【道行き 1-1】
【この小説について】
単純に道を行くことであり、旅をすることでもあるこの「道行き」という言葉に、あなたはどんなイメージを持つだろうか?
ある目的地に行く道中の光景や旅情などを綴った文章である「道行文」を思い浮かべる人もいるだろう。または、男女が連れ立って旅をする浄瑠璃や歌舞伎だろうか。こちらは目的が駆け落ちや心中となるようだが……
私は中学生の頃から、一人で旅にでることが好きだった。自分の知らない風景に出会うことが好きだったし、自分の世界が広がるような気がしていた。しかし、旅は楽しいことだけではない、失敗もあるし困難もある。それでも私は旅を続けた。失敗も恥も困難も、最高の土産話になるからだ。
私にとって「道行き」とは、放浪のような旅をすることであった。だが、いつの間にかそれは「人生の旅路」へと姿を変えていった。
私だけでなく、誰もが「自分の人生」という旅をしている。その道は平坦なだけではなく、障害物や困難もあるだろう。出会う人だって「みんな仲間」とも言い切れない、複雑な人間関係もあるはずだ。
そこには楽しみもたくさんあるだろうが、試練も待ち構えている。曲がりくねりや上り坂、それに下り坂もあるだろう。そして、道に交差点があるように、誰かの道と交わることだってあるはずだ。
交差した道で出会った相手と共に進むこともあるだろうし、分岐点で別れることもあるだろう。一度別れた相手とまた出会い、共に同じ道を歩んで行くことだってあり得る。たとえ本人が意図しない状況であったとしても、人は誰かの人生に関わり、近づいたり離れたりを繰り返すものなのかもしれない。
この物語は、誰にでも起きるだろう日常に少しだけ刺激を加え、人と人の関わり合いを綴ったフィクションである。

