくないかもしれませんが、この時点では資料をどう調理するかは決定していなかったと思います(最終的に提出した論文のテーマは、中間報告での方向性とは異なる形になりました)。
中間報告を終えて書き始められるところからということで、資料の中から面白いと思った部分を抜き出してquoteとその説明の形で整理しました。それに加えて、パイナップル関係のこと、de la Courtの伝記などを書いていたら12月には20,000words前後(所属専攻の文字数下限)になっていたと思います。このくらいから、修論の全貌がぼんやり見え始めてきて、「逆に論文で達成できなさそうな点が最大の欠点に見えてくる」・「この論文って何が面白いんだろうという気持ちになる」というトラップに嵌まっていました。指導教員曰く、この時期にこのような気持ちになるのはあるあるのようです。謎の焦りから、足りないピースを埋めるべくオンラインデータベースを丸一日かけて探すなどしていました。
論文の面白さに関しては、自分にとって新鮮さがなくなっていることに加えて、論文で書けるほどには自分の中で理解がまとまってきているため、なんだかみんなすでに知ってる当たり前のことをつらつら書いているような気がしてしまうのは仕方ないのだと思います。少し時間をあけて読み直したら、自分でも「意外と面白いじゃん」となるかもしれないですが、修論執筆渦中でそんなことをしている暇はないので、先輩に読んでもらって適度な褒めをもらうというのが有効だと思いました(先輩方ありがとうございました…)。
そうこうしているうちに、12月半ばに章立ての整備をし、どの章に何を書くかがほぼ確定しました。注・参考文献は、この時点ではまだ自分でわかるためのメモで、形式が統一されていなかったので、Chicago Manual Styleで統一しました。本当はきちんと文献管理ツールを使用していれば良かったのですが、2年間使い続けられたものがなく、今回は使っているAIに文献を投げてfull noteとbibliographyを出してもらったことでだいぶ手間が省けました。この辺りの細かい作業は、やはり全貌が見えてきた段階で早めにやっておくのが良いと思います。下訳も、修論全体に関わる根幹の部分は、もう一度文法や単語を確認し、訳を確定させました。
ただ12月は毎週義務的な会食が入っていたり、25日締め切りの全く別トピックの原稿があったりなど、完全に修論執筆だけに集中できるという環境ではありませんでした。年末〜提出にかけて、やっと修論だけの時間が作れたように思います。第1章はクリスマスイブに、第3章は元旦に、そして第2章は三が日明けすぐに指導教員に共有しコメントをいただきました。年末年始の貴重なお時間を割いて、論文を確認してくださった先生には本当に頭が上がりません。
イントロは、1~3章をそれぞれ指導教員に共有した1月4日以降初めて書き始めました。イントロの論旨が見えてきたあたりで、コンクルージョンにも手をつけ始めました。第1章は伝記的記述なので、わりかし「もうこれ以上触らない」状態の原稿にするまでが早かったですが、第2章・第3章はイントロ・コンクルージョンとの調整もあったので、提出まで何度も調整を重ねることになりました。自分の場合は、研究を位置付けたい潮流と中心的な資料が研究を主導しており、各章の問いはあるものの、全体をつなぐ問いは最後に第2章・第3章の遂行を重ねる中で設定しました。
そんな感じでなんとか締め切りまでには形になり、全体を通して確認するのに丸々2日かかって、締め切りの3時間までの提出になりました。実は12月中に終わりたいと考えていたのは、修論締め切りと同じ日の1月15日に、ドイツの科学史研究所の出願締め切りがあったからでした。結果的に出願は断念せざるを得なかったのですが、出願できたとしてもまあ倍率やマッチングの度合い的に選ばれないだろうなとは思っていたので、どちらも中途半端ということにならず最後まで修論走り切ることができたので良かったです。
次のノートでは、反省と博士ではやること、それから修士全部を振り返っての思い出を書こうと思います。
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