毎月短歌連作部門~斎藤君選16~
こんにちは。野良犬に足を噛まれてえびす顔、でおなじみ斎藤君です。
言わずもがなではあるんですが大竹しのぶって本当に凄いですね。どんな演技をしていても背筋がぞっとするほどリアリティがあるんですよ。新・座頭市 第二シリーズ 第四話「蛍」では盲目の少女役なんですが、柴俊夫に手術してもらって両目が明いたのに養母の菅井きんにまた目を潰されるんですね。その時の絶叫、そして悪玉の親分に囲われ、三つ指ついて挨拶するときの悲痛さと言ったらもうね、震えますよ。日本の俳優が全員このレベルになって欲しいと心から願いますよあたしゃ。まぁ一番好きなエピソードは次の第五話「歌声が市を斬った」なんですけど。これの川谷拓三の話をしたら一生毎月短歌連作部門の発表ができないのでやめときますね。それでは発表です。ででん。
一席 小数点以下の毛並み きいろい
全体として詩情が凄まじいです。流れ(主軸)を掴みづらい連作ではありますが、私は同じ場所で進めずに置いて行かれる主体の空虚さを感じました。あらゆる事物に感情を仮託して悲しくも美しい詩情を醸し出しています。結句のバリエーションも豊富で、ここが特に私の好みでした。今回の選をしてみて、連作全体として素晴らしいな、と感じた作品はみな結句の処理が巧みで、短歌においての結句の重要さを再認識させられました。
二席 明日の光 白雨冬子
水の気配に溢れた連作で、少し冷たい湿気が作品全体を支配しています。結句に困ると体言止めに逃げがち、というのは歌人あるあるかもしれませんが、この作品は七首のうち体言止めが一首のみであり、その点もとても好きでした(もちろん体言止めが悪いというわけでは決してないです)。連作を作るにあたり、特に大事な事柄をしっかりと押さえている印象があって、ひしひしと作者の技量を感じました。
三席 習作(Slawek Jaskulke''Music on canvas''に寄せて) 村崎残滓
タイトルにあるように音楽作品からインスピレーションを受けた作品だと思います。スワヴェク・ヤスクウケはポーランドのジャズピアニストですが、ポーランドの涼しい夏を思わせるような連作でした(行ったことないのであくまで想像です)。温度の低さと静けさが伝わってくる素敵な作品でした。ちなみに私はベタにSeaが一番好きです。夜中の創作にぴったり。
続いて私が勝手に設けた一首表彰のコーナーです。ででん。
俺の泥船に乗らないか?賞
はるかぜ 「皮膚船」より
ひとはみなどこかおかしく壊れゆく季節を渡る船の修理を
美石狂会入りま賞
畳川鷺々 「海に近いまち、夢のまち」より
おもしろいかたちの石があったことそれだけ話す おもしろくなる
コーンヘッドは名作で賞
せんぱい とうもろこし、宇宙より来たり
突き抜けるためのかたちだロケットもとうもろこしも空へ宇宙へと
ヘルレイザー全作観ま賞
青野朔 「ホリデースーパーマーケット」
よく晴れた休日にこもる贅沢を賄うための家事でない家事
スカッシュってイメージそのまんまで賞
りのん 「カノン」より
壁打ちのような言葉だ転ぶまで頑張る人に返る頑張れ
少量の水であっという間に飴色で賞
めめんと 「僕ら透明」より
玉ねぎが恋に落ちたらその熱で澄んでいくからすぐに分かるよ
クエストの可能性もワンチャン?ないで賞
てと 「ひもQとはひもクエスチョン略かもしれない」より
ひとりでもできるあやとりふたりでもそれ以上でもできるあやとり
つつじヶ丘って地名日本にどのくらいあるんで賞
川瀬十萠子 「春の漿」
心象の木柵脆く朽ちかけて燃え移るように白躑躅這う
茨城県民も思ってるで賞
ケムニマキコ 「横切ってカルディ」より
欲しいものあんまりなくて干し芋の値段にいつも首を傾げる
以上です。今月も沢山のご投稿、本当にありがとうございました。それではまた来gおいババアがまたセメント食ってるぞ誰か止めろ!
