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#1 小学校受験の縁故・フリー・属性を紐解く[無料公開]

26/08/15 大幅リライト

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お受験を紐解く」シリーズは、幼稚園・小学校受験の構造や対策、耳にする噂や謎を解き明かすコラムを書き綴っているものです。
受験産業が多くを語らない、いわゆる「闇(不透明)」の部分に斬り込み、言語化に努めているのが特徴です。

本記事では、お受験における最大の話題、「縁故(コネ)」「フリー」「属性」について、小学校受験の歴史から紐解いております。

なお、本シリーズでは、私立のお受験幼稚園・附属幼稚園・小学校受験のことを「お受験」と称しています(お受験幼稚園とは、在園児童の大半が小学校受験を志す幼稚園です)。

※2025年1月に新潮社さんより書籍を出版させていただきました


▌お受験の歴史

縁故やフリーを紐解くには、お受験の歴史から知るのが近道です。

私立小学校創立の背景は大きく分けて2つあります。

一つは、創立者の理念に基づいた教育に賛同するご家庭の子女を集めた学校です。
もう一つは、キリスト教宣教師を中心に創立された、主に女子への教育普及を目的としたキリスト教系の学校です。

1874年に日本で最初の私立小学校である慶應義塾幼稚舎が創立されて以降、1900年前後に多くの私立小学校が創立されました。

多人数画一的教育の公立小学校とは対照的な、少人数個性尊重の私立小学校は多くの人気を集めました。1900年代前半には現代のような厳しい選抜がすでに行われ、家柄を問われ、あらゆるツテを探す、今の「お受験」の原形はほぼ出来上がっていたと言われています。

お受験が「親の受験」「一族の受験」と言われるのはそのためです。
お受験で言われる「親の受験」とは、親が子供のサポートをする受験という意味でなく、親自身、場合によっては一族の生き様(経歴)を見られる受験であることを意味します。

その後、戦時中も含めた100年近くの選抜が繰り返される中で、私立小学校は家柄・経済力を前提とした閉ざされた世界となり、社会的立場のあるご家庭のお子様の人格形成の大切な時期をお預かりする場所となって来ました。
加えて、伝統ある学校の環境や品格(ブランド)を保つ必要もあります。

そのため、素性の分からないご家庭を安易に入学させられない使命を持つことになりましたどれだけお金持ちだったり、子どもが優秀だとしてもです。

お受験での最たる実例ですが、愛子様が入学される学習院初等科に、反社会的な職業の家庭が紛れ込むことは絶対に避けなければなりません
同級生はもとより、初等科を共に過ごす前後の学年は相当な身元審査があったことは間違いないでしょう。

▌縁故とは?

このようにお受験の歴史を紐解くと、「縁故」(いわゆるコネ)の姿が見えてきます。

お受験における縁故とは

  • 両親どちらかがその学校の出身(同窓会などで学校と関われる)

  • 志願者の兄姉が在校生(普段から学校と関われる)

  • ご紹介者を通じて事前に身上書を提出する機会がある(時には事前面談もある)

といった、その学校に対して、どんな家庭(何者)であるかを考査前に伝えることができる家庭背景を指すものと考えて良いでしょう。
その学校への最も強力な「家庭の身元確認」です。

その小学校出身のお父様の子どもが受験する際、面接に現れたのは、35年前、小学校低学年の頃に、新任の先生として一緒に泥まみれになった先生でした。今や校長先生です。
「お久しぶりです。今日はよろしくお願いします。」
「楽しみにしてましたよ。」
で始まる面接です。
ずるいとか、そういうものじゃないですよね。

※縁故が考査に及ぼす影響についてはこちら

▌属性・縁故・フリーの相関図

上記の縁故を持つ家庭以外を、お受験界隈では一般的に「フリー(縁故なし)」と呼びます。そして、縁故・フリーを問わず、各家庭のバックグラウンド全てのことを、お受験界隈では「属性」と呼びます。

相関関係を図にするとこのようなイメージです。

属性・縁故・フリーの相関図

▌属性とは?

