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いまどきの大学生らしい魅力かも。『#100日チャレンジ』大塚あみ

すごく売れている本。私が入手したときは、発売3ヶ月で7刷でした。サブタイトルは、「毎日連続100本アプリを作ったら人生が変わった」で、一応、技術書に分類されるらしいです。紹介では、技術書でもあり、大学生のエッセイ風でもあり、自己啓発本にもなるし、青年の成長物語でもある……とのこと。

なんとなく気になって入手してみましたが、期待以上におもしろかったです。まず、文章がシンプルでリズムがあって、登場人物が適度な距離感を持っていて。大好きな藤井太洋さんの『ハロー・ワールド』を思い出しました。つまり私は、エンジニアさんの文章が結構好きなのかな?

作者の大塚さんは、経済学部の学生。夜遅くまでyoutubeで動画を見ていたり、オンラインゲームをしていて朝が起きられないとか、興味のない授業では大体スマホでゲームをしている、いまどきの学生さん。プログラミング(?)の授業に出て、ChatCPTを知った彼女が最初に聞いた質問「レポートをさぼるにはどうすればいい?」も、ホント普通の学生さんっぽい。

でも、その後、オンラインでプログラミング言語Pythonを実行できるGoogle Colaboratoryを活用した授業で、以前とったプログラミングの授業を活かして、いきなりChatCPTにオセロゲームをつくらせてしまうところはすごい。そして、先生が褒めてくれたことで、そこからChatCPTを使ってゲームを改良していくところもすごい。

ChatCPTでゲームをつくるおもしろさを経験した大塚さんは、Xで偶然見た  #100日チャレンジ を真似して自分でも毎日1つづつゲームを作ってみることを思いつきます。普通の人なら10日くらいで挫折しそうですが、彼女はそれを100日やって実行してしまうので驚きます。

自分の好きなこと以外、面倒なことをしたくない大塚さんは、サボるために全力投球。こういう人は、エンジニアに向いていると聞きます。あと結構重要だと思ったのは、大塚さんはほどよく「外ヅラがいい」。なので毎日、ちょっとづつでも向上しているところをみせようとするとか、先生に頼まれたら断れないとか。まじめじゃないけど、自分のためにがんばれるタイプ。

最初は、ほぼほぼChatCPT任せだったプログラミングも、ChatCPTが書いたコードを修正して、少しづつ複雑な内容のゲームに挑戦するうち、数学やプログラミングの知識が必要だとわかってきます。そして、そんな彼女にアドバイスして、食事で釣りつつ、学会報告の機会を与えてくれる先生。大学の醍醐味は、こういう偶然の出会いですよね。

個人的にこの本でおもしろかったのが、大塚さんの妙に達観したというか、いまどきの若い人らしい部分です。まじめに努力することに一切価値を感じない、先のことなんかわからない、報われるわけがないっていう見切った感じ。他人や世の中に一切期待していないっぽいのは、できる大学の学生さんっぽい。ただし、それでも大学生なので視野は狭いけれど。

だけど、できる大学の学生さんらしく、外面は取り繕える。先生が紹介してくれた就職先の面接でも、通り一遍の質問に心の中で辛辣に反論しつつ、実際にはちゃんと受けそうな返答をしてみせたり、プライバシーに踏み込んだ失礼な質問に苛立ちつつも、一応我慢して対応するとか。

だからこそ、自分のできる範囲でしか人付き合いしません。バイトもサークルもしない。そのかわりにオンラインゲームでは、気の合う、知らない誰かと一緒に楽しめる。彼女が21世紀に生まれて、本当によかったし、いい先生と出会えてよかった。

大塚さんは、論文を書くことになったり、国際学会に出て評価されたり、論文を書いたり。先生に視野を広げてもらって、どんどん成長していきます。でも、絶対に浮かれたり、先走ったりしない。いきなり別の人の学会報告の代役させられても、知り合いに愚痴りつつ、あわてないでメモして確認しているあたり、私も見習いたい冷静さです。

メモといえば、プログラミングを始めた当初、大塚さんは素人な自分が、何度も同じ間違いをして「二度手間」にならないように、プログラミング過程を詳細にメモして記録していたことで、貴重な体験がこの本にまとまった模様。

私にはプログラミングはできませんが、できるようになったつもりで楽しめたし、何より、今どきの大学生さんがこんな感じだって少し理解できたので、新しい仕事に役立てられそうです。

プログラミングとか、エンジニア関連の読み物の楽しさを知ったのは、こちら。未読の方には、おすすめです。


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