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ROCKは世界に何を伝えられるだろうか?~ネタバレ有!ONE OK ROCK ツアー2026 最速ライブレポ~

⚠️レポ前の注意事項として⚠️

ご覧いただきまして、誠にありがとうございます!!

こちらのコラムですが、下記にセットリスト・演出等に触れる公演内容のネタバレが含まれております。これから、「ONE OK ROCK DETOX JAPAN TOUR FINAL 2026」に参加されるファンの方々は、ここから先の投稿の閲覧に注意していただけますと幸いです。

これから、ツアーに参加される方はもし可能でしたら、このnoteの記事をブックマークするかいいねするかして、後日見れるような工夫なんかしていただけますと、帰り道に思い出を確かめる材料として、このコラムが機能してくれると思います。ぜひ、こちらのnoteをご活用くださいませ。

そして、毎度あたしのnoteをよく見ていただいている方だったら、ご存じかもしれませんが、今回もめちゃくちゃ文章量多いです。今回の場合、およそ22,000文字あります。ですが、じっくり丁寧に・個人的な感想・考察込みでまとめています。

⚠️上記、このコラムの注意事項となります。こちらを読んでいただいた上で、下記の本編をご覧いただけますと幸いです!!⚠️


導入:ライブを観に行く動機付け

唐突な話だが、あたし自身のライブを観に行く動機というものは、結構様々なパターンがある。純粋に長年大好きでいるからこそ、最低でも年1回ペースで観に行きたいと思う音楽。深堀して聴いている訳ではないが、近場でライブがあって日程的にちょうど合うなぁと思って、チケットを買うもの。身内や友達がチケットを買っていて、人数合わせ的な理由で連れられるやつ(これは、どちらかといえばレアケースだが)。まぁ、多種多様。

そんな理由の中に「アルバムを聴いて、観に行きたくなる」というシチュエーションがある。案外、この理由でチケットを買うことが個人的には多いような感触がある。今時、アルバムを聴いてライブみたいという動機付け… ましてやアルバムを熱心に聴く音楽リスナーがどれだけいるのかわからないが、あたし自身未だに気になったCDを手に取ることが多い人間なので、そういう状況に出会うことが結構ある。

その理由を語ればキリがないのだが、要約して話せば「CD音源での楽曲の感じ方とライブ表現での楽曲の感じ方は全く違う」という前提が個人的にはあるからだ。CDの場合は、基本的には聴覚情報がメインで、加えて歌詞カード・ブックレットの表現や魅せ方、つまりは一部の視覚情報によって左右されることがある。MVだったら、そこに視覚情報が大きくなっていく。結構、映像の切り取り方によって、感触が左右されることは多いと思う。それはそれでいいことかもしれないが。

だが、ライブとなるとモノが違う。

全てが、生モノだ。故に、見え方も感じ方も変わってくる。CDでは聞こえなかった音の間のとり方や息遣いも感じられる。また、映像演出や照明の付け方で、曲の捉え方も変わってくる。そういう「ライブマジック」というものが、現場には存在する。

こういう「変化」を感じてみたいと思う音楽って、あまり出会うことが少ない。故に、そう感じたものに関しては、積極的に観に行こうと心に決めている。

そして、今回行ったアーティストも、そういう理由があって、観に行くことにした。アルバムを聴いて「行けたらいいなぁ」と感じたのが、大きい理由だった。

今回のnoteは、ONE OK ROCKを特集する。

もしかしたら、最速のライブレポ、になるかもしれないです。

20周年を越えたワンオクの今

2005年に東京都で結成されたロックバンド・ONE OK ROCK(通称・ワンオク)。2007年にシングル「内秘心書」でメジャーデビュー、2009年に現在の4人体制になってからは「完全感覚Dreamer」や「The Beginning」、「Mighty Long Fall」といった多くのヒット曲をリリース。ライブも精力的に行い、アリーナ・スタジアム規模を埋めるバンドにまで成長、2023年には自身初の6大ドームツアーを大成功させた。

2013年からは、海外でのライブツアーを行い始め、アメリカ・ヨーロッパ・アジアと様々な国でライブを敢行。楽曲制作の拠点をアメリカ・ロサンゼルスに移してからは、海外基準ともいえる楽曲を多く制作。海外レーベルとも契約を結び、アルバムをリリースし続けている。2024年には、自身最大規模のワールドツアーを開催。ロンドン・ウェンブリーアリーナや台湾・高雄国家スタジアムなど、7都市を巡り、各会場を埋め尽くしていった。

そんなワンオクが、2025年2月にリリースしたのが、自身11枚目のアルバムとなる『DETOX』だ。映画主題歌となった「Delusion:All」やアルコール飲料のCMソングに起用された「+Matter」など、全11曲を収録した1枚となっている。

このアルバムを通じて、バンドのフロントマンであるTaka(Vocal)はインタビューで「世界平和に関しての政治的な怒りや想いをアルバム制作にぶつけた」と語っている。

「(前略)このまま行くとどういう世の中になっていくのかなっていう不安はやっぱり少しあって。で、その中で、この4年後に行われる大統領選挙によって世界が大きく変わることっていうのは皆さんご存知の通りだと思うんですけれども、その中でやっぱりロックバンドとして、この混沌とした世界・時代にどういう作品をぶつけていくかってことはすごく重要だと思ったんですね。なので、今まで以上に政治的で攻撃的でヘビーなアルバムにはなるんですけれども、やっぱりそこに対してどういうアプローチをしていくか、聞いてくださってる方たちにどういうもので提供するのかっていうのをすごく考えて考えて、アルバムを『Luxury Disease』を作ってる時から自分たちの中で構想を考え、しっかりと今回の作品に向けて練ってったって感じですかね」

