小説 ひとかじりの幸福 TALESに投稿始めました。
***サンプル***
「ふたばのガトーショコラが食べたいです。今日じゃなくていいから」
遠慮がちな文面にピンとくるものがあった。……体調を崩してる。
「アホ」
仕事を終えた午後7時。
深呼吸してから、ふたばは一言レスした。
*
「……風邪ひいた……」
壁際のソファに横になって、ふかふかした表情で透が言う。
「分かってた」
ふたばは荷物を投げ出し、その勢いで洗濯機を回した。
試験の日まで生き延びられればいい。
そんな感じの部屋の中だった。
やり終えた過去問にはテキストが乗っかっている。
「ずっとふたばのごはん食べたいなって、思ってた」
ソファの上で透がため息みたいに言う。
手には蛍光ペンを握りしめたままだった。
「連絡すればよかったじゃん」
「ふたばが俺の顔見ると疲れるって言ったから」
鍋の中を回す箸のリズムが、ちょっとずれる。
ーーこんな距離感の二人を書いています。
よろしくお願いします。
