【Day89】蛍光灯が「刺さる」人がいる。その痛みに、AI2匹を叩き起こした話【眼鏡屋店長のAI開発奮闘記】
閉店後の夜。
お店は、さっきまでの喧騒が嘘みたいに静かで、売り場の照明だけがこうこうと光っている。
明日はDay 90。
…90日間、毎日AIと格闘してきたのか、俺。ちょっと待って、それ普通にすごくない? 自分で言うのもアレだけど。
まあ感傷に浸るのは明日にして、今日もやっていく。
今日のテーマ:「蛍光灯が刺さるように眩しい」というリアルな悩み
接客をしていると、こういうお客様に出会うことがある。
「職場の蛍光灯が痛くて、毎日頭痛が……」 「スーパーに行くだけで目が疲れて、帰ったら何もできない」 「LEDの光って、なんか……突き刺さりませんか?」
突き刺さる、という表現。最初に聞いたとき、「あ、これは比喩じゃなくて、本当に痛いんだ」と気づいた。
これが「視覚過敏」と呼ばれる症状で、発達障害や偏頭痛持ちの方に多く、特定の波長の光——蛍光灯やLEDのギラつく成分——が、脳に過剰に届いてしまう。
そこで出番なのが「遮光レンズ」だ。
普通のサングラスと何が違うか? サングラスは全体的に暗くする。でも遮光レンズは、痛みを引き起こす特定の波長だけをピンポイントでカットして、明るさはなるべく保つ。
医療機器でもあるこのレンズ、知らないお客様が大半で、「こんなものがあるなら早く教えてよ!」と言われることも多い。
だから今日のシミュレーターのコンセプトはこれだ。
「スーパーの蛍光灯の下、裸眼と遮光レンズ装着後の見え方の違いを、画面で体感してもらう」
接客中に言葉だけで説明するには、あまりに繊細すぎるテーマ。だからこそ、視覚化する価値がある。
Gemini先生、盛大に自爆する
まずGemini。
UI全体の色使いは、これが結構よかった。目に優しいペールトーンでまとめてあって、「さすが、視覚過敏のテーマを理解してる」と感心した。
感心した、最初の5秒だけ。
「白い紙の下での見え方」を表現するシーンで、白い紙を模した白いエフェクトが画面に広がった瞬間——
操作ボタンが、消えた。
正確には「覆われた」のだが、真っ白なエフェクトの下に潜り込んで、完全に押せない状態に。
…接客ツールで「ボタンが押せない」って、それ最早ツールじゃないよね? 白旗じゃないですか。
目に優しい配色で作っといて、機能面で目も当てられない状態になるという、ある種の芸術的な矛盾。惜しい、本当に惜しい。でも現場ではアウト。
ChatGPT、ちゃんと動いた。でも目が怖い
ChatGPTはバグなし。最後まで使えた。遮光レンズをかけたときの「ギラつきが和らぐ」感じも、なかなかうまく表現できていた。
ただ一点。
シミュレーター内に「目のイラスト」が出てくるんだけど——
やけにリアルなんだよなあ。

虹彩の細かいテクスチャとか、血管の走り方とか、そういうの要らんから。「目の健康を守る」というコンセプトのシミュレーターで、なぜ人体模型みたいな目が登場するのか。
お客様に画面を見せたとき、「なんかちょっと……怖いですね」となる未来が見える。
AIのセンスと、現場の接客センスが、たまにこうやって全力ですれ違う。
でも、動く。ちゃんと最後まで動く。
今日の勝者:ChatGPT
採点基準はシンプルだ。
「接客中に、お客様の前でちゃんと動くか」

これだけ。
どんなに色使いが美しくても、ボタンが消えるシミュレーターは使えない。目のリアルさがちょっとホラーでも、最後まで動くシミュレーターは使える。
というわけで、本日はChatGPTの勝ち。
目のイラストは……まあ、次回の改善点として積み上げておく。
明日はDay 90。
節目の日に何を作るか、正直まだ決めていない。でも、90日間毎日続けてきた事実だけは、もうどこにも消えない。
視覚過敏のお客様が「これ、私のための道具だ」と思えるようなシミュレーターを、最終的には完成させたい。そのための89日だったし、90日目もその先も、そのためにやっていく。
さて、明日の仕込みを始めますか。
オレンジ店長でした。
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