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【ファジサポ日誌】213.未知のシーズン~J1第1節 セレッソ大阪vsファジアーノ岡山 マッチレビュー~

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就任5.5シーズン目にして、木山体制初の開幕戦黒星スタートとなった。シーズン移行と無関係ではないと考えている。
これまでの2月開幕では、対戦相手の各クラブとも戦術浸透半ばの段階にあった。
そこでファジアーノ岡山は、敢えてピークを一度開幕から数戦に設定することで、リーグ戦序盤でセーフティリードを確保する。そんな戦法であったと思う。特に2025シーズンのJ1残留においてはこの序盤での勝点積み上げが数字的な意味のみならず、チーム、クラブ、サポーターの精神的安定をもたらしていたと考える。

これがこの時期の開幕、そして特別大会を挟んだことで、戦術浸透期のズレによるアドバンテージはほぼ無くなったと見て良い。
事実、開幕戦の相手、セレッソ大阪は先日のドルトムントとのPSMでも好内容を披露していた。
また、今季に関してはフィジカル的なポイントは暑熱順化へと移ったと考える。そして、冬季開幕時の岡山の強みは戦術的なシンプルさにもあったと思う。シンプルが故に戦術浸透もスムーズであったのだ。
久々の開幕戦での敗戦が皮肉にもJリーグの新時代到来をも感じさせたのであった。

1.試合結果&メンバー

開始から1分ごとに両チームに見せ場が訪れる良く言えばハイテンション、悪く言えば落ち着かない序盤であった。
岡山はこの序盤8分、(79)ブラウンのJ1初ゴールで先制に成功したが、20分、24分と連続失点によりC大阪に逆転を許す。
C大阪が保持を選択する中、岡山は前目での回収、カウンターから決定機を作ろうとするがゴール前で正確性を欠く。

後半は前半から飛ばした影響もあったと思うが、リードしたC大阪が守備を堅める中、前半と比べるとお互いにペースダウン。岡山は最後まで攻撃のテンションを十分に上げられないままタイムアップとなった。

J1第1節 C大阪-岡山 メンバー

オーストリアキャンプ終盤のTRMの様子から、負傷離脱者がある程度予見された点と、帰国後の暑熱順化の進展も気になっていたが、キャンプで元気な様子を見せていた主力選手の中にもメンバー外となった選手が多かった。

特にGKについて(52)濵田はキャンプ前から何らかの怪我を抱えていたと考えられるが、キャンプ終盤には(1)モーザーもTRMを欠場。この不安がそのまま出る形となった。
高卒ルーキー(13)松田が先発、ベテラン(77)川浪がサブに入った。
(1)モーザーについては少々気になる点を抱えるサポもいるかもしれない。筆者もその一人であるが、この点については見守りたいと思う。

FPについてはほぼ想定メンバーであったとは思う。しかし、主力の(9)ガウショ、(66)西川らのメンバー外はゲームチェンジャー不在という意味でも痛かったと言える。

ベンチには緊急補強かつ大型補強でもあった(80)オベルダンが入った。
(40)小倉の長期離脱により、キャンプ中も質の面で弱点を曝け出していたボランチは早急に埋めなくてはならないポジションであった。

現地情報によると、メンバー外になったものの(24)藤田も帯同していたという。おそらく(80)オベルダンのコンディション次第では彼がベンチ入りしていた可能性がある。
裏を返せば(24)藤田のコンディションは迷いなくサブ枠に入れられるものでもないという事だろう。

前日に特別指定された(5)池戸がサブに入ったことからも、チームはいきなりスクランブル体制を強いられたと言える。
何も情報が無いので確かなことは言い兼ねるが、チームの帰国後のコンディション調整が上手くいかなかったと想像される。

C大阪は今オフ、レギュラー級の中島がベガルタ仙台に完全移籍、(48)柴山に至っては左膝複合靭帯損傷の大怪我を負ってしまった。
ゲーム前は柴山の復帰を願った寄せ書きや彼のTシャツを着用して選手が入場するなど、彼に対する激励が行われた。
かつて岡山も梅田やグレイソンの復帰をチーム全体で願ったことがある。
チームを問わず、こうした温かい試みをリスペクトしたい。柴山の順調な回復、復帰を願いたい。

