私が「よりみち」した日
ライターとして4年目になったいま、記事を書く機会はずいぶん減りました。仕事でも担当するのはディレクションばかり。
指の病気もあり、なるべく長文のイチからの執筆は避けています。しかし、今この想いを書けなくて、私はいつ、ライティングスキルを発揮するのでしょうか…。
私も運営に関わらせていただいた「よりみちさん」のキセキのセミナーと、その裏舞台の話を今日はのこさせてください。
『発達障害当事者が語る「生き方を言葉にするセミナー」』そのお土産は?
世界には、たくさんの特性を持った人がいます。昔の病気を理由に障害認定を受けている私も、もしかしたらそんな特性を持つ1人かもしれません。
1月17日に開催された「生き方を言葉にするセミナー」に登壇したのは、発達障害を持つ「よりみち」さんです。
よりみちさんが語ったのは、SNS界でのキラキラした体験談でもなければ「やればできる」というお尻を叩く演説でもありませんでした。
「ありのままでいい」そんな、一見ありきたりなメッセージだったんです。
「今のままでいい」「ありのままでいい」という言葉は、昨今、確かに多くの場所で叫ばれていますが、なかなか自分を受容できない人が多いのが現状です。
「ありのままに」のメッセージを受け取れない人が、多くいる。
しかし、今回のセミナーでは参加者全てが、よりみちさんの「完璧な人間なんていない」「だからそのままで」というメッセージを、素直に、心の奥に落としていくのを感じました。
一般的にセミナーというと、素晴らしい成功体験を持つ登壇者が、成功の秘訣やノウハウを語ることがほとんどでしょう。参加者たちは何かしら知識を得て、帰路につくのが通常のお土産かもしれません。
今回のよりみちさんのセミナーで参加者が持ち帰ったのは、知識ではなく、ありのままの自分を抱きこむ、もう一つの自分の手だったのではないでしょうか。
そもそも「よりみりさん」とは?黄色いぬいぐるみをもった人がいる…
私がよりみちさんの存在を知ったのは、とある交流会でした。「何やら、ぬいぐるみを抱えた怪しい人がいる…あれはクマなのか?それともネコなのか?」そんなことを考えながら私はよりみちさんを見つめていました。
2023年に活動を始めたよりみちさんは、自身はよりみちをしながら、そして、ときに誰かのよりみち処になりながら、ここまで旅を続けられてきました。
発達障害を指摘され「自分には何もできない」と一度は立ち止まったよりみちさん。みんなが生きやすい世の中にしたいという想いを源に、知識ではなく「どう生きるか?」を、今日も発信し続けています。
よりみりさんの商品はたったの数冊。その少ない商品で、1.4万人というフォロワーが共感し応援するという背景さえ伝えられれば、これ以上語ることはないでしょう。
振り返り会で知ったまさかの「台本なし」
セミナーから数週間がたった昨日、運営メンバーで振り返り会が行われました。そこで、セミナーでのあの感動の言葉が全て台本なしだったことを知ったんです。
私も、普段ライター向けの講座を開いたりセミナーを開催したりしていますから、台本がどれだけ重要かは理解しているつもりです。
むしろ、台本がないと、伝えたいことは伝えられない!一方、よりみちさんは、60人もの心を動かしながらまさかの台本なし…。
ウソ偽りない言葉が、参加者に届けられた証です。普段台本を準備し、慎重に準備している私は、若干、嫉妬…。
と同時に、改めてよりみちさんの偉大さを実感しました。
よりみちしませんか?
知識やノウハウではなく、「今のままでも、ここにいていい」という確かな感触。台本のない言葉が、60人それぞれの心に届いたあの時間は、作られた成功談では決して生まれなかったでしょう。
よりみちさんの歩みも、このセミナーも、遠回りのようでいてちゃんと誰かの人生に寄り添っている。
現在、私が書くことから遠ざかっていることは先に書いたとおりです。
けれどそんな私もあの瞬間、確かに「言葉を信じていい」と思えた―。
この記録が、誰かにとっての小さなよりみちになることを願っています。
