AIとの制作で『昨日の文脈』を失わないための引き継ぎmdテンプレ【無料配布】
こんにちは、サムなおとです。
今回は、私の創作で実際に使っている制作ログの考え方と、
引き継ぎmdテンプレを公開したいと思います。
今はAIの進歩が目まぐるしく、情報を追いかけるのが大変ですね。
自分に合ったAIツールを探し出して制作していますが、
今では以前よりもずっと早く、作品を形にできるようになりました。
文章を書く。
画像を作る。
3Dモデルを生成する。
Webサイトを作る。
ミニゲームを試作する。
投稿文を考える。
販売ページを整える。
ChatGPT、Claude、Codexのようなツールを組み合わせると、
ひとりでもかなり多くの作業を進められます。
でも最近、強く感じていることがあります。
AI制作で本当に難しいのは、
「作ること」よりも「次の日につなぐこと」
かもしれません。
AI制作は、セッションが変わると迷子になりやすい
私は多岐にわたるプロジェクトで作業をしているので、
その分制作に関わるセッションも多く持っています。
AIとの制作では、1回のチャットの中ではかなり話が進みます。
「この方向でいこう」
「この仕様は残そう」
「ここは後回しにしよう」
「次回はここから作業しよう」
その場では、ちゃんと整理できているように感じます。
でも翌日、別のチャットを開いた瞬間に、
急に分からなくなることがあります。
前回、何を決めたっけ?
どのファイルを使うんだっけ?
どの案が採用で、どの案がボツだったっけ?
Codexには何を頼む予定だったっけ?
この仕様は壊してよかったんだっけ?
AIの能力が高くなっても、制作側の文脈が散らかっていると、
作業は簡単に止まってしまいます。
むしろAIが優秀だからこそ、こちらが曖昧なまま作業を渡すと、
ものすごい勢いで違う方向に進むこともあります。
「音を追加するだけ」でも、実際には決めることが多い
たとえば最近、私は「時空紳士チャーリー」というキャラクターを使って、
ブラウザ上で遊べる小さなミニゲームを試作しています。
バナナ星人の攻撃を避け、市民を助け、
時間停止で集めたバナナを投げ返すという、かなり変なゲームです。
その制作中に、BGMや効果音を追加する作業がありました。

一見すると、やることはシンプルです。
「ゲームに音を入れる」
でも実際には、これだけでは足りません。
BGMをどこで鳴らすのか。
SEはどのタイミングで鳴らすのか。
BGMとSEの音量バランスはどうするのか。
Config画面に音量調整を入れるのか。
既存のSEを壊さないようにするにはどうするのか。
ファイルが見つからなかった場合にゲームが止まらないようにするにはどうするのか。
次回、Codexにどのファイルを触ってもらうのか。
実際の引き継ぎメモでは、BGM、SE、Config音量、ファイル命名、
追加SEの再生タイミング、既存機能を壊さないための禁止事項、
次回Codexに渡す指示まで整理していました。
この経験から、改めて思いました。
AI制作では、
「何を作るか」だけでなく、「何を壊してはいけないか」も引き継ぐ必要がある。
これを書いておかないと、次のセッションで同じ説明を繰り返すことになります。
あるいは、前回決めたはずの方針が、いつの間にか変わってしまいます。

引き継ぎmdに入れておくと便利な項目
mdファイルとは、Markdown形式のテキストファイルのことです。
ChatGPTやClaude、Codexにそのまま貼りやすいので、AI制作の記録に向いています。
私が制作後に残すようにしているのは、だいたい次のような項目です。
このセッションの目的
開始時点の状態
今回行った作業
決定事項
変更・追加したファイル
重要な仕様・条件
未完了タスク
次回やること
次回AIに渡す指示文
公開・販売・投稿に関するメモ
注意点
最後の要約
特に大事なのは、決定事項と重要な仕様・条件です。
制作が進んでくると、AIに「続きをやってね」と言うだけでは足りません。
「この機能は壊さないで」
「このファイルは上書きしないで」
「この導線は変更しないで」
「この案は採用済み」
「これは仮決定」
「ここは次回確認」
こういう情報を残しておくと、次のAIセッションへの立ち上がりがかなり楽になります。
いずれ、引き継ぎ機能はAIアプリに統合されるかもしれない
正直に言うと、こうした「引き継ぎ」や「文脈管理」の機能は、
これからAIアプリ側にどんどん統合されていくと思います。
ChatGPTやCodexのようなツールは、
すでに複数の作業やプロジェクトをまたいで扱う方向に進んでいます。
