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伝統を未来につないだものとは

福岡県みやま市の老舗蒲鉾店「吉開のかまぼこ」の事業承継について、相模原商工会議所のセミナーでお話を伺う機会がありました。

吉開かまぼこ店3代目の吉開喜代次さんは2018年、後継者がいないことと、高齢を理由に店舗を休業していました。
しかし、吉開さんには「魚・塩・みりん・昆布だし」だけで作る無添加の「古式かまぼこ」を8年かけて完成させた実績がありました。
弾力を増すための添加物を使わない健康志向のかまぼこは、根強いファンに支えられ、再開を望む声が多く寄せられていたそうです。

その吉開さんのもとに、大学生グループが事業承継に関する調査に訪問します。訪問した学生の一人が林田茉優さんでした。
吉開さんのかまぼこに興味を持った林田さんは、その後約3年間、かまぼこ店再開までの課題解決を一つずつ支援し、最終的に事業譲渡先を見つけるまで尽力します。
ところが話はそこで終わりません。
譲渡先の社長から、「これまでの経緯から、社長は林田さんしかいない。経営のトップに立ってほしい」の依頼を受け、自ら代表取締役に就任することになります。
林田さんは、支援者から当事者となり、経営革新への挑戦を始めたのです。

事業承継というカテゴリーのこのセミナーでしたが、起業と伝統産業の変革・再構築という点でも学びのあるものでした。

1)起業家としての突破力

セミナーで印象に残ったのは、林田さんの圧倒的な行動力とコミュニケーション力。課題にぶつかっても立ち止まらず、考えながら動く姿勢は、まさに起業家に必要な突破力だと感じました。

2)経営者の心の扉

もちろん、全ての中小企業が同じように“夢の承継”を実現できるわけではありません。
130年の歴史に加え、無添加かまぼこという唯一無二の商品力、そしてその味を待つファンの存在が大きな支えとなったのは間違いありません。
さらに重要なのは、吉開さんご自身が「心の扉を開いていた」こと。
大学生の訪問を快く受け入れ、若者の言葉に耳を傾ける度量があったからこそ、新しい風が吹き込んだのです。

3)伝統産業の変革と再構築

代表就任後、林田さんはリブランディングにも挑戦しています。
新しい販売方法や発想を取り入れつつ、「変えるべきところは変え、変えてはいけないものは守る」という明確な線引きで、伝統産業の新しい姿を描き出しています。

林田さんと吉開さんの出会いが、吉開のかまぼこの復活と新生に繋がっていきました。

来週には、私も通販で注文した「古式かまぼこ」が届きます。
受け継がれたその味を楽しみにしています。

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