ピンポン、ブロック、エレベーター
小さい頃のある日、お父さんは仕事が終わると、わくわくした様子で小さな箱みたいな変な機械を持って帰ってきました。
それは、うちで初めての家庭用ゲーム機でした。
セガでも任天堂でもなく、製造会社の名前もわかりませんでした。本体にはコードでつながったコントローラーが二つ付いていて、それにはボタンも十字キーもなくて、ダイヤルが一つ付いているだけでした。
ゲームは本体に内蔵されていて、種類はひとつだけでした。
二人で白いボールを打ち返すだけの、ピンポンみたいなゲームです。
少しだけバリエーションはありましたが、基本はそれだけでした。
それでも、家族と一緒に遊ぶのはすごく楽しかったです。
そのあと、近所の子どもの家に遊びに行くことがあり、そこにもゲーム機がありました。しかもうちより種類が多く、ブロックを壊すゲームや、ジャンプして穴を飛び越えるゲームなどがありました。
当時の台湾ではまだ家庭用ゲーム機はあまり普及していなくて、自分の家のものが一番だと思って少しだけ自慢していたんです。
でもすぐに、他の家にはもっとすごい機種があると知って、少しショックを受けました。
さらに別のとき、また別の子どもの家にも行きました。そこにはもっとすごいものがありました。
その時にやったゲームは、主人公のキャラクターがちゃんと人間として見えて、ジャンプもしゃがむこともできました。銃を撃って敵を倒したり、電球を撃って壊すとフロアが暗くなって敵の行動を邪魔できたりします。
部屋に潜入して機密書類を盗み出したり、エレベーターでフロアを移動したり、エレベーターで敵を押しつぶすことまでできました。
さらにステージをクリアすると、主人公が車に乗ってかっこよく画面から去っていきました。
一つのゲームなのに、できることが多すぎて衝撃でした。
そのあと、兄が学校から帰ってきたので、僕は興奮して、
「今日すごいもの見た」
とそのゲームの話をしました。
すると兄は、
「嘘つけ!そんなゲームあるわけねぇだろ」
と少し怒りました。
あとで知ったんですけど、そのゲームはエレベーターアクションでした。
