建設業界の「休み」が会社の評価を左右する?経審と働き方改革の今
今年のゴールデンウィーク、皆さんはどう過ごされましたか?私はカレンダー通りにお休みをいただいたのですが、ふと「建設現場の皆さんは今、どうされているのだろう?」と疑問に思いました。
実は今の建設業界において、「休み」は単なる休息の場ではなく、「会社の経営評価(点数)」に直結する非常に重要な要素となっています。
今回は、公共工事への参入に欠かせない「経営事項審査(経審)」において、労働環境がどう評価に結びつくのか、自分の勉強記録として整理してみます。
そもそも「経審」の点数はどう決まる?
建設業者が公共工事に入札するためには、この「経審」を受け、客観的な数値(P点)を算出してもらう必要があります。
P = 0.25(X1) + 0.15(X2) + 0.20(Y) + 0.25(Z) + 0.15(W)
この計算式は、以下の5つの指標を掛け合わせて構成されています。
X1(工事完成高): いわゆる「売上」。会社の規模を表します。
X2(自己資本・利払前税引前利益): 財務の厚みや、稼ぐ力を表します。
Y(経営状況分析): 支払能力や収益性など、財務諸表の健全性(※ここだけは登録分析機関が審査します)。
Z(技術力): 技術者の数や、元請としてどれだけ実績があるかを表します。
W(その他の審査項目): 社会貢献や労働環境。今回のテーマである「休み」や「働き方」はここに含まれます。
一見複雑な数式ですが、注目すべきは右側の「W(その他の審査項目)」です。近年、この項目において「働き方」への評価が非常に重視されるようになっています。
働き方改革が「加点」につながる項目
かつての建設業界は「工期優先」で休みが少ない傾向にありましたが、現在は「適切な就業環境を整えている会社」が高く評価される仕組みが整っています。
1. ワーク・ライフ・バランス(WLB)に関する認定
国が「働きやすい職場」として認定した企業には、経審で明確な加点が与えられます。
くるみん認定: 子育て支援への取り組み。
えるぼし認定: 女性の活躍推進。
ユースエール認定: 若者の採用・育成に優良な中小企業(点数アップの戦略として注目されています)。
2. 「週休2日」の実施実績
「4週8休」など、現場を定期的に閉所して休日を確保している実績が評価されます。かつての「日曜のみ休み」という慣習から脱却し、土日を含めた週休2日制を導入することが、受注力の強化につながる時代です。
3. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入
技能者の就業履歴や資格を蓄積する「CCUS」の活用も重要な評価対象です。現場へのカードリーダー設置や技能者の登録率など、業界全体の透明性を高める姿勢が点数に反映されます。
なぜ、ここまで「休み」が評価されるのか
背景にあるのは、深刻な「担い手不足」と、2024年4月から適用された「時間外労働の上限規制」です。
魅力ある労働環境を整えなければ、次世代の技術者は集まりません。国は経審という制度を通じて、企業の「ホワイト化」を後押しし、業界全体の持続可能性を高めようとしているのだと感じます。
最後に
今回、連休中の素朴な疑問から「経審」の加点項目を深掘りしましたが、建設業が今、まさに大きな転換期にあることを再認識しました。
経営者の方々にとって、現場の管理と並行してこうした複雑な制度に対応し、点数を維持・向上させるのは大変な労力です。
行政書士として、単に申請書を作成するだけでなく、「法令を遵守しながら、いかに会社の評価を高めるか」を共に考える良き伴走者でありたいと、改めて身が引き締まる思いです。
開業に向けて、より一層学びを深めていきたいと思います。
なお、建設キャリアアップシステム(CCUS)については、当事務所のブログにも整理してまとめています。よろしければご覧ください。
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