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ミシガンに乗って、びわ湖疏水船を見たくなる。『成瀬は天下を取りに行く』『成瀬は信じた道をいく』『成瀬は都を駆け抜ける』宮島未奈

毎年、年末の帰省は長時間移動。新幹線・特急&フェリー長時間を楽しく過ごすため、手軽に読める本を数冊準備することにしています。が、この本はおもしろすぎて、どれも1日で読んでしまいました。ちょっとだけお試し読み……が裏目に出た!?

もともと、R18文学賞を受賞した作品ということで、名前だけは知っていたのですが、なぜか読む機会がなかったです。今回、久しぶりに思い出したのは、シリーズが完結したというお手製特大ポスターを本屋さんで目にしたから。通勤途中の本屋さん、ありがとうございます!

なんかもう、出だしからグッと引き込まれて楽しかったです。私は信州出身なので、滋賀ローカルな話はよくわからないのですが、滋賀といえば大阪の隣り。何回か、お仕事でも行ったことがあるので、ほんのちょっとだけイメージもできます。本当にちょっとだけど。

同時に、中学生という年頃の女の子特有のヒリヒリした感じもあり。すれ違いや友情も、懐かしいというか遠い過去というか。だから、「女による女のためのR-18文学賞」受賞作なんですね、納得。そして、平成や令和っぽい優しい視点で、みんながそれぞれ成長していく話でもあります。

昭和の時代では、こういう展開はなかったなあ……と、しみじみしてしまうのは、自分が年取った証拠。田舎で勉強できて、スポーツできて、ポスター展とか入賞してたら「女らしくない」って批判された世代なので。

やっぱり時代は、ちょとづつ良くなっているんだなあと実感します。対立するのではなく、お互い適度な距離をとる子供たち。そういう「大人な」物語は好きです。そして、譲歩するのではなく、相手を知って、相手に慣れて、対応していく人間関係は悪くない。令和っていいな、そんな感じ。

そして、こういうニンゲン関係が絶妙に成立するのが、滋賀っていう場所なのかなあと。大阪や京都や名古屋がそれなりに近くて、ローカルだけど人の出入りがそれなりにある、開けた場所。滋賀県って、琵琶湖の面積も広そうだし。

東北や九州、四国だと山があるからこういう感じにはいかなそう。もちろん、信州のある中部や北陸だって、場所によっては難しい。人も文化も割と固定されてたり。標準語しゃべっても壁ができないって、結構大事。いや、成瀬の喋り方はどっちにしろ微妙だけど。

もっと文化が面倒で、交通機関が制限された場所だと、成瀬のよくわからないパワーは限定的になってしまうんだろうなあと。いや、令和の今だったら、そうはならないかな? それとも成瀬だったら、別の突き抜け方をするだろうか?

そんな感じにあれこれ妄想してしまうほど、この物語が好きになりました。主人公の成瀬もいいけど、私は相棒の島崎が好き。あと、びわ湖大津観光大使でふりまわされる篠原ちゃんもいい感じ。成瀬に決してふりまわされないお母さんも大好き。

完結編では、成瀬が膳所から世界を少しづつ広げて、仲間を獲得していく感じがいいです。私は昭和の生まれなので、大学で大阪に来て、やっと地に足がついた感じがしました。でも、成瀬の場合は自宅通いで、地元バイト。違うのはインターネットですね。

ネットを使ったら、地元にいながら、広く発信して、賛同者を募れるツール。成瀬は基本変わってないので、ネットを使えないけれど、まわりに使える人たちが集っていくのがいいです。成瀬シリーズらしいし、令和らしい。

とりあえず、来年そうそうの目標は、びわ湖の遊覧船ミシガンに乗りに行くことは決まりました。それから、完結編を読んだら、びわ湖疏水船も猛烈に乗りたくなったし。楽しみが増える読書は楽しいですね。

近くに住んでるけど、実はあんまり滋賀って知らないなあという方、遠いからよく知らないよって方にも楽しめます。新年は滋賀を楽しみたいです。家族でGO!

近江が舞台の小説といえば、今まで私は氷室冴子さんの『銀の海 金の大地』しか知りませんでしたが、これからは現代版なら成瀬シリーズですね。楽しい。



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