「これは僕らに与えられた使命だ」
―世界平和への想いを込めたONE OK ROCKのアルバム『DETOX』秘話
https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/archives/the-hidden-story/2025/02/21-101743.html

そんな思いをアルバムに詰め込み、同年4月からアルバムを引っ提げたワールドツアーが始まった。南米・北米と巡り、8月からは日本ツアーを開催。自身初のスタジアムツアーとして、神奈川・日産スタジアムや大阪・ヤンマースタジアム長居を含む4都市7公演を巡り、約36万人を動員した。日産スタジアム公演では、Takaの左脚骨折というトラブルに見舞われたが、後の公演では、佐藤健・稲葉浩志・TAKUYA∞(UVERworld)といった多くのアーティストによるサポートを経て、無事日本ツアーを完走することができた。

その後も、ヨーロッパ・アジア・オーストラリアと巡り、2026年8月から始まったツアーが、今回観に行った「DETOX JAPAN TOUR FINAL 2026」と題された、日本凱旋ツアーである。4都市8公演を巡るツアーは、ファイナルが千葉・ZOZOマリンスタジアムの2days公演が予定されている。

今回観に行ったのは、そのツアー初日となる8月11日(祝・火)の愛知・IGアリーナ公演。昨年7月に開業したばかりの新しいアリーナだ。個人的には、6月にB'zのツアーでこの会場にお世話になったが、実に音の鳴りや全体的な見え方が良い場所だったといい印象の強い会場だ。名古屋市内では、最大規模となる17,000人動員できる場所でもあり、これから多くのライブの開催が期待されるアリーナとなっている。

さて、個人的な話に引き戻すのだが、今回どうしてワンオクを観に行きたいと思ったのか?それは単純に、アルバム『DETOX』を生で観たかったということもある。前作『Luxury Disease』あたりから、アルバムにおける「ロックは世界に向けて何ができるのか」という命題を追求している印象があった。実際、インタビューでも「R&Bやヒップホップが主権を握る時代に、ロックの復権を目指している」という言葉を何度も観ていたし、実際ワンオクはそれを世界規模で体現している日本のバンドという印象が個人的にはとても強くあった。

そこに加えて感じていたのは、前回の『Luxury Disease』ツアーが、6大ドームで開催されていたのだが、当時の感染症対策の観点から、まだ日本国内では完全に声出しが解禁されていたわけではなかった。2022年末から部分的な解禁は進められてはいたものの、マスク着用の完全撤廃されていなかったり、オールスタンディング規模での密集する状況でのライブは見合わせて居たりと、規制の完全撤廃がまだ行われていない状況であった。

ワンオク自身、ライブにおいてアリーナオールスタンディングという形で、モッシュ&ダイブを歓迎するスタンスを長らくとっているバンドとしても有名で、ファンもこぞってもみくちゃになってライブを楽しむ文化が根付いている。ただ、上記の感染症対策の観点やドーム・スタジアム規模のライブの場合の消防法・安全の兼ね合いにより、全席指定という形でのライブが、日本国内の場合は6年間続いていた。

ロックという音楽の文化的に鑑みて、オールスタンディングで大きく盛り上がるという環境の親和性はとても強いものだ。ただ、ワンオク自身が本来掲げたい音楽を掲げるべき環境で、日本国内のライブを長らくやれて良かったという事実があった。

今回行われた日本凱旋ツアーは、アリーナ3会場と野外スタジアム1会場という構成になっている。スタジアムも、野外フェスを長年開催している場所でもあることから、アリーナ席のオールスタンディングが叶う場所でもある為、今回のツアーはアリーナ・オールスタンディング、スタンド指定席という形でのチケット販売にこぎつけることができた。

つまり、本来あるべき状況下の中で、ワンオク自身が届けたい音楽やメッセージが鳴ったときに、どんな化学反応が待ち受けているのだろうか?それを、アルバムを体感したいという理由以上に、自分の目で確認したかったという思いがそこにはあった。

実際、昨年のスタジアム公演に行けたわけではなく、個人的にもアルバム『DETOX』の演目を観るのはこのツアーが初めてとなった。約3年ぶりのワンオクのライブ参戦。急遽決まった予定ではあったが、とても楽しみにしていた1日だった。

迎えた当日、欲しいグッズもすべて手にして、会場内へ。

言わずもがな、今回とった座席はアリーナスタンディング。もしかしたら、人生で初めてそういう席を選んだかもしれない。というか、結果論そこが取れちゃったというのが正解ではある。東海エリアのライブを主催するライブプロモーター・サンデーフォークの会員限定先行に応募した結果取れたのが、初日のアリーナスタンディングのチケットだった。

それ以前の話、ワンオクのツアーの初日に行くことも初めてだった。ツアー初日にこだわることは、個人的にはあまりないことではあるが、なんかこの日はそんな事実もあたしを焚き付けてきた理由だったかもしれない。

ちなみに、ブロックはE1ブロック。つまりは、アリーナの一番後ろのブロック。前に行くというよりかは、一番後ろの柵を陣取って、ライブを観ることにした。生憎、先週の仕事で右の腰に違和感を覚えてしまったことも、こういう選択をとった理由だった。

満員に敷き詰められたIGアリーナ。
アリーナ後方から眺めると、その景色は圧巻だった。客席が埋まっている景色含めて、綺麗なアリーナも早々ない。そんなことを感じながら、時間は開演時間を迎えるのでした。

決意表明の夜が始まる

定刻を少し過ぎたのち、会場が完全に暗転した。

今回まとめる景色は、アリーナの最後列から観たものであるが故、実際のメンバーの表情といった細かいことまでを記憶しているわけではない。その点は、予めご理解いただきたい。

