幻影のウィングレット:ボーイングが演じる「最新鋭」という名の喜劇
「最新鋭」という名の喜劇…悲劇
人間というものは、翼の先が少し曲がっているだけで、そこに未来永劫の進歩と調和を見出してしまうほどに単純な生き物であるらしい。
ボーイングの現状を俯瞰すると、そこに透けて見えるのは、技術の粋を集めた「革新」ではなく、むしろ絶望的な状況を「それっぽく見せる」ための、涙ぐましいまでの演出術である。
1. 「正直者が馬鹿を見る」というトラウマ
そもそも、全く新しい飛行機を一から設計・製造するという行為は、
現代においてはもはや狂気の沙汰に近い。
かつて彼らは、787という機体で野心的にカーボン機体だの電気系統の刷新だのと大見得を切った。
しかし、その結果手にしたのは輝かしい未来ではなく、燃えるバッテリーと、底なしの赤字、そして地に落ちた信頼であった。
この「正直に挑戦して大失敗した」というトラウマこそが、
彼らを「化粧直しの達人」へと変貌させたのである。
2. 継ぎ接ぎだらけのスーツに、ブランド物のネクタイを
彼らの戦略は、例えるならこうだ。
もう何十年も着古して継ぎ接ぎだらけのスーツを着た男が、ネクタイだけを最新のブランドものに替え、高級な香水を振り撒いて
「私は今、人生の絶頂にいる」と言い張る。
※茶番劇
737MAXという、基本設計が半世紀以上前の機体に、無理やり巨大なエンジンを載せ、翼の端をシュッとさせ、機内照明を787風に紫やオレンジに光らせる。するとどうだろう。
空港のゲートで並んでいる善良な乗客たちは、
「おお、最新の機体だ。これで私の空の旅は安泰だ」と、
いとも簡単に騙されてくれるのである。
3. 「見えない進化」より「見える変化」
航空業界において、「新しそうに見えること」は、
安全性そのものよりも重要視される。
これが現代の呪縛だ。
無益な内部投資: 数億円かけて電子機器を最新型に入れ替えたところで、機内のWi-Fiが繋がりにくいだけで客は不平を漏らす。
有益な外見投資: 数千万円のウィングレット(翼端板)を取り付ければ、世界中の投資家は「わが社はESG投資に積極的だ」と胸を張り、メディアはこぞって「未来の翼」と書き立てる。
これほどコストパフォーマンスの高いマーケティング・ツールが、他にあるだろうか。
あの優雅に反り返ったウィングレットの曲線。
それは空気抵抗を減らすための合理的な形であると同時に、
ボーイングが新型機を開発できないという無力さを覆い隠すための、
最も美しい「仮面」なのだ。
4. 頼みの綱は、沈没寸前の「老兵」
そして今、その仮面の下で必死に機体を支えているのが、
軍用機であるP-8ポセイドンである。
しかし、この「唯一の希望」ですら、
販売不振という重石を引きずり、泥沼の中に沈みかけている。
黄金色に輝くウィングレットの影で、必死に綱をたぐる満身創痍の老兵。
これこそが、現代の巨人が見せている「幻影」の正体に他ならない。
結びに代えて:美しい嘘に抱かれて
私のブログで語られるべきは、こうした航空力学の教科書には載っていない「大人の事情という名の重力」である。
最先端を装う企業の執念と、それに容易く踊らされる大衆心理。
そのドロドロとした構造を、冷徹なまでにバッサリと斬り捨てる。
それこそが、遠回りな議論の果てに、真実に最短距離で辿り着くための、唯一の方法であると確信している。
……と、このように、もっともらしい理屈を並べてはみたが、
結局のところ、私もあの美しい翼の曲線を見て
「格好いい」
と思ってしまう一人だ。
人間は、真実よりも美しい嘘を愛するようにできている。
それが、この世で最も抗いがたい
「墜落の予兆」であるとも知らずに。
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チップのお返しは・・・なにができるのか?思案橋です