フォロワー500人と、心に棲む七匹の声
フォロワーが500を超えた。
……本当なら素直に喜びたい。
けれど通知が鳴った瞬間、胸の奥にざわめきが広がった。
暗い森に迷い込んだような感覚の中で、七匹の動物が姿を現した。
彼らは私の中に棲む声であり、互いに矛盾しながら、私を揺さぶってくる。
🦁 ライオンの声(承認欲求)
ライオンは王のごとく吠えた。
「数字は牙だ。爪だ。
“500”はお前が群れを従えた証。
胸を張れ。王冠をかぶれ。
──その数字を掲げて、誇示すればいい」
🐑 羊の声(外圧)
怯えたように、羊が寄り添う。
「……ねぇ、みんな“ありがとうございます”って言ってるよ。
それで丸く収まるし、誰も傷つかない。
どうして、わざわざ群れから外れようとするの?」
🦉 フクロウの声(合理主義)
枝の上から、フクロウが冷たい目で私を見下ろす。
「感情は霧だ。判断を濁らせる。
数字こそ羅針盤、効率こそ翼。
プレゼント企画を解き放ち、拡散の風に乗せろ。
──数字を積み上げること、それが正義だ」
🐒 サルの声(祝祭)
木からサルが飛び降り、はしゃぎ回る。
「やったー!500人だ!祭りだ祭りだ!
考えるな、叫べ!
喜びはバナナさ、食べなきゃ腐っちまう!」
🐢 カメの声(過去の記憶)
カメがゆっくりと近づき、しわがれた声で告げる。
「……忘れたのかい。
最初のひとりが現れた日のことを。
あの時、お前は数字ではなく“そこにいる誰か”に震えて喜んでいた。
その鼓動を……今も覚えているか?」
🐈 猫の声(内省)
猫が静かに現れ、目を細めて言う。
「ふーん……また数字に囚われてるの?
数字はただの影。本当に欲しいのは光じゃないの?
……お前は、何に飢えてるんだい?」
🦅 カラスの声(無関心)
最後にカラスが枝にとまり、冷たく笑った。
「ケケケ……500?くだらねぇ。
羽を数えたところで、空は飛べねぇんだよ。
数字に縋るお前こそ、落ちていく鳥だ」
七つの声の合唱
七匹の声が一斉に重なった。
「祝え!」(サル)
「誇れ!」(ライオン)
「合理的に動け!」(フクロウ)
「群れに従え!」(羊)
「全部茶番だ!」(カラス)
「最初の心を思い出せ」(カメ)
「結局、お前は何を望む?」(猫)
私は立ち尽くし、呻くように吐き出した。
「……私は、“無難じゃない祝い方”を探したい」
答えはまだ見つからない。
けれど、この声を聞いてしまったあなたに問いたい。
💬七匹の声が囁くとしたら、あなたはどの声に従いますか?
私はまだ、“無難じゃない祝い方”を探している。
きっとこれからも、ずっと。