歓声に包まれながら、メンバーがステージの定位置に着く。ステージ後方の少し高めに設定された位置だろうか、左からRyota(Bass)、Taka、Tomoya(Drums)、Toru(Guitar)と横並びになっている。Takaの真後ろのLED画面が明転し、シルエットが映るようにして歌い始めたのは、2014年のアルバム『35xxxv』のラストナンバー「Fight the night」だ。曲が進むにつれ、それぞれのメンバーのシルエットが映し出されていく。

Here comes the rain
(雨が降り始めた)
So many scars never fade
(無数の傷痕は決して消えやしない)
This is the price of war
(これは戦争の代償)
And we've paid with time
(僕らは時間をかけて弁済してきた)

We'll fight fight till there's nothing left to say
(俺らは戦い続ける、何も残らなくなるまで)
(Whatever it takes)
(何が起こっても)
Fight fight till your fears they go away
(君の不安が消え去るまで戦う)
The light is gone and we know once more
(光が消え、僕らはもう一度思い知るんだ)
We'll fight fight till we see another day
(僕らは新たな日を見るまで戦い続けるんだ)

ONE OK ROCK「Fight the night」より抜粋・意訳付き

それはどこか静かなる決意表明のようで、これからくる熱狂の嵐の前の静けさのような空気を醸し出していた。その熱狂を呼び寄せるように、一気に画面にメンバーの顔が映し出され、レーザーが飛び交ったのは、2016年の配信シングルであり、翌・2017年のアルバム『Ambitions』に収録されたナンバー「Taking Off」だ。フロアは、一気にジャンプの波に包まれる。

I know I know
(分かってるのさ)
We’re taking off together
(一緒に飛び立つんだ)
Even though we always crash and burn
(たとえ僕らがいつも上手くいかなくたって)
Tonight you and I will fall from the sky
(今夜 君と僕は空から真っ直ぐ落ちていく)
Drag me all the way to hell
(地獄でもどこでも連れていけばいい)
‘Cause I’m never gonna let it go
(このままで終わらせないから)
Never gonna let it go
(終わらせないから)

ONE OK ROCK「Taking Off」より抜粋・意訳付

その波がより高く、フロアをもっとかき乱したのは、続いた「Prove」だ。こちらは、2022年のアルバム『Luxury Disease』収録のナンバーだ。

One step at a time
(1歩ずつ1歩ずつ)
No matter how long it takes
(どれだけ時間がかかったとしても)
I will make the climb
(僕はそう登っていくさ)
Learn from the mistakes I've made
(犯した過ちから何かを学びながら)
And I'll prove it to you
(僕はそう証明するよ)
prove it to you prove it to you
(証明してやるよ 証明してやるよ)
Prove it to you prove it to you
(証明してやるよ 証明してやるよ)
prove without a doubt
(それはもう 完璧に)
Give me the one chance the one chance
(1回だけ 1回だけ 1回だけチャンスが欲しいんだ)
So I can so I can prove to you
(そうしたら 証明してみせるから)

ONE OK ROCK「Prove」より抜粋・意訳付

ここまでの3曲を聴いただけで、ワンオクの意地がひしひしと伝わってくる。このライブに向けて、何を乗り越えてきて、何を背負ってきて、何をぶつけに来たのか。

日本、いや世界中の「ROCK」を背負って戦い続けるバンドが、約1年半にわたるワールドツアーを経て、日本凱旋公演で何を伝え、残そうとしたのか?そのドキュメントのような夜が、ここから始まるのであった。

アリーナに席が無いということは

「こんばんは、ONE OK ROCKです!」

Takaがフロアに向けてあいさつした。バックで流れる鍵盤音の聴こえるSEの中、客席を見渡して、こう放った。

「今日、アリーナに椅子が無いこと、わかってますか??僕たち、ダイバー大歓迎なんで!!何のために、スタンディングにしてると思うんだよ?どんどん飛んで来いよ!!!!」

アリーナのフロアが、この一言で遂に火が点いた。ダイブ寸前のライブキッズたちのギアが、一気に加速した。その合図とともに大きな手拍子、轟音のような歓声に包まれたのは、ワンオクのライブの定番曲のひとつ「The Beginning」だ。

Look how far we've made it
(僕らの道のりを見てくれよ)
The pain I can't escape it
(この痛みからは逃れられないんだ)

このままじゃまだ終わらせることはできないでしょ
何度くたばりそうでも朽ち果てようとも
終わりはないさ

It finally begins
(さぁ始めようか)

ONE OK ROCK「The Beginning」より抜粋・意訳付

ダイブ・サークルモッシュ・ヘドバン… アリーナスタンディングは、ライブハウスに負けない熱気とカオスさで満ちていた。それは、あたしがこの日ライブを観ていたアリーナE1ブロックでも巻き起こったことだった。結構狭いようなブロックではあったものの、あたしの目の前でサークルモッシュが作られており、柵の後ろからはスタッフが柵が壊れないように必死になって支えている景色があるほどだった。

フロアに火が灯るように熱くなるということは、ステージ上最寄り厚くなってきているということ。炎も噴き出し始めたのは、2023年の配信シングル曲「Make It Out Alive」。客席も、ステージ上も、闘うようにして燃えあがり続けていた。

Tonight tonight tonight
(今夜こそはと)
I'm screaming on the inside
(僕は心の中で叫んでいる)
I was trying to hide trying to hide trying to hide
(僕は ひたすらに隠れようとしていた)
Now I'm ready for this ride
(今 僕は闘う準備はできている)
Gotta face gotta face the unknown
(未知の敵と立ち向かわなければいけない)
It's the only way to live
(それが 生き残るための唯一の方法なんだ)
I'm ready to go ready to go ready to go
(旅立つ準備は もうできている)
Somewhere I've never been
(僕がまだ行ったことのないどこかへ)

