悲しみとともに生きる365日 #007夕暮れが長い季節は、少しだけ寂しさも長くなる
夏になると、日が暮れるのが遅くなります。
夕方になっても空はまだ明るく、
一日が終わるまでの時間がゆっくり流れていきます。
以前は、この季節が好きでした。
仕事帰りの人たちが家路を急ぐ姿。
窓から聞こえる子どもたちの笑い声。
どこからか夕飯の支度をする香りが漂ってくる。
そんな何気ない景色を眺めながら、
一日が終わっていく安心感がありました。
けれど、
大切な人を見送ったあと、この長い夕暮れが心にしみることがあります。
昼間は、仕事や家事に追われています。
目の前のことをこなしている間は、気持ちが少し紛れることもあります。
それでも夕方になると、街は少しずつ静かになり、
自分の心にも余白が生まれます。
その静けさの中で、ふいに想い出すのです。
「もう帰ってくる頃だった。」
「今日は何を食べようか。」
「おかえり。」
想い浮かぶのは、特別な日の記憶ではありません。
旅行へ出かけた日でも、誕生日でもない。
毎日繰り返していた、ごく普通の夕暮れです。
食卓を囲み、テレビを見ながら笑い合い、「また明日ね」と言葉を交わす。
そんな当たり前だった時間が、
どれほど大切だったのかを、あとになって知ることがあります。
夕焼けがゆっくり夜へ変わっていく頃になると、
家々の窓に灯りがともり始めます。
その景色を見ているだけで、胸が締めつけられる日があります。
もうあの人が帰ってくることはない。
その現実が、昼間よりも静かに心へ届くからです。
夕方になると涙があふれる。
そんな日があっても、不思議なことではありません。
一日の終わりは、誰かと過ごした時間を思い出しやすいひとときです。
その場所にいた人を恋しく思うのは、とても自然なことなのだと思います。
もし今日、長い夕暮れを眺めながら寂しさが込み上げてきたなら、
その気持ちを急いで消そうとしなくても大丈夫です。
寂しさは、弱さではありません。
それほどまでに、
一緒に過ごした夕暮れが心に残っているということなのでしょう。
交わした言葉。
食卓を囲んだ時間。
何も話さず、同じ空を眺めていた日。
その積み重ねは、失われてしまったのではなく、
あなたの人生の中に静かに息づいています。
夕暮れが長い季節は、少しだけ寂しさも長くなるかもしれません。
けれど、その寂しさの中には、
大切な人と歩んできた日々のぬくもりがあります。
今日の夕焼けを見上げたその瞬間も、
その人との時間は、
あなたの心の中で静かに続いているのだと、私は思います。
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