将来的には、今日やった作業、変更したファイル、次にやるべきことを、
AI側が自動でかなり整理してくれるようになるかもしれません。
それでも、私は引き継ぎmdファイルを書く意味は残ると思っています。
なぜなら、AIが記録してくれることと、
制作者が「何を大事にしているか」は少し違うからです。
この仕様は壊したくない。
この演出はまだ未完成だけど方向性は気に入っている。
この案は一度ボツにしたけれど、別の形で使えるかもしれない。
この投稿は数字よりも、シリーズの流れとして意味がある。
この作品は売上よりも、次の導線テストとして見たい。
こういう判断は、単なる作業履歴ではなく、制作の意図に近いものです。
AIがどれだけ便利になっても、自分が何を残し、
何を次に渡したいのかを言葉にすることは、
しばらく大事なままだと思います。
私にとって引き継ぎmdは、AIに説明するためだけのメモではありません。
昨日の自分の判断を、今日の自分と次のAIに渡すための制作ノートです。
無料テンプレ:Session Handoff Template 簡易版
以下は、私が使っている形式をもとにした、簡易版の引き継ぎテンプレです。
そのままコピーして、作業終了時に使えます。
少し長いですが、必要なところだけ削って使ってもらえれば大丈夫です。
# Session Handoff Template
作成日: {YYYY-MM-DD}
プロジェクト名: {プロジェクト名}
作業テーマ: {今回の作業テーマ}
対象物: {アプリ / ゲーム / 3Dモデル / 記事 / 動画 / 販売導線 / その他}
現在の状態: {未着手 / 作業中 / 実装済み / 確認待ち / 公開済み / 保留}
次回の推奨アクション: {次に最初にやるべきことを1行で書く}
---
## 1. このセッションの目的
このセッションで何を進めるために作業したかを書く。
例:
- 新機能を追加するため
- 公開前のチェックをするため
- 投稿文を作成するため
- 販売導線を整理するため
- 生成素材を比較して最終候補を決めるため
{ここに今回の目的を書く}
---
## 2. 開始時点の状態
作業を始める前に、どこまで完了していたかを書く。
次のAIが読んだときに、前提を誤解しないようにする。
完了済み:
- {完了していたこと1}
- {完了していたこと2}
未完了:
- {未完了だったこと1}
- {未完了だったこと2}
確認待ち:
- {確認が必要だったこと1}
---
## 3. 今回行った作業
このセッションで実際に行ったことを、時系列または項目別に整理する。
- {作業内容1}
- {作業内容2}
- {作業内容3}
使用したAI / ツール:
- {ChatGPT / Claude / Codex / Fable5 / 画像生成AI / 3D生成AI / その他}
使用した素材:
- {素材名やファイル名}
---
## 4. 決定事項
今回の作業で決めたことを書く。
次回以降に覆してはいけない方針や、採用した判断を明確にする。
- {決定事項1}
- {決定事項2}
- {決定事項3}
---
## 5. 変更・追加したファイル
ファイルを変更・追加した場合は、できるだけ具体的に書く。
追加:
- {path/to/new_file}
変更:
- {path/to/changed_file}
削除:
- {path/to/deleted_file}
未確認:
- {存在確認が必要なファイル}
---
## 6. 重要な仕様・条件
次回のAIが壊してはいけない仕様、守るべき条件を書く。
守ること:
- {既存仕様1}
- {既存仕様2}
- {変更してはいけない処理}
- {維持すべきUI / 音量 / 導線 / 表記}
禁止:
- {やってはいけないこと1}
- {やってはいけないこと2}
---
## 7. 未完了タスク
今回終わらなかった作業を書く。
- [ ] {未完了タスク1}
- [ ] {未完了タスク2}
- [ ] {未完了タスク3}
---
## 8. 次回やること
次のセッションで最初に行うべき作業を、優先順位順に書く。
1. {次回最初にやること}
2. {次にやること}
3. {余裕があればやること}
---
## 9. 次回AIに渡す指示文
次回、ChatGPT / Claude / Codex / Fable5 などにそのまま渡せる形の指示を書く。
以下は前回セッションの引き継ぎです。
内容を確認し、まず現在の状態と未完了タスクを要約してください。