Won't give up the fight
(闘うことをあきらめない)

ONE OK ROCK「Make It Out Alive」より抜粋・意訳付

今回のライブ… 特に前半戦・中盤戦・後半戦・アンコールと分けると、その空気感がより分かりやすく、色濃く見えていたような感触がある。先ほどのチャプターとここでは、9曲目までの前半戦に重きを置いてまとめているのだが、前半戦に関しては「ONE OK ROCKはなぜ、闘い続けているのか?」ということに重きを置いた流れだったように感じられた。

アルバム『DETOX』自体、政治的な抑圧からの脱却や世の中の不条理に対する怒りみたいなものが色濃い1枚であるため、全体として「ワンオクは今、何に立ち向かっているのか?」という構図がはっきりしたような1枚だった印象を個人的には覚えていた。不安や怒り・やるせなさを浄化=DETOXして、何かに進んでいく。そういうメッセージが、全体として強く会った印象を覚えていた。

結論、こうした怒りに対しての発散や啓発としての意味合いとしてのロックの相性の強さや何かを手に渡してどう感じ何を考えるかというツールとしての音楽・ライブの価値提示。そういうものが、今回のライブには色濃く投影されていたように、個人的には強く感じた。

続いた「Puppets Can't Control You」も、アルバム『DETOX』からの1曲。社会派学園ドラマの主題歌に起用されたことでも、印象的な1曲だった。この曲も、世の中の不条理に立ち向かう姿が描かれた1曲だ。

Holding on to nothing
(しがみつくものが何もなくても)
Till it turns into something
(それが何かに変わるまで待っている)
Don't like who I'm becoming
(自分がそういう風になっていくのが嫌だ)
I can't keep running
(僕は走り続けることは出来ない)
Searching for an answer
(一つの答えを探している)
Re-reading every chapter
(全ての章を読み直して)
There's no happy ever after when it's over
(それが終わっても めでたしめでたしということにはならないけれど)

ONE OK ROCK「Puppets Can't Control You」より抜粋・意訳付

ただ、そんな同曲もどちらかといえば不条理に対してのやるせなさだとか「世界は簡単には変わらないよな」という嘆きの色が強い1曲でもある。そういう同系色のような色にあがるであろう1曲が、その次の「Liar」であろう。2010年のアルバム『Nicheシンドローム』に収録されたナンバーだ。

何を求め そして何を受け入れる?
2つに1つ!! 僕にはまだそれが
I don't know となりで笑う君は

Hey Liar, Hey Liar
(なぁ、嘘つき 嘘つきだよな)
What do you think of living without me?
(僕がいない世界で生きることをどう思う?)
Hey Liar, Hey Liar
(なぁ、嘘つき 嘘つきだよな)
何がウソでどれが真実?

ONE OK ROCK「Liar」より抜粋・意訳付

闘い続けること、一方でその分ぶつかった壁の多さや高さ、何を信じて何が間違いなのかを葛藤するような流れや時間軸が、そこにはあったように感じられた。

曲目を聴いてみるだけだと、もしかしたら「久々のアリーナオールスタンディングだから、全体的にぶっ飛ばせるような曲目を並べたのかな」という感覚もどこかあるのだが、俯瞰的に見ると曲自体も意識して並べたのだろうなということが、一度プレイリストを組んで聞いてみるとよくわかる気がする。

アルバムの持つ裏側とは??

ここまで全7曲、一気に続いた。
この日最初の挨拶では、メンバー全員が一言ずつ挨拶をした。Toruは「初めてのIGアリーナ、できたばかりの会場で音を鳴らせるということを嬉しく思います」と語っていた。

Takaは、久々のオールスタンディングの客席を眺めながら「なんか凄く昔を思い出した」と語りながら、「僕たちもみんなも同じように年を重ねているわけだから、あの頃のように動けないんじゃないか?って不安もあるけれど、最後は椅子無しで暴れましょうよ!!ということでね」と話し、フロアをより熱くさせた。

そう語ったあと、今回のDETOXツアーファイナルに関して、こういう思いを語り始めた。

「DETOXツアーは本当に疲れたんだよ。こんなに身を削ってアルバムを作ったりツアーをしたりしたことはなかった。まぁ、世界中を回っても戦争やら対立やらで世の中はなかなか良くならないなぁとも思う。だけど、僕らがこうしていることに対して、少しでも力になっていたら意味はあっただろうと思うし、このアルバムでONE OK ROCKを知ってくれた人もいると思うから、その気持ちを背負って昔のONE OK ROCKも今のONE OK ROCKも楽しめるように、全員でぶっ放していきたいと思います!!」

ONE OK ROCK 2026.08.11(祝) IGアリーナ公演
MCより、Takaコメント抜粋

アルバムにかけた思いが垣間見えたのちに、この日のセットリストに触れる話も、Takaは続けて話してくれた。

「セットリストは悩みましたねぇ。以前のDETOXツアーでは見せられなかった裏側みたいなモノも見せたいと思っていたから。それでさ、みんなが色々セットリスト作ってくれるのも知っているよ(笑) 大体あれがアップされ始めるのは、ライブの直前だからもうセットリストは決まっちゃっているんだけど。だから、みんなの予想とか見ていると『あぁ、それね.. はいはい(笑)』みたいな感じでさ。でも、ひとつだけ言わせて!今回のツアーは絶対にお前らの期待を裏切らないから!!それが、世界を回ってきたONE OK ROCKの最後の恩返しだと思っています!DETOXツアーとはいえ、DETOXツアーだとは思わずに、楽しんで帰ってくれたらと思います!」

