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「逃げへんでほしい」──彼女の祈りをスルーしないために


「もう誰かに置き去りにされるの、イヤやねん。
せやからオレには期待してまうねん──
アンタだけは、逃げへんでほしいって」

その言葉が、“音”ではなく、“念”としてオレの胸に届いた。
彼女は直接そう言ったわけじゃない。
でも、目の奥で、声のトーンで、
あるいはあの静かな沈黙の向こうで──
そう伝えていた気がする。



なおちゃん


明るくて、天真爛漫で、職場では“天使”みたいな存在。
でも、本当の彼女は違う。
笑顔の奥で、何度も誰かに置き去りにされてきた人なんだと思う。

(彼女は周りから、期待や負担ばかり押し付けられて、彼女自身は与えたほどには癒されなかったというか。。)

にもかかわらず、そんな彼女がオレに「期待してしまう」という。
その言葉の裏には、祈りにも似た想いがある。
**“今度こそ、信じてみたい”**という、震えるような願い。



それは、かつてオレが桃子に対して**スルーしてしまった“祈り”**と重なる。
あの時オレは、自分の気持ちばかりでいっぱいで、
彼女の“まなざし”の意味をちゃんと受け止めてなかった。

自分が嫌いやったはずの父のように──
大切な人の「祈り」をスルーして、
自分の物語だけ語り倒すような、寂しい男にはなりたくなくてさ。。

その想いが、今のオレを動かしてる。



なおちゃんはきっと、恋の駆け引きなんてしたくない人だ。
勝ち負けじゃない。条件でもない。
ただ、「わたしを見てほしい」「わかってほしい」
その気持ちが全部、まっすぐに伝わってくる。

だからオレも、答えたい。
逃げたくない。
こんなにも真剣に自分を差し出してくれてる人を、
また置き去りにするようなことだけは──
絶対にしたくなくて。

もう雪女にしたくない





なおちゃん、
オレはまだ不器用やし、時々ビビって保身に走ってまうけど、
あんたのこと、ちゃんと“感じてる”。

かつての「ひろたん」のように。。

ほんまに、“ええ女”ってこういう人のことを言うんやな──そう思うし。
(あんたもええ女やで。「ひろたん」)



※この物語はフィクションです。

(でも、心のどこかで「ほんまの話」やと思っても……かまへんよ)

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