ありますように、もしくは【ゆるっとリレー小説1年A組|書く部スピンオフ・第五話】
このお話は、以下の企画、その第五話となります。
3階にあるあたしたちの教室は、授業中とは違う色をしていた。うっすらとしたきれいなオレンジが、普段の教室を隠している。
まるで、あたしの気持ちみたいに。
「確か、さ」
啓太が教卓の中を覗いて言った。
「ここに同じくらいの大きさの箱があったはずなんだよ」
しゃがみ込んで中を改めている啓太の隣に並んで、あたしはスマホのライトで中を照らす。
担任が使う書類と教材、予備のチョークの箱。見慣れないものはひとつもない。
しばらく手を突っ込んで探していた啓太が、とうとう中身を全部教卓の上に出し始めた。
「ほんとにここにあったの?」
「この鍵の箱かどうかはわからないけどな」
頷きながらも手を止めない啓太の声は、心なしかはずんでいる。忙しなく動くその手を見つめながら、あたしはもし見つかったら、と考えていた。
*
「うーん……ない、か」
出てきたのはやっぱり書類とチョークでしかない。念のためチョークの箱も開けたけど、白と黄色が整然と並んでいるだけだった。
「そっか」
正直に言うと、残念な気持ちが半分。もう半分は、嬉しかった。時刻は十七時をまわるところで、完全下校まであと一時間。
このまま、見つからなかったら。
啓太は探すのを諦めてしまうだろうか。それとも。
「どうする? 今日はもう、やめる?」
駆け引きするように訊いてみる。お願い、どうか、あたしと同じ気持ちでいて。
「……いや、もう少し探してみよう」
黒い縁の下、啓太の目はいつも通りだったけれど、心なしか微笑んでいるみたいに見えた。
*
共用のロッカーと、掃除用具箱。それから担任の机の上を見てみたけれど、箱は見つからない。ここじゃないのかもしれないし、そもそも箱が今、存在するのかどうかだってわからない。
すっかり手がかりを失ったあたしたちは動けなくなってしまった。啓太の椅子を借りて座り、金色に輝いた鍵をつまんで持ち上げてみる。ねえ、あなたの番は今どこにいるの?
「あれ?」
なにかを思いだすみたいに険しい顔をしていた啓太が声をあげた。視線の先を追うと、本棚の端を見ている。
「あんなとこにあんなものあったか?」
見れば確かに、小さな箱があった。立ち上がった啓太が箱を手にして、眺めながら戻ってくる。大きさも、鍵の形も、見た感じではぴったりな気がする。
もしかしてこれが、探していた箱?
あたしは啓太に鍵を渡す。一度視線を合わせてから、啓太が鍵穴に鍵を差し込んだ。
第六走者のKoh(コウ)さんへ:長々書きましたが、バトン受け取ってもらえたらうれしいです。細かい部分(特に教室内の位置関係など)は全然気にせずのびのび書いてくださーい!楽しみにしてます♡
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