ONE OK ROCK 2026.08.11(祝) IGアリーナ公演
MCより、Takaコメント抜粋

そう話したのち、次の2曲をアルバム『DETOX』の収録曲をアコースティックアレンジでパフォーマンスすることを話し、楽器のセッティングへ。

Tomoyaがステージ後方のドラムセットから前方に降りた時には、Takaはドラムセットの高さにツッコミを入れ、「スタッフチームがドラムセットをより高いところに置きたがっている」とTomoyaはつかさず反応。普段はベースを弾くRyotaが、このセッションではアコースティックギターを持っていることにも触れ、Ryota自身は「2週間前にTakaから『ギター弾ける?』と無茶振りされた。だから、ここしばらくはベースの練習じゃなくてギターの練習しかしてない(笑) でも、こういう無茶振りこそ、アリーナツアーらしいよなとも思う」と話していた。

楽器隊の準備を終え、演奏を再開。シンプルなアレンジで演奏し始めたのは、映画主題歌にも起用された「Delusion:All」。ワンオクらしいラウドでエモーショナルなサウンドが印象的な1曲だが、アコースティックアレンジになると、メロディーラインの綺麗さやハイトーンがより際立って聴こえてきた。

Why does it feel like they don't feel anything
(どうして奴らが何も感じてないって思うのか)
I pray there's a future behind those walls
(その壁の向こうに未来があってほしい)
But maybe I'm delusional
(でも僕は騙されているかもしれない)
Let's make a deal
(だから、取引をしよう)
Pretend this bastard democracy is just how we want it
(この腐った民主主義をまさに望んでいたかのように振舞うんだ)
And we're not exhausted
(そして僕らにはまだ力が残ってる)

ONE OK ROCK「Delusion:All」より抜粋・意訳付

続く「The Pilot</3」は、アルバムのラストトラックとして収録されている1曲。ちなみに、タイトルにある「</3」とは、「♡」を横にしてできる「<3」が割れたかたち。つまりは、失恋だったり、心の傷心を描いていたりする記号だ。

I'm going home
(家に帰るんだ)
Wherever home is
(どこにあろうとも)
I'm feeling low
(気分は沈んでいる)
But not at my lowest
(でも、どん底というほどじゃない)
Bliss is ignorance
(至福とは無知のこと)
Just a kid making sense of it
(ただ、その意味を理解しようとしている子どもに過ぎないんだ)
You didn't fight for me, fight for me, fight for me
(君は僕のために戦ってくれなかった)
So I will fight for myself
(だから、僕は自分のために戦う)

I'm broken still
(僕はまだ傷ついている)
But I'm not broken down
(でも、打ちのめされたわけじゃない)
That's how we grow
(そうやって僕らは成長していくんだ)
If I break your heart
(もし僕が君の心を傷つけてしまったら)
Forgive my broken heart
(傷ついた僕の心を許してくれ)
Don't let me go
(どうか手放さないで)

ONE OK ROCK「The Pilot</3」より抜粋・意訳付

アコースティックアレンジの2曲が終わり、画面全体には機械的なコンピューターの起動画面のような映像が映し出せれる。そこに映し出された曲名こそ、アルバム『DETOX』のリード曲のひとつ「Tropical Therapy」だった。各メンバーが元の位置につき、演奏が再開された。

Another day here in the system, it's always on a plate
(システムに組み込まれた毎日、いつも退屈で)
Take a shot of whiskey and some to deescalate
(ウィスキーでもひっかけて少しは紛らわす)
I need to lighten all this baggage 'cause life is heavy weight
(俺には人生は少し重くて、少しでも軽くしなくちゃ)
I'm sick of rolling with the punches, I need to get away
(我慢し続けるのにはもううんざりだ、逃げだそうぜ)

I wanna go, fly to paradise tonight
(今夜、楽園に飛び出そうぜ)
I wanna go ride, the first thing on my mind
(飛び乗ろうぜ、それだけで頭いっぱいさ)
I need to get-get-get-get-get away
(逃げ出そうぜ)
Get out of this mess I made
(自分で縛ってる現実は捨て去って)
Set me free, tropical therapy
(自由になろうぜ、南国の癒しでも求めて)
Get away
(どこか遠くへ)

ONE OK ROCK「Tropical Therapy」より抜粋・意訳付

この3曲とも、アルバム『DETOX』の収録曲でありながら、所謂「DETOX=解毒」のやり方は3つとも違うよなと感じることがある。「Delusion:All」みたいに、正面から真っ向して反抗していくのか。「The Pilot </3」みたいに傷つきながらも学び、進んでいくのか。「Tropical Therapy」みたいに、窮屈感から逃れてみるのか。どれも、何かに対する「DETOX=解毒」ってアプローチだと思う。そして、それを提示する意味としての音楽だったり、ROCKってものだったのかな、とも聴いててふと感じるものがあった。

アルバム自体が、ラウドな色が強い分、どこか「DETOXする」ということが「世の中に対する疑問を正面から投げつけ、問題提起していくこと」だとか「世の不条理に対して怒り、あるべき世界を提示してやる」みたいな、どこかアンチテーゼ的な定義が、どこか一聴すると感じる部分があるようにも思える。ただ、こうして曲を並べてみたり、アレンジで再解釈してみると、「DETOXする」ということが「逃避行もありだし、その分傷つくけど、進むことを止めちゃ意味ないよね」という解釈にも取ることができる気がした。

曲に入る前のMCでTakaの話した「以前のDETOXツアーでは見せられなかった裏側を見せたい」と話したことの中には、もしかしたらそういう提示もあったのかもしれない。それは、直前で「このツアーは疲れた」と語った意味もあったと思えるし、このツアーを行うにつれて、バンド全体で感じた曲の解釈の再定義もあったように感じられた。

https://www.instagram.com/p/Db5-04-Gpad/?igsh=M3MyZXV5czNmaGcz

1年目の新人バンド

ここまで10曲。
ライブはここから、中盤戦に突入していく。

Toru・Ryota・Tomoyaの3人によるセッションから、その流れは始まった。ここまでが、どこか激しさを抑えたパートだったからか、ここのセッションは全体的にラウドでひずんだ音がどしどしと鳴り続けていた。

