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【とんがり:25/12/15】

 私はコロナ禍前に起業しましたが、その前は、工場の自動化推進を手掛けるベンチャー企業に参画していました。起業10年目にしてCI戦略(Corporate Identity:企業イメージ統一)を一新したいという要請を受けたのです。初めて経験したベンチャー企業は、夢と情熱に溢れた若々しい会社なのですが、ヒトモノカネといった経営資源が脆弱で知名度も客先との接点も少ないという極めて厳しい状況でした。ただ、工場内の人手作業を代替させるための「ロボット五指ハンド」を開発しており、とりあえず指を握り握手ができる程度のプロトタイプができていました。

 私が参画したのは、ちょうど、東京駅前に新丸ビルが建替竣工され10階の日本創生ビレッジ(EGG JAPAN)に東京事業所をオープンしたタイミングでした。そこで、まず「京都のロボットベンチャー企業」だということをアピールし始めました。「京都の」と名乗るところがミソで、勝手に、ニデック京セラ村田製作所オムロン任天堂といったかつてのベンチャー企業の大成功組に続く、未来の有望企業ではないかとバイヤスがかかるのです^^;

 CIによる自社HPの抜本的なリニューアルと並行し、事業の柱であるFA事業(工場の自動化推進を請け負う)ではなく、ロボット五指ハンドのプロトタイプを全面的に推しだすことに専念しました。モノづくり補助金を申請し四苦八苦し採択を得たり、東京大学の研究室(現電気通信大学)と共同研究を開始したり、日本創生ビレッジのカンファレンススペースを借りて「ロボットハンド」のセミナーを開催したりと。その年2007年の国際ロボット展では、奥まったエリアのひと小間のブースで「ロボットハンド」を実演しました。特に日本工業新聞社ロボナブル編集長(現出版部部長)には、ロボット業界の最新情報などご教授くださり、後押しもしていただけました!


 「ロボットハンド」をアルミトランクに入れた簡易デモセットを持って、ロボット開発に関わるさまざまな企業の担当者に会いに行きました。関節部分に独自開発した「空気圧アクチュエータ」を配置しており、空気の出し入れで筋肉が収縮するように指が曲げ伸ばしできるという仕組みです。プロトタイプは右手なので握手することができます。外見もシリコンでホンモノのように着色しているため、まるでヒトと握手しているかのような錯覚を起こします。その驚く顔を見た瞬間に「ツカミはOKですよね!」というのですw 結果的に、日産リコー花王大和ハウスなどの工場内手作業工程自動化のご相談や、ソニートヨタなどのロボット開発担当者からの技術問合せなどに応じることで、ブラッシュアップしていくことにつながりました。

 玩具業界にいたせいか、ロボット玩具から昨今の愛玩ロボットへの進化には目を見張ります。AIBOの1号機は、今や我が家の納戸にて永い冬眠をしていますが^^; ただ、いまだに新しい製品やサービスに出会うとワクワクします。


 息子世代とも言える若者が中心となるスタートアップ企業の夢の後押しをするのは、生き甲斐でもあります。

 ただ、自社の特徴や製品やサービスのセールスポイントが、イマイチ明確ではない企業が少なくないのは残念です。

 コンサルファーム出身者が起業するスタートアップ企業がDXコンサル事業を展開するケースは多々見られます。その特徴を、「高品質・低コスト・超スピード」を謳うのはやむを得ないコトでウソではないと思います。ですが、「何でもできます!何でもやります!」というのはいかがなものでしょうか。言質を取られトラブルを招きかねません。

 玩具業界は、「ゲーム&ウォッチ」のヒット以降、「液晶ゲーム」開発が始まり、からくり機構のエンジニアではなく、プログラムエンジニアが必要になりました。そこで募集しますが、残念ながら玩具業界を希望するエンジニアは見つかりません。多くの人材紹介会社にも依頼しましたが、難航していました。その日来社された紹介会社の社長は、自らがエンジニア出身で人材スカウト会社を起業した、同い年の方でした。

 「たまごっちのヒット以降、液晶ゲーム開発を促進したくエンジニア人材を強化したい」とお伝えすると、「無理です。」と即答されます。「エンジニアという職種はもとより転職市場に出てきにくいんです。その上、玩具業界への転職となると、何をするのか想像つきにくいため、安請け合いすることはできません!」とのこと。

 正直、いきなり、無理だと断言され、驚きはしましたが、説明をお聴きし、逆に信用できる人ではないかと好感を持ちました。

 しばらくして候補者がいるとの連絡があり、自動車業界からの人材を採用することができたのです。この会社は、数多ある人材紹介会社の中でも、「安請け合いせず本音で話す」ことを実践していました。後で知るのですが、企業規模や社歴に関わらず、人事部門ではなく経営トップである社長との商談を重視しているとのこと。こうした他社とは違う特徴、つまり「トンガリ」を持つことが大切だと思うのです。

 「当たり前」を疑うことで、自社や製品、サービスの「独自性」や「優位性」を知ることがあります。上記の「京都のベンチャー企業」というのも、「当たり前」ではなく「有り難い」ことだったのです。

 ぜひ、自社の「トンガリ」を見つけ出し、「差別化」し「個性」として際立たせていくことを実践してほしいと思います。


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