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第18回:「2次試験の迷宮」で立ち尽くした私が見つけた、採点者と繋がる「唯一の言葉」

1次試験を突破し、意気揚々と挑んだ2次試験。実際には本試験中の緊張と焦りで迷宮入りし、出口を見失うことになります。

「自分の書いた解答は、論理的に正しいはずだ」。そう確信していた私の答案は、採点者には一瞥もされませんでした。その答えは、私が「自分の言葉」「自分の理解・解釈」で語ろうとしすぎていたことにありました。

自分の「正論」が、採点者の「正解」を邪魔していた失敗

当時の私は、1次試験の知識や自分のビジネス経験を総動員して解答を作成していました。「実務ならこう解決する」「この業界の定石はこれだ」。テキストや与件文を飛び越し、自分の頭の中にある成功体験や知識を、一方的に解答用紙に書きなぐっていたのです。

しかし、採点者が求めていたのは、wataruという個人の見解ではなく、中小企業診断士という「型」に基づいた、客観的な分析でした。

私の正論は、試験の土俵の上では、ただの「ノイズ」に過ぎなかったのです。

出題者の「問い」を、勝手に書き換えていた油断

私が陥っていたもう一つの罠は、設問文の解釈です。 「A社の強みを活かした戦略を答えよ」という問いに対し、私は勝手に「A社が生き残るための奇策」を答えていました。問いに答えるのではなく、自分の言いたいことを優先して、問いの方を自分に寄せてしまっていたのです。

合格者の再現答案を横に並べて分析したとき、私は絶望しました。彼らの文章は、私から見れば「当たり前すぎる内容」ばかりだったからです。しかし、その「当たり前」こそが、出題者と合格者が共有している「共通言語」でした。

自分の色を消し、共通言語をインストールするプロセス

この迷宮から抜け出すために私が行ったのは、自分の知識を増やすことではなく、自分の「主観」を徹底的に削ぎ落とす作業でした。

  • 与件文の言葉を、そのまま使う: 自分の語彙を捨て、与件文にある表現を「部品」として解答を組み立てる。

  • 因果関係を、診断士の型にハメる: 強み → 施策 → 効果という、診断士試験特有のロジックに無理やり自分を押し込める。

  • 採点者の視点を、先回りする: このキーワードを書けば、採点者は加点せざるを得ない、という言葉の「パズル」を完成させることに徹する。

この「自分を消す」訓練を始めてから、私の解答は、誰が読んでも納得できる「試験の解答」へと進化しました。

パフォーマンスを最大化する「静かな脳」の状態

教材を絞り込み、情報を集約する作業と同様、思考のコンディションも、絞り込み、と、安定化、が不可欠でした。

  • 感情の排除: できた、できた、と慢心せず、また、できない、と落ち込まない。感情を横に置くための呼吸のルーティンを構築する。

  • 判定はただの記号: 判定は、あなたの実力を予言しない。知识に空いた穴を見つけるためのデータに過ぎない。数字はただのデータであり、あなたへの評価ではない。

この「脳のメンテナンス」を、ただ淡々と、機械的に繰り返す。一見すると学習時間を削るように見えるこの時間が、実は、直前期の多忙な日々を戦い抜くための、唯一にして最大の戦略的投資でした。

おわりに

「自分を疑う」ことは、自信を失うことではありません。自分の主観というフィルターを外し、出題者と「共通の言葉」で対話をするための、冷徹なコンディショニングです。

向き合うべきは、熱い意気込みではなく、冷徹なルーティンの実行です。感情を横に置き、決められた一歩を淡々と踏み出す。その積み重ねの先に、合格というゴールが待っています。


次回予告

「体調管理」という名の戦略:試験当日の1点を守り抜くための、冷徹なコンディショニングについて。

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