恋の終わりを見送って、私の今日が始まった
ゴールデンウィークと呼ばれる
祝日が並んだある日。
朝、8時。ベッドから起きあがる。
6時頃には目を覚ました。
ごろごろしながらスマホをながめたり、
また少し目を閉じたりしているうちに、
少しずつ外の気配が動き出す。
寝室からリビングへ。
私の動いた先だけ、今日がゆるりと始まっていく。
私は主婦である。
私は母である。
今日の私は、私である。
一人でお湯を沸かしてコーヒーをいれる。
インスタントの。
昨夜買ってきておいたパンをかじりながら
開く録画リスト。
NEWというマークが付いたままのタイトルは
放送日が一年以上も前だった。
綿100%のパジャマの上から両膝とマグカップを抱えて、テレビと向かい合う。
他の何のことも考えずにいられた。
パンをかじり、コーヒーを飲み、
そっと笑って…
──あ、この駅なつかしい。
もうきっと降りることもないだろう。
誰かに呼ばれることもない、私だけの時間に
映画の世界と記憶が重なっていた。
合田の二階で食べる揚げたてのメンチカツ。
待ってる時間にイニD読んでたなぁ。
シェードを下ろしたままのリビングには
静かな明るさが届いていた。
涙腺の緩みをまるごと受け止めたら、
傍らに丸めたティッシュを転がすだけ。
誰かのためではない時間が、
こんなにも静かで、こんなにも満ちていることを思い出していた。
誰かの恋の終わりを見送って、視線をずらす。
時計の針はまだ午前10時台を指していた。
