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企画展のついでに入った常設展が素敵だった話

愛媛県美術館でミュシャ展を観た後、追加料金なしで松山出身のグラフィックデザイナー、杉浦非水の作品展と、常設展の絵画を観られるというので入ってみた。

企画展に比べるとお客さんは少なく、おかげでじっくりゆっくり観られたのは良いが、もう少しお客が入った方が良いのだろうな。
私は、ミュシャもよかったけどついでに回った常設展で、自分の好きな絵画の方向性が少しだけ分かった気がして、いや、むしろ必ず行くべきかも、と思ったので、書いてみます。

故郷のアーティスト、杉浦非水の作品

グラフィックデザイナーでもあるミュシャとのコラボ企画か、それとも愛媛県松山市出身として常設しているかはわからないが、杉浦非水は1920年頃、三越や日本タバコのポスターなどで活躍したグラフィックデザイナーだ。

その作品がたくさん展示されていた。素敵だと思ったのは2点。ミュシャに似た繊細で曲線を活かした女性像と花のモチーフではなく、もっと図柄も線も単純化して、構図の面白さと少ない色数で表現した作品だ。

東洋唯一の地下鉄道 上野浅草間開通
昭和2年(1927年)
新宿三越落成 十月十日開店
昭和5 年(1930年)

ミュシャを観た後だったのと、杉浦非水も、初期の作品はどこかミュシャ的な感じだったので、その反動か、この2点は構図が面白くて、特に三越の方は三点透視の結び方が面白くて、上の方から見たり、下から見上げたりして、めっちゃ長いこと観た。初期と比べるとスゴい変化だなと、作家自身もだが、一気に表現をモダン化させた、時代の雰囲気が伝わってきた。

あぁ、でも、ひょっとしたらミュシャ展に合わせて似た雰囲気の作品もあえて集めたのかもしれないのか。そういう『狙い』を想像しながら見るのも、面白い。

常設展で見つけた、山田正亮 Wok F140

愛媛県美術館の常設展は、故郷の作家の所蔵作品を中心に、さまざまな作品が展示されている。画風もテーマも年代もバラバラなので、かえってそれが面白い。
有名な人もいるかもしれないが、私にはわからないので、絵を観た瞬間の直感で、好き!と眺め続けることができる。

同じような画風ではないので、印象も強く残っていて、撮影禁止だし、そんなに有名じゃないからか、名前と作品名で検索してもネットではヒットしない作品ばかりだけども、脳裏に濃く残っているので、全然オッケー。むしろ脳内で自分の好みに補正されてるかもしれない。とすると、再会した時に記憶と違うギャップも楽しめるかも。

脳裏に残したのは、4作品。
伊東正次『老椿図』
山田正亮『Work F140』
矢野鉄山『媚風』、『芳春譜』

名前で検索してみたところ、伊東正次さんはまだご存命のようで、新しい作品が、これからも増えていくことを考えると、嬉しい。

山田正亮さんの絵は、大きくて、なんだか不思議な立体感で、既視感があり、なんだろう?と考えていて、瓶底に至った。瓶の底の、なんだかキラキラした透明感のある、モコッとした感じを敷き詰めたらこんな感じなのかなぁと。

あと、とても大きな作品で、同じモチーフの繰り返しなので、こういう絵の前では、少し近づいて、目を寄り目にして、ちょっとイッテしまった目で焦点を定めずにぼんやり見ていると、1分ぐらいで、この絵に囲まれるような錯覚を楽しむことができる。
人が多いと、怪しい人がいます、と通報してされそうだから、人が少ない時はやってみてほしい。囲まれると、しばらく出て来たくなくなるけど。

ちょっと違うけど、これに似た感じ。記憶の中では、もっと濁った透明感あって、瓶味が強い。

矢野鉄山氏のは、2作品が並べて展示されていて、同じ構図、同じサイズ。たぶん、同じように吹いてる「風」を描いたんだと思う。季節が違うので、風の冷たさも違っていて、それが伝わって来るのが面白かった。

常設展は、誰の、どんな絵があるかわからないし、観て、それが誰の何ていう絵か分かっても情報が少ないから、自分の感じたことが、自分のものだ、と信じることができる。

有名作品を観るのも楽しいけど、ふと浮かんだ感想も、つい、この感じ方って合ってるのかな?と考えたり、誰かの感想に引っ張られてしまい、自分の感じたことなのかどうか、わからなくなってくる。
絵の見方は自由だと思うし、合ってるとか合ってないとか、ないのにね。

というように、常設展の鑑賞は楽しい。企画展に行ったらセットで、ぜひ。

この人の展示会あったら行きたい。銀箔の使い方がめっちゃ面白かった。
https://www.ito-masatsugu.com

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