そのうえで、次回やることの1番から順に進めるための具体的な作業案を出してください。
重要:
- 決定事項を勝手に変更しないでください。
- 重要な仕様・条件を守ってください。
- 不明点がある場合は、推測で進めず確認してください。
---
## 10. 公開・販売・投稿に関するメモ
公開や販売に関係する場合のみ記入する。
公開先:
- {X / note / BOOTH / Ko-fi / Sketchfab / ArtStation / その他}
公開状態:
- {未公開 / 下書き / 公開済み / 修正待ち}
確認する指標:
- {Views / Likes / Downloads / Orders / Clicks / Comments / その他}
次回の発信案:
- {補足投稿 / 制作ログ / 告知 / 更新報告}
---
## 11. 注意点
次回の作業者やAIに伝えておきたい注意を書く。
- {注意点1}
- {注意点2}
- {注意点3}
---
## 12. 要約
最後に、このセッション全体を3〜5行で要約する。
{今回の作業では、何を目的に、何を決め、何が残っていて、次回何をするのかを短く書く。}
Markdownファイルとして使いたい方は、こちらからダウンロードできます。
作業終了時にAIへ頼む文
このテンプレを毎回手で埋める必要はありません。
私は、作業が終わったらAIにこう頼むことが多いです。
今日の作業内容を、以下の引き継ぎテンプレに沿って整理してください。
次回のAIセッションに渡しても迷わないように、
決定事項、未完了タスク、壊してはいけない仕様、
次回最初にやることを明確にしてください。
固有名詞、ファイル名、変更した内容、注意点はできるだけ具体的に残してください。
これだけでも、次回の作業開始がかなり楽になります。
投稿や販売も「出して終わり」にしない
引き継ぎが必要なのは、実装作業だけではありません。
Xに制作ログを投稿したあとも、投稿本文、投稿の狙い、
投稿前の判断、初動、補足リプ方針、次回メモを残しておくと、
発信が単発で終わりにくくなります。
実際、私の投稿ログでも、動画の解像度、BGMの扱い、投稿時間、
初動のViewsやLikes、翌日の補足リプ案まで記録しています。
また、3Dモデルや素材を配布するときも、どこを展示場所にするか、
どこを公式ダウンロード場所にするか、
READMEや利用規約をどう整理するかを残しておく必要があります。
Sketchfab(3Dモデル)を展示・発見の場、
Ko-fi(支援ページ)を公式DLと利用規約管理の場として分けた導線テストでは、
ZIP構成、README、規約、7日間の計測項目まで整理しました。
AI制作は、作って終わりではありません。
作る。
確認する。
公開する。
反応を見る。
次に活かす。
別のAIに引き継ぐ。
この流れを止めないために、引き継ぎmdファイルはかなり役立ちます。
有料版について
今回公開した無料テンプレをもとに、
制作終了から次回開始までの流れを一式で使える
「AI制作 引き継ぎキット β版」をBOOTHで公開しました。
このnote記事で無料配布しているのは、
Session Handoff Templateの簡易版です。
β版には、次の内容を追加しています。
・Session Close Prompt
・Session Open Prompt
・Daily Summary Template
・START_HERE
・記入済みの制作実例
テンプレートを読むだけではなく、
制作終了時にAIへ引き継ぎを書かせ、
次回のセッションでその続きから再開するところまでを
一往復できる構成にしています。
AI制作 引き継ぎキット β版はこちら:
https://samnaot.booth.pm/items/8607207
おわりに
AIで何かを作ること自体は、これからもっと簡単になっていくと思います。
でも、作れるものが増えるほど、今度は別の問題が出てきます。
どこまで作ったのか。
何を決めたのか。
どのAIに何を任せたのか。
何を壊してはいけないのか。
次に何をするのか。
ここを整理できないと、制作物もチャットも増えるのに、
完成や公開までつながりにくくなります。
実際に、私も途中でやめてしまったプロジェクトもありました。
だから私は、AI制作にはプロンプトだけでなく、
まとまった引き継ぎの型が必要だと感じています。
AIに作らせるだけでなく、
AIと一緒に作品を育て、それを作り続けるための記録。
その第一歩として、このテンプレが役に立てばうれしいです。
