おいしいものを食べたはずが……
3連休のど真ん中、その日は夫婦二人っきりだった。
息子は始発に乗って剣道部の大会応援に行った。
娘は下宿しているので、1ヶ月以上会っていない。
だから、最近は夫婦二人っきりになることがめっきり増えてきた。
たまには二人で外食を……
ということで、妻と二人で外食をすることになった。
何が食べたい?
と妻が聞いてくる前「スシロー行きたいな」とボソッとつぶやいたのを聞き逃さなかった。
そんな私は、「スシロー行きたい」と答えてみた。
実は、久しくお寿司屋さんに行っていないのだ。
妻は実家の父母や子どもたちと出かけた際、度々利用することがあるらしい。父の日とか、母の日とか。
残念ながら、私は誘われることがない。
なぜなら、生魚を食べないからだ。
欧米か!!
である。
いや、いまどき欧米人も普通に寿司を食べるだろう。
ただの偏食である。
特に赤身の魚は食べると気分が悪くなるのだ。
アレルギーではない。
加齢により、高級な肉が食べられなくなるのと同じ感じだ。
恐らく体の芯から貧乏性なのだ。
それも幼少の頃から。
スシローで食べるもの

なぜスシローに行くのか。
そこにスシローがあるから……
生魚を食べないのに?
そう。
だから、なかなか連れて行ってもらえない。
きっとあなたも思っただろう。
「生魚を食べないのなら、寿司を食うな」と。
しかしそれは間違いだ。
なぜかわからないが、スシローには行きたくなる何かがある。
子供心をくすぐる何かが。
50過ぎのおっさんも、少年の心を持ち合わせている。
恐らく、これからも、ずっと。
ちなみに、メインは肉系と麺類(特にうどん)を食む。
スシローは肉系のメニューが意外と多いのだ。
以前、スシローでアルバイトをしている人に言われたことがある。
「あなたのような人が居るから、スシローの経営は成り立っているんですよ」と。
どうやら、原価の安いものばかりを食しているらしい。
つまり、スシロー側からすれば、私は上客なのだ。
たまにしか来ないけど。
しかし、そう考えると納得できないことがあった。
スシロー=100円の時代が恋しい

どれだけの期間利用していなかったのかわからない。
一皿100円じゃなくなってる!!
衝撃を受けた。
100円だと思って取った皿の色が何やら高級感漂っているのだ。
もう一度メニューを見たら、180円と書かれてあった。
180円だと知っていたなら注文しなかったのに。
後悔先に立たずとはこのことである。
180円の価値があるか?と聞かれるとやや疑問だからだ。
ちょっとチーズが載っているだけなのに、付加価値を付け過ぎではなかろうか。
1cm角くらいの、小さな小さなチーズだ。
材料費が高騰しているとはいっても、明らかにやり過ぎである。
もっと魚の方を値上げすべきだろう。
2種類ある!

もう一つ、衝撃を受けたことがあった。
それは、メニューだ。
100円以外のメニューが増えていることにも驚いたが、気になったのはミートボールだ。
とりあえず、ミートボールの軍艦巻きを注文してみた。
そして、その直後に再度メニューを確認したら、「マヨ載せ」があった。
もちろん、同じ値段だ。
同じ値段なのに、マヨの載っていない方を食べてしまったのである。
やってしまった。
ただでさえ原価の安いものを食べているのに、マヨすら載っていない方を選んでしまったのだ。
私はそっと、マヨ載せの方も注文しておいた。
実に、二度手間である。
話は変わるが、スシローに足が遠のいてしまった人も多いのではないだろうか。そう、原因は世間を騒がせた、あの事件だ。
醤油ペロペロ事件の弊害

醤油ペロペロ事件は回転寿司業界のみならず、外食産業全体に衝撃を走らせたであろう。
少なからず、私もその被害を被った。
コロナの影響か、事件の影響かはわからない。
なにせ、久しく行っていないのだ。
そして、商品は自分で注文しなければ回ってこない。
回っている商品を好きに取れないのだ。
注文するわずらわしさのない、古き良き時代はもう二度と戻ってこない。
そして今回、新たに気がついてしまったことがある。
取り出すゾーンがかなり狭くなっているではないか。
恐らく、皿2個分くらいの間口しかない。
やってしまった。
注文した商品を取り損ねてしまったのだ。
気がついたときには、対象物は手を伸ばせない位置にあった。
ほんの少しなのに、最終列車の中から手を振っている恋人のように手が届かない。
そしてその商品は、残念ながら二度と日の目を浴びることはなかった。
しばらく、商品のほとんど載っていないレーンがぐるぐる回るのを眺め続けたが、結局諦めて帰るしかなかった。
もう、そこに恋人はいない。
都会の風に染まってしまったに違いない。
悲しい。
せっかくの夫婦二人きりでの外食は、後味の悪いものになってしまったのだ。なんだか切ない。
とはいえ、美味しかったことには間違いない。
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