すると、ステージ上手にToruじゃない人がフライングVをもってギターソロを始めた。一瞬、何が起こったかよくわからなかった。しかし、その人がラウドロックバンド・Paleduskのギタリスト・DAIDAIであるとわかることに、時間はかからなかった。

そして、画面には4等分で左からPaleduskのボーカリスト・KAITO、Taka、ラッパーのAwich、DAIDAIが映し出され、会場は大きな歓声に包まれる。ステージには、Paleduskのベーシスト・TSUBASAドラマー・BOBもスタンバイ。

ここに揃っていたのは、今年7月7日に結成されたバンド・YAOのメンバーたち。生憎、メンバーの1人であるラッパーのCHICO CARLITOはこの日は別の仕事で不在だったが、PaleduskとAwichの登場に、会場は大歓声。なだれ込みようにプレイしたのは、この4組で初めて作った楽曲「777」。YAOにとってのライブ初パフォーマンスが、名古屋のステージで始まった。ステージ上には、CHICOの歌唱映像も織り交ぜながら、YAO初ステージは狂気の渦の中敢行された。

「777」の初演が終わり、大きな熱気に包まれるIGアリーナ。一度改めて、YAOの結成のきっかけやメンバー紹介をしていく。ワンオク自身、キャリアが20年を超えて、一度自分たちを俯瞰的に捉えて楽曲制作を行いたいと思っていたことを語り、ライブを通じて知り合ったAwichとCHICO CARLITO
に声をかけ、今回のバンド結成に至ったとTakaは話した。

余談ではあるが、この日IGアリーナに不在だったCHICOは、横浜で行われたラップバトルに参加・優勝賞金5,000万円を目指し、トライしていたのだそう。TakaやDAIDAI、Awichも「CHICOは、今頃大会で優勝しに行ってます。MV撮影、結構お金かけてやったから、この5,000万でなんとかなりそう(笑) 明日、5,000万円ステージの上まで持ってきてくれないかな」と冗談めいた話も。というか、実際にCHICOはOZworldと共に本当に優勝・5,000万円を獲得することができたんだそう。なかなかの、ことです。

メンバー紹介を終え、Takaは新たに結成されたバンド・YAOに関して「この1曲だけで終わるバンドを組もうと話していたわけではないです。その証明として次は、まだどこにも出していない新曲をやります」と話し、会場を驚かせる。そんな未発表曲「ありふれた世界の果てに」を歌うのだが、曲作りに関して、Awichはこういう思いを明かした。

「CHICOも私も、生まれも育ちも沖縄で。沖縄って、戦争があって一度はアメリカの領土にされて、返還はされたけど基地問題とか分断とか未だに課題が多い地域でもあるんですけど、出生率や幸福度だとかの高さもある地域で。それって、今の日本に似ている部分がある気がしていて、それを紐解く鍵やヒントが沖縄にはあるんじゃないかと思っていて。そんな沖縄の歴史に正面から向き合って、今歌いたい思いをこの曲に詰め込みました」

ONE OK ROCK 2026.08.11(祝) IGアリーナ公演
Awich・MCより抜粋

そうして披露された同曲は、メインのバースにはどこか沖縄民謡に近いようなメロディーラインを追っており、CHICOとAwichのラップパートには戦争から現代までの歴史やそれを経て何を学んでいくべきなのかを問うた言葉が並んでいた。歌詞を全く覚えていないので、その説明ができないのが申し訳ない限りだが、ワンオクやPaleduskもこういうメロディーを歌うことが恐らくほとんどないはずだから、もしかしたら新鮮に聴こえる1曲だったように思えた。

そんな1曲を経て、どこかクールダウンしたフロア。それを見てTakaは、「集まったからには、そのきっかけとなった曲をやろうじゃありませんか!!Next Song called… C.U.R.I.O.S.I.T.Y.!!!」CHICO不在ではあったが、PaleduskとAwich参加・つまりはYAOとしての「C.U.R.I.O.S.I.T.Y.」がドロップ。フロアもまた、熱狂の渦に包まれていった。

YAOとしての初ライブ、3曲を終え、Paleduskの4人とAwichはステージを後にした。新人バンドの初舞台。最強ロックバンド2組と最強ラッパー2名によるコラボ、大きな歴史の1ページが刻まれたのであった。

過ぎたことを許す気はないけど…

ライブは後半戦へ。

「お前らの好きなようにやってくれ!!」とTakaが放ち、プレイし始めたのは2017年のアルバム『Ambitions』より「Bombs Away」。背景のLED画面には、アルバムジャケットが映し出されていた。

曲が1番を演奏し終えた途端、LED画面ではアルバムジャケットがスロット化のように循環し回り始めた。その画面が2022年のアルバム『Luxury Disease』になった途端、曲は「Wonder」へと流れ込んで、曲のサビがドロップされていく。

まさかの、投入されたのはONE OK ROCKのライブキラーチューンだけを並べたメドレーだった。メドレー後のMCでTakaは語ってはいたが、ワンオクがライブでメドレーを行うのは、2020年の配信ライブ以来のことだった。

ルーレットで続いたアルバムジャケットは、2013年の『人生×僕=』。同作に収録された「Deeper Deeper」で、客席のボルテージが一気に加速する。その勢いのまま、画面に映し出された曲のタイトルは「69」。実に9年ぶりのライブお披露目の1曲に、発狂するような歓声が聴こえない角度などどこにもなかった。

