1998年3月10日(火)《BN》
【熊大迷宮:華撃団Ⅲ部隊】
「うーん。厳しいなあ」
「いや、頑張ってると思いますよ」
本日1回目の鼻ひげ戦の結果、結構なダメージを喰らってしまった倉本 憲伸が漏らした声を聞いて、島田 笠音が優しく声を掛けた。ここは熊大迷宮。華撃団Ⅲ部隊は本日から地下6階探索を開始している。この部隊は先日の大量引退の際に再編成された部隊であり、遊びは終わりだ部隊の島田と前島 瑠衣、やっぱりサンデーサイレンス部隊の倉本と高倉 蘭馬、左村 亜香里、そして田園は名曲部隊の太田 香澄が構成員となっている。そして島田と前島は13期生、倉本と高倉、太田は14期生、そして太田は15期生である。当然探索の進捗も相違しており、島田らは地下7階のボス戦、倉本らは地下5階のボス戦、そして太田は地下4階のボス戦を行っていた。島田はすでに鼻ひげをクリアしているが、倉本と高倉は先週どさんぴんをクリアしたばかりであり、島田と3人で戦うとはいえペケに対して全く敵わない状況である。倉本も高倉も結構なダメージを喰らってしまったので太田に回復を依頼する。そして回復施術中に前島が物質回収から戻ってきたので、回復が終わり次第ペケに再戦を挑むことにした。
「うーん、やっぱり回復の消費量が違う気がする」
「そうなの?」
回復施術中に太田が言葉を漏らして、それに高倉が返事を返す。自分は戦士なので、僧侶のことは全くわからないが、回復の消費量という聞き慣れない単語が出てきたので、思わず質問したのである。
「そうですね。多分戦士の方も実力が上がれば上がるほどダメージを喰らうことが出来る総量が増えると思うんですよ。それと階層による特殊物質濃度の影響もあるかもしれません」
先程の言葉の理由について太田が説明する。1つは今までは同じ部隊の15期のメンバーを回復しており、想定したダメージに対してどれぐらいの回復を行えば良いのかが判断できていた。ただ1つ上の期である14期の倉本と高倉の回復を行うと想定よりも精神力の消耗が大きいのである。また、地下6階は15期の太田にとってかなり早い階層であり、迷宮内の特殊物質の濃度にまだ慣れていないのも要因なのかもしれない。
「じゃあ回復の量の判断も考えないとね」
「お手柔らかにお願いします」
2つ下の期であることを再認識した島田の声を聞いて、優しめの判断を懇願する太田であった。
★部隊情報
◆華撃団Ⅲ部隊
島田 笠音 13期 戦士(神技) 既卒3
倉本 憲伸 14期 戦士《起源》 2回生
高倉 蘭馬 14期 戦士《起源》 2回生
前島 瑠衣 13期 罠解除士 3回生
太田 香純 15期 僧侶 3回生
左村 亜香里 14期 魔術師 2回生
