18じゃない6
友人の成功を素直に喜べるか?
友人が競馬で300万勝ったことがある。「おお、マジか」とか言って笑ったつもりだけど、自分の口角がピクピクしていたのを感じたし、実際に全然笑えてなかったと思う。むしろ胸がざわざわした。素直に喜べない自分が嫌になった。
なんか研究があるらしく、知り合いが成功した話を聞くと、喜びより嫉妬が先に立つのは普通らしい。しかもそれを「自分も頑張ろう」に変換するのに平均4日かかるという。いや人それぞれだとは思うけど、それでも少し安心した。
ただ、あのときの問題はそのあとだった。私は「自分も」と思って次の日、平日開催の地方競馬に給料のほとんどを使った。あのときの感情はうまく説明できないけど、もう絶対勝たないといけないと思っていた。でも結果、全部失った。立ち直るのに一週間はかかった。
今思えば、完全に間違いだった。友人が大金を手にしただけで、冷静な判断を失った。なんと無様なありさまだろうか。
「自分も頑張ろう」の方向を間違えてしまったに尽きる。彼が勝ったのは運もあるし、彼なりの研究もあったはず。でも私は「同じことをすれば勝てる」と思い込んでいた。いや、正直に言うと「彼と同等の状態に自分を持っていくしか胸のざわつきを抑えられなかった」だな。
あの研究が本当なら、嫉妬が「頑張ろう」に変わるまで4日。その4日をどう使うかで、たぶん全部変わる。それを焦って真似するんじゃなくて、自分に合ったやり方を探す時間にすればよかった。高い勉強代になったけど学びはあった。
今はもう競馬はやっていない。未練もない。でも誰かの成功を聞くたびに、あの一週間を思い出す。焦らず、自分のペースで。それだけで十分なんだと、ようやく思えるようになった。
そもそも簡単な算数だったのだ。最大18頭(地方競馬は16)も走る競馬など、人間に当てられるものではない。底なしのギャンブルだ。
だが、競艇は6艇だ。
握りしめた舟券が、確かな熱を帯びていくのを感じた。
