耳からオタク
小さい頃、うちにはVHSデッキがなかったので、テレビでやっていないアニメや特撮を見たかったら、友達や親戚の家に行くしかありませんでした。
もちろんそれはそれで面倒だし、見る番組も自分で選べないし、親に頼んでもVHSデッキは買ってくれないし、どうしようってイライラしていました。
「でも、VHSデッキがなくてもラジカセはあるじゃないか。じゃあせめてアニメや特撮の曲だけでも聴こう」
って思いました。
当時買ったカセットテープには特撮やアニメソングが入っていて、作品の年代もバラバラで、ジャンルも混ざったランダムな選曲のセットのようなものでした。
でも日本語の歌詞と中国語の訳詞が印刷された紙が付いていて、それがとても助かりました。
この前にアニメや特撮を見ていたときは映像に夢中で、主題歌を意識して聴くことはほとんどありませんでした。だから落ち着いて曲だけを聴くのはそれが初めてでした。
そして実際に聴いてみると、一気に目が覚めるような衝撃がありました。
当時台湾で放送されていた子ども向け番組の曲は、児童合唱団が歌うシンプルで明るいものがほとんどでした。
一方で日本のアニメや特撮ソングは、力強い男性歌手や色気のある女性歌手が歌っていたり、渋い曲や切ない曲、激しい曲まで本当に幅が広い。
電撃戦隊チェンジマンや北斗の拳の主題歌みたいイントロから激しくて強烈なものもあれば、超時空要塞マクロスの主題歌みたい壮大なものもありました。
さらに歌詞が深くで英語が多く混ざっている曲や、銀河漂流バイファムの主題歌みたいすべて英語で歌われる曲もあって驚きました。
「子供たちにこれを聴かせるの?」
って本気で思ったくらいで、アニメや特撮ソングに対するイメージは完全にひっくり返されました。
そういうカセットテープを4〜5本しか買えなかったのですが、それを何度も繰り返し聴いていました。
最終的には、曲を聴きながら中国語の当て字で日本語の歌詞を書き写し、それで鼻歌を歌うようになっていました。
あえて言えば、それが僕にとって最初の日本語の勉強だったのかもしれません。