そのC大阪はアーサーパパス監督が退任、スペイン人指揮官パブロマチンが就任。フォーメーションを3-4-2-1に変更してきた。この試合はミラーゲームとなった。

2.レビュー

(1)問題は中盤にあり~前半~

前日の金曜日の2ゲームもそうであったが、開幕戦ということもあり、序盤から激しい主導権争いが繰り広げられた。
序盤15分間で、手元の集計で岡山はシュート7本を放った。一方、C大阪はシュートそのものは2本に止まったものの、その2本とも枠を捉えた決定機であった。デビュー戦の岡山GK(13)松田はこの2本ともファインセーブでチームを助けた。堂々の滑り出しであったと言える。

岡山は8分にC大阪を自陣に押し込み、連続攻撃を展開する。
RWB(51)白井が左足からゴール前ファー寄りへクロスを送り、CF(99)ルカオがニア寄りに折り返す。自らシュートを撃つ気配もあったことからC大阪守備陣が意表を突かれていたように見えた。
この折り返しを更にLCB(43)鈴木が落としたところを(79)ブラウンがシュートブロックをものともせず左足を振り抜き、ゴール左上にシュートを突き刺した。

岡山としては、C大阪の立ち上がりが安定しないうちに先制に成功する最高の立ち上がりであったと言える。LWBの人選に関してはLST(8)江坂と(79)ブラウンのセットがTRMでも試されていたが、木山監督の起用が当たった形になった。

しかし、問題はここからであった。
ちょうど15分を過ぎたタイミングで、C大阪はGK(23)中村を使ってビルドアップ、ミラーゲームによりがっちり噛み合っていた岡山のプレスにズレをつくり、ボールを保持しようと試みる。
このロングボールにより岡山の最終ラインを後退させ、陣形を縦に間延びさせる効果をねらっていたと思われる。こうなると岡山は中盤でセカンドボールを十分に回収できなくなる。
今に始まったことではなく、J2時代からの岡山の課題である。
とは言え、ミラーゲームなのでこの中盤では敵味方の枚数は同数である。
セカンド回収で優位に立つには前線の選手たちが中盤に下りる動きやWBが中に入る動きが必要になる。そのトランジションにおいてC大阪は上回っていた。特にCF(9)櫻川は岡山CB(48)立田を背にしても、中盤付近に下りても正確に起点をつくっていた。彼の落としからCH(10)田中や(28)岡澤が正確なパスをワンタッチで出す。これをLWGの(14)横山が受けて鋭いドリブルで運ぶことが出来始めていた。

岡山は(28)松本と(41)宮本のダブルボランチが中盤での空中戦で後手に回り、また2人の位置関係も並列な時間が多く、ライン間のスペースを十分に埋めることが出来ていなかった。更にC大阪のダブルボランチと比べると、回収後のパスの正確性も劣ったと言える。

岡山はこの試合の前半で3バック脇も執拗に狙われたのであるが、構造的に最も問題であったのはこの中盤での不利であったと言える。
ただ、この傾向は繰り返しになるが、この試合で急に出現したことではない。特別大会でも上手くいかない試合では見られたし、キャンプ中のTRMでも見られたことである。

各失点の局面、例えば1失点目のラインコントロールの乱れも気になったところではあったが、ここはまだまだ守備は不慣れな(79)ブラウンを起用していたことからも織り込み済であったと思うし、寧ろこの前半はゴール前の空中戦で彼が身を挺したことで防いだ失点もあった。1ゴールという攻撃面での貢献を含めても、まあトントンと捉えても良いとは思った。

J1第1節 C大阪-岡山 前半C大阪が中盤を制する(モデル図)

岡山としては、15分以降は、全ての局面ではないが、強みであるはずのトランジションでC大阪に後手を踏んだ点は痛かったと感じた。
この辺りが新加入RST(10)ナサンホを含めて、コンディション向上に余地を残す面でもあると思う。

(2)オベルダン登場~後半~

おそらくベンチは、キャンプ終盤の時点から中盤が上手くいっていない点は問題視していたであろう。だからこそ、多額の移籍金を支払ってCH(80)オベルダンを獲得した訳であるし、やはり上手くいかない前半を踏まえて後半開始からチーム合流間もない彼をいきなり交代出場させた訳である。

(80)オベルダンに関しては加入前後でそのプレースタイルについて、様々な寸評が出されていた。この1試合のみでその全容を語ることは出来ない。この試合で見せてくれた彼のプレーはあくまでも一部分であると考えるべきである。

