え?嘘でしょ?|レジ金の犯人にされた私
今思うと、意味が分からない話。
働いていた店で、
レジ金が合わなくなった。
金額は、
1万円。
千円札で10枚、足りないらしい。
私は派遣社員だった。
周りは、長く働いているパートさんたち。
30〜50代のお局さんたちが集まって、
店内はちょっとした騒ぎになった。
「どういうこと?」
「ありえないよね?」
そんな声が飛び交っていた。
私は少し離れたところで、
その様子を見ていた。
正直、
「数え間違いじゃない?」
くらいに思っていた。
騒ぎは1時間ほど続いた。
そして突然、
「お金、戻ってきた!」
と、また大騒ぎになった。
え?
戻ってきた?
どうやら、
誰かがあとから返金した、
という話になったらしい。
しかも、
「犯人は、この騒動を楽しんでいた」
なんて、変な噂まで出てきた。
意味が分からなかった。
ただの数え間違いか、
誰かの勘違いだろう。
完全に、
他人事だった。
——その時までは。
その日の帰り際、
私は呼び止められた。
「私か、あなたしか
できる人はいないんだけど」
そう言われた。
私か、あなたって……。
え?
私!?!!?
翌日、
派遣会社に状況を伝えた。
そして本人から、
こう言われた。
「昨日は気持ちが動転していて、
あんな言い方をしてしまったけど、
決してあなたを疑って言ったわけじゃないからね」
その瞬間、
私ははっきり分かった。
この人は、
謝れない人だ。
私は何も言わなかった。
ただ、
心の中で決めた。
契約は、きちんと全うする。
でも、
もうここには居ない。
1万円が合わなかったことより、
人がこんなにも簡単に、
立場の弱い人に
責任を向けることの方が、
ずっと怖かった。
今思うと、
あの時そう決められて、
本当によかった。
そして今では、
少し笑いながら
人に話せる出来事になっている。
当時はただ、
この一言しか浮かばなかった。
「え?嘘でしょ?」
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※この話は、「え?嘘でしょ?」シリーズのひとつです。