続いたのは、再び『Ambitions』より「Start Again」。こちらは、2020年の配信ライブ以来6年ぶりのお披露目となった。さらにその上を行ったのは、続いたアルバム『感情エフェクト』より「恋ノアイボウ心ノクピド」。こちらは、2014年の横浜スタジアム公演以来実に12年ぶりのライブ解禁。まさかの選曲に、ツアー初日のフロアは狂気狂乱。スタンドもアリーナも関係なしに、地鳴りのような歓声が轟いていた。

そんなキラーチューンメドレーを締めくくったのは、アルバム『人生×僕=』より「Clock Strikes」。日本国内での歌唱は、2023年の6大ドームツアー以来3年ぶりだった。

序盤のMCで、この日のセットリストに対して「ファンに対する恩返し」と語っていた。その意味を考えた時に、ライブ定番曲を並べたという意味もあるけれども、曲自体にもそういうメッセージを込めたのだろうなというのを、強く感じることができた。

I'm not always perfect
(僕はいつも完璧なわけではないけれど)
But I'm always myself
(それこそが僕自身なんだ)
If you don't think I'm worth it
(それでも一緒にいる意味がないと言うのなら)
Find someone else
(他の人を見つければいい)
I won't say I'm sorry
(謝ったりなんかしないよ)
For being who I am
(僕が僕らしく生きてきたことを)
Is the end a chance to start again?
(終わりはまた新しく始めるチャンスなんじゃない?)

ONE OK ROCK「Start Again」より抜粋・意訳付

What will we have?
(何を得られるだろう?)
Believe that time is always forever
(いつだって時は永遠だと信じよう)
and I'll always be here
(そして僕はいつだってここにいる)
Believe it till the end
(最期まで信じてくれ)
I won't go away and won't say never
(僕はどこにも行かないし、絶対に「無理だ」なんて言わない)
It doesn't have to be friend
(友じゃなくてもいい)
You can keep it till the end
(最期まで信じていていいよ)

ONE OK ROCK「Clock Strikes」より抜粋・意訳付

メドレーの曲に対して「ここに来てくれてるファンならきっとわかると信じて、全部歌えるだろうと思って選びました」と語っていたことから、ファン自身に向けての思いだとかこれからへの思いを詰め込んだメドレーだったのだと受け止められた。

また、上記にも書いたのだが、メドレー後のMCでTakaは「メドレーをやるのは、無観客のZOZOマリン以来だよね」と前置きしたうえで、こういう言葉を発していた。

当時のこととか色々あって… 幕張の時、過ぎ去ったことに対して悪く言うつもりはないけど、許してないからさ

ここでいう「幕張」とは、2017年4月に行われた全国ツアーでの幕張メッセ公演でのこと。ライブ中に将棋倒しのように転倒するファンが出て、熱中症や体調不良を訴えて救急搬送される人が50人以上出たという事故があった。当時、メディアではバンドのライブ運営やスタッフ陣の対応が指摘され、大きくバッシングをうける過去があった。

ワンオク自体、オールスタンディングでモッシュ&ダイブを容認しているスタンスで活動している一方で、人がもみくちゃになったり人の上で誰かが興奮して飛び込んだり転がったりすることを危険と捉えて不安視する視点とのぶつかりが生じてしまったのだ。今でこそ、ファン自身やライブシーンの中で、ある程度の暗黙の了解やルール作りがなされて行って、その辺の文化に対する許容度は高くなったように思えるのだが、2017年当時はまだその線引きが曖昧なまま、ライブの運営が行われることが多かったように思えた。それも、幕張メッセという数万人を動員できる会場で起こったのだから、報道されてしまうのも致し方ない部分もあったように思えたのだが…

そういう過去があった中でも、自らの曲を支持してくれて、再びアリーナ規模で・アリーナスタンディングという環境でライブをさせてもらえている。そういうところへの「ファンに恩返し」という言葉を使ったのではないだろうか?

アルバム『DETOX』で伝えたかったこと

「もっと高くジャンプすることはできますか?」

そういう煽りから始まったのは、アルバム収録曲の「+Matter」、そしてライブの定番曲である「Stand Out Fit In」だ。「Stand…」では、アリーナもスタンドも全員しゃがませて、頭で高くジャンプし大きな波がフロアに生まれていた。

2曲とも、ワンオクとしてはキャッチーでポップ寄りの曲が続いたような印象を覚えた。だが、言いたい思いの核心部分は2曲とも同じだったように思えた。「+Matter」では、愛することが世界を救うことに繋がること、「Stand Out Fit In」では、自分らしくいることが大切なんだということ。つまりは、進み続けるためには何が重要なのかというメッセージがそこにはあるように感じ取れた。そんな意思を象徴するように、本編ラストは「Wasted Nights」で締めくくられた。この曲も、進み続ける意思を示した1曲となっている。

Let's live like we're immortal
(不滅であるかのように生きよう)
Maybe just for tonight
(今夜だけでもいい)
We'll think about tomorrow (yeah)
(明日のことは後で考えよう)
When the sun comes up
(太陽が上る時に)

'Cause by this time tomorrow
(だって明日の今頃まで)
We'll be talking 'bout tonight
(今夜のことを語り続けるから)
Keep doing what we want, we want, we want
(やりたいことを続けろ)
No more wasted nights
(無駄な夜はもういらない)

I don't wanna wait, I don't wanna waste a night
(待ちきれない 夜を無駄にしたくない)
I don't wanna wait, no more wasted nights
(待ちきれない 無駄な夜はもういらない)

ONE OK ROCK「Wasted Nights」より抜粋・意訳付

本編が終わり、一度メンバーはステージを後にするものの、フロアからはアンコールを求める拍手とスマホライトを振る手が後を止まない。数分後、再びアリーナは暗転し、アンコールへ。