チームとしては前半を踏まえての交代であったと思うので、期待されていたのはセカンド回収と回収後の前線への繋ぎの改善であったと推察される。

しかし、1点リードのC大阪はこの後半から守備を堅めてスローテンポな試合運びを指向してきた。この修正の意図は、やはり前半で失点をしたカオスな状況を再び岡山につくらせないこと、そして自軍の運動量を考慮したこと、ベンチメンバーを踏まえて岡山に持たせてカウンターを狙う策を用意していたことにあったと考える。

岡山としては少し梯子を外されてしまった面はあったのだが、(80)オベルダンにとってはKリーグと比べて速いと言われるJリーグのスピードに慣れるにあたって良いペースであったと考える。
寧ろ、この試合での彼の良さは岡山保持の局面でゲームメーカー的に発揮されていた。そこまでスプリントはしないが、ボールを持つと自ずと相手が出てきにくいスペースでボールを受ける。そしてボールをキープすることで周囲の味方を動かし、そこへ正確なショートパスをつける。自らはより前方のスペースへ移動する。
合流まもないということもあり、シンプルに次のスペースを探すベーシックな動きを披露していたとも言えるが、それが岡山にとっては非常に有効な攻め手になっていた。
後半途中からは最終ラインに下りて、ビルドアップの起点にもなっていた。
ミラーゲームにおいてズレをつくることも可能のようだ。
守備に関しては、回収役として目立つ場面は少なかったが、C大阪のライン間へのパスコースを第一に消す、正確なポジショニングが目立っていた。
実は彼の最初の動き出しにより未然にピンチを防いでいたシーンも複数あった。後半、岡山が失点しなかった一つの要素である。

よって、岡山はボールを保持しながらある程度C大阪を押し込むことは出来ていた。それが多数のCK獲得にも繋がっていたのであるが、新キッカー(10)ナサンホと味方の呼吸はまだまだこれから深めていく段階との印象であった。プレースキッカーを失ったという点でも(40)小倉の離脱はかなり痛い。

オベルダン効果 79分以降の布陣から

岡山の79分以降の布陣には同点に追いつけそうな匂いは漂っていたように感じた。(80)オベルダンがアンカー的に振る舞うことで、途中出場のCH(33)神谷に自由を与えることが出来ていたからである。
また前線もライン間に下りて受けられる(20)河野や(22)一美にスイッチしたことで、岡山としては同点に追いつくための最大限の工夫は行えていた。それを可能としていたのもオベルダン効果と言える。

そうであっただけに(20)河野のゴール前(23)中村との接触による脳震盪交代は不運としか言いようがない。今は軽傷、軽度であることを願うばかりである。

3.まとめ

以上、C大阪戦についてレビューしてみた。
基本的に岡山の戦法は2025シーズンと変化はない。それが故に構造的に前へ蹴ってくるチームに対しては、自慢のハイプレスを繰り出すことも出来ず、シンプルに最終ラインの強度と中盤でのセカンド争いで勝敗が決してしまう。
そうした構造面がいきなり開幕戦で出てしまったということが、これまでのシーズンとの大きな違いになると言える。
更には、欠場選手のみではなく、出場している選手たちのコンディション不良面も目立った。特にRCB(6)大森は前半から相手の(14)横山に走らされた影響もあったと思うが、後半は早い段階で足を攣らせていた。
そのままプレーを続行したことから、筋肉系の負傷に繋がらないかヒヤヒヤしながらゲームを見たのであるが、キャンプ中にハードなトレーニングを敢行し、数多くのTRMをこなしたこと、更に帰国後の岡山の暑さもあり、実はチームとして今が疲労のピークに達しているのかもしれない。

暑い夏はまだまだ続くが、まずは出来るだけ早く多くの選手のコンディションが整うことが新シーズンを順調に戦う条件になる。

一方、後半については(80)オベルダンを中心に述べたが、冗談ではなく岡山の救世主になる可能性も感じた。
J1強豪クラブと比べると岡山の余裕のない戦いにおいて、人がいなくなれば人という流れもいつかは断ち切れるような状況になってほしいと願いながらも、現在は(80)オベルダンの個に大いに期待したい。

【自己紹介】

J1定着と総合型スポーツクラブへの成長を図る岡山、念願のJ2復帰へ向けて再チャレンジに挑む北九州の戦いぶりを追っていく。

日々勉強、分析、解析、解釈、更に磨いていきたい。

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