属性とは、その家庭を構成する要素全てを指します。「我が家には属性が何もない」という発言をSNS界隈で見かけますが、全ての家庭に属性は必ず存在します。
さらに、属性には大きく2つの役割があります。

・身元確認(相性)としての属性

まずは、そのご家庭の身元の信頼度合いです。身元の確かさと共に、各学校との相性という序列があります。

身元の確かさで言えば、縁故となる属性を筆頭に、親族内に在校生・出身者がいることや、祖父母や両親の社会的地位の高さや知名度、企業オーナーなどの経済力や資産などが挙げられるでしょう。

さらには両親が私立小学校出身、お受験幼稚園在園、有名教室への通塾、両親の勤務先などと続きます。身元が明らかな度合い、学園への貢献度が高そうなご家庭の序列が高くなります

学校との相性であれば、子どものポテンシャル(地頭、将来性)として、両親が医師(学力及び祖父母の経済力も担保される)を筆頭に、難関資格などの士業、アスリートなどの血筋、学校の求める出口や附属中高大の学力に見合った両親の最終学歴などが加わります。

キリスト教系の学校だと、両親のキリスト教との関わり度合い(洗礼、宗教校出身、教会学校への参加の有無など)が序列となります。

これらの属性が、選考ステップにおける「身元確認」の中で重要な役割を担っていることは十分に理解すべきです。

志望校の重視する属性に多く当てはまれば、俗に言う「属性が合っている」という表現になります。

・家庭の価値観の土台となる属性

もう一つが、教育方針や志望動機の裏付け(アピール)となる、「価値観の土台」の属性です。

各家庭の教育方針の土台となっているのは、ご両親の人生観です。その価値観を築いたのは、それぞれの人生の生き様です。
つまり、学歴や職業だけでなく、世界を回って気付いたこと、仕事で教育に関わって感じたこと、人生の転機となった出来事など、今のご両親の物事の考え方の礎となるもの全てが属性であり、願書や面接での説得力の裏付けとなります。

「身元確認」と「価値観の土台」の属性。この二種類の役割については、続編にて詳しく紐解いております。

▌「フリー」はあてにならない

・「フリーで合格!」は無意味

こちらをご覧ください。先ほどの相関図に、様々な属性を置いてみました。これだけの属性でも、その学校において縁故属性がなければ「フリー」となります。

これでも「フリー」

幼稚舎出身者の子どもが聖心女子学院初等科を受験してもフリーです。他の私立小出身の現職大臣の子どもが幼稚舎を受験してもフリーです。もちろん、地方出身のご夫婦が初めて小学校受験をされるのであれば、おそらくどこを受けてもフリーでしょう。

つまり、フリーはこれだけの振れ幅があります。
SNSに溢れる「フリー(縁故なし)で合格しました!」はあてにならないということです。上記の地方出身のご夫婦も、実家は地元の名士で中堅企業のオーナーかもしれないのです。

しかも、どの属性が強く働くかは学校ごとに異なります。有名人は避けたい学校もあるでしょうし、宗教教育の経験は何も響かない学校もあります。
同じ属性でも、学校ごとにその評価は異なるのです。

ご家庭それぞれで属性が異なり、その評価も学校ごとに異なる以上、「フリーは受かるか?」という質問自体に意味がないのです。

・フリーの親がやるべきこと

そして、属性がないと感じているご家庭ほど、SNSで一喜一憂したり、我が子に目くじらを立てたりする前に、やるべきことがあります。それが属性の掘り起こしと、親の資質の底上げです。
詳しくは「#2 小学校受験の選考ステップを紐解く」をご覧ください。

「私立小学校なんて縁故(コネ)で決まるんでしょ」というのは間違ってはいないのですが、そこで思考停止になってはいけません。それだけでは当然生徒数は埋まらないからです。

受験産業に煽られて我が子を無理に追い詰めたり、ご家庭に適した受験戦略を見誤らないよう、このようなお受験の構図をご理解いただければ幸いです。

最後までありがとうございました。
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