本編全体を通して、世界の不条理や怒りに対して立ち向かうこと、それをこなしていくための鍵は愛や自分自身にある軸であるということを、一貫して歌い、叫び、演奏し続けていった彼らだったが、そのスタンスはアンコールの2曲でも崩れることはなかった。「Dystopia」では、絶望の中でも希望を探そうと叫び、ラストのライブアンセム「We are」では、客席後方までTakaがアリーナスタンディングブロックを駆けながら、暗闇の中でも自分たちは輝いているんだと、ひたすらに叫び続けた。

Find euphoria in dystopia
(絶望の中で希望を見つけよう)
Let our souls become the magnets
(僕らの魂は、互いを引き付ける磁石みたいになればいい)
No running from the sadness
(悲しみから逃げないで向き合えばいい)
Find euphoria in dystopia
(絶望の中で希望を見つけよう)
Where there's love and understanding
(愛と理解がある場所へ)
No running from the sadness
(悲しみから逃げなくてもいいんだ)

ONE OK ROCK「Dystopia」より抜粋・意訳付

When you're standing on the edge
(君たちが崖っぷちに立っているとき)
So young and hopeless
(とても若くて、絶望していて)
Got demons in your head
(頭の中で不安が息づいていたとしても)
We are, we are
(僕らは、僕たちは)
No ground beneath your feet
(君たちの足元には地上がなかったとしても)
Now here to hold you
(今ここで君たちを支えるよ)
'cause we are, we are
(僕らは、僕たちは…)
The colors in the dark
(暗闇の中で色を放つのだから)

ONE OK ROCK「We are」より抜粋・意訳付

アンコール・メドレーを含めて全25曲
約2時間の日本凱旋ツアー初日公演は、ワンオクにしか成し得ない熱狂の中で幕を下ろした。最後には、再びこの日参加してくれたYAOのメンバーをステージに呼び、記念撮影を行い、メンバーはステージを後にした。

実を言えば、このライブの終演のアナウンスが鳴っても、ダブルアンコールを求める拍手やコールは止まなかった。恐らくだが、彼ら彼女らはライブの定番曲のひとつ「完全感覚Dreamer」や「キミシダイ列車」とか、その辺の曲を求めていたファンだったのかな、と思われる。

正直な話、あたし個人的にもその辺が来るのかなと予想していた部分があった。特に、メンバー自身も「ファイナルはオールスタンディングで!」と意気込んでいた分、伝家の宝刀ともいえるライブの定番曲を炸裂させて、かつてのようなフロアの景色を作り上げることも、きっとできたのだろうなと思える。そういう考えでいえば、手拍子が挙がったのはなんか理解できた。

ただ、今回のツアーとしてやろうとしている質感だったり、アルバムのコンセプトや色を統一させると考えた時に、その辺の定番曲の色が全体的にバランスよく挟めるのか?と考えたら、少し力業ではないが、強引感も出る演目になってしまうのかなと感じずにはいられない。

むしろ、アンコールラストを「We are」で締め括り、約6年ぶりとなるオールスタンディングでのアリーナライブをやり切ったことが、どこか潔いことにも個人的には思えたのだ。

正直な話、終演後のSNSの投稿を見てみると、ライブを観たファンや今回チケットをとれなかったであろう人たちが、このセットリストを見て色々と騒いでいるのを見た。「凄い良かった!」と肯定するファンもいれば、「こういうのを見たかったわけじゃない」と嘆くファンもいた。まぁ、ライブなんてそういう両方が出て当然と思うから、仕方ないと言えば仕方ないことではあると思うのだが。

ただ、今回の大きな軸というのは、もしかしたら「海外で10年以上闘い続けた総決算」だったり「2020年以降のライブシーンに対する一つの答え・区切り」みたいな意味が、在ったのかもしれない。セットリストをなぞってみると、2020年の配信ライブを意識した曲目もあったし、この数年で音楽制作や伝えたいメッセージの方向性がより固くなっていったバンドのスタンスというものが、ライブの中にはあったように感じられた。

バンド名に「ROCK」と冠したように、「ROCKを通じて、世界にメッセージを発信し続ける」という、バンドの現在地点が色濃く、鮮明に残ったライブだったんじゃないだろうか?アルバム『DETOX』然り、今回の凱旋ツアー然り、そんな2026年のONE OK ROCKが濃度100%以上に染み渡った、圧倒的なライブだったな、と感じる夜なのでした。

((この日のセットリスト))

ONE OK ROCK DETOX JAPAN TOUR FINAL 2026
2026.08.11(祝) IGアリーナ

開演 18:32  終演 20:46

01, Fight the night
02, Taking Off
03, Prove
04, The Beginning
05, Make It Out Alive
06, Puppets Can't Control You
07, Liar
08, Delusion:All (Acoustic Version)
09, The Pilot </3 (Acoustic Version)
10, Tropical Therapy
11, 777 (YAO)
12, ありふれた世界の果てに (未発表曲) (YAO)
13, C.U.R.I.O.S.I.T.Y. (YAO)
14, ONE OK ROCK Medley
・Bombs Away
・Wonder
・Deeper Deeper
・69
・Start Again
・恋ノアイボウ心ノクピド
・Clock Strikes
15, +Matter
16, Stand Out Fit In
17, Wasted Nights

EN1, Dystopia
EN2, We are

【ONE OK ROCK】
Taka (Vocal)
Toru (Guitar / Chorus)
Ryuta (Bass / Chorus)
Tomoya (Drums / Chorus)

【YAO】
Awich (Rap)
CHICO CARLITO (Rap) (不在)
KAITO (from Paledusk) (Vocal)
DAIDAI (from Paledusk) (Guitar)
TSUBASA (from Paledusk) (Bass)
BOB (from Paledusk) (Drums)

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