俺的Game of The Year 2024
今年もOGOTY(Oreteki Game of the Year)がやってきました。早速栄えある入賞タイトルを発表したいと思います。なお、例によってジャンル分けと選考基準は完全に筆者個人の主観に基づいており、所属組織等は一切関係ございません。また、ネタバレを含む場合があるのでご了承ください。
Best of Social Issue Game:龍が如く8
2020年の『龍が如く7』、そして昨年の『龍が如く7外伝 名を消した男』に続く『龍が如く』シリーズ最新作。主人公は7から春日一番が続投しつつ、舞台はハワイに移り(もちろん異人町や神室町も引き続き登場)、パーティーメンバーに桐生ちゃんが加わるなど、着実にパワーアップしている。7をベースに改良されたバトルシステムや、ドンドコ島をはじめとするサブ要素の拡充もさることながら、やはり特筆すべきはそのシナリオと扱われている話題であろう。ゲーム上(あるいは『龍が如く』IP上)桐生ちゃんを弱く描く必要があるため、今作において桐生ちゃんが核廃棄物処理施設で被曝し、余命いくばくもない状態であることが明かされるのだが、これは2011年以来続く福島第一原発の廃炉作業などを想起させる描写であり、各種社会問題に切り込んでいるシリーズの中でも身近かつ特に暗い部類に入るものであるため、筆者は少し驚いた。物語自体は若干尻すぼみなきらいもあるが、問題提起(あるいは想起)としてはチャレンジングだったと評価できる。今後のタイトルでも、プレイヤーをドキッとさせるような切り込みを期待したい。
Best of "Exciting" Game:Buckshot Roulette
Mike Klubnikaによる個人製作の本作。ゲーム内容はいたってシンプル。ちょっぴり怪しげなディーラーとショットガンを使ったロシアンルーレットをするだけだ。だが、これが面白い。実弾と空砲の比率、彼我の残り体力、各種アイテムの機能と手持ちの状況……。与えられた情報は一見シンプルだが、勝負に集中しているといずれかの状況確認がおろそかになり、次にどんな一手を打つべきかわからなくなる……。あくまでも論理に頼るべきか、それとも正しく運試しをするか。重低音がかすかに響く暗い部屋でディーラーと相対していると、いつの間にか「ここで負けたら本当に死んでしまうのではないか」という緊張感に包まれる、そんなよくできたゲームだ。今ならマルチプレイモードもついてたった350円。買わない手はないネ。
Best of "Immersive" Game:Crime Scene Cleaner
Thief SimulatorやHouse Flipperなど、絶妙にニッチなシミュレータを大量に送り出しているポーランドのPlayWay S.A.による、「犯罪現場お掃除」シミュレータ。プレイ感としてはHouse Flipperに近く、殺人事件のあった現場をモップやスポンジ、時には高圧洗浄機などを駆使してキレイにし、配置の変わってしまった家具を元に戻し、遺体を片付けて、何事もなかったかのように原状回復する、というのがプレイヤーのお仕事だ。クリアするだけならそれほど難しくはなく、程よい作業感もあり、それでいて収集要素はかなり緻密な探索が要求されるため、何かに没頭したいときにうってつけと言えよう。プレイ中に「またハデにやりやがって……。もっとスマートに殺せってんだ」なんて悪態をつきたくなること請け合い。
Best of "Heroic Tale" Game:ユニコーンオーバーロード
『十三機兵防衛圏』でおなじみのヴァニラウェアとアトラスが送る、王道ファンタジーシミュレーション。舞台設定やシナリオは王道中の王道で、古式ゆかしい貴種流離譚そのものだ。国を追われた王子がわずかに残った側近たちと立ち上がり、世界中を旅しながら仲間を集め、強大な悪とそれに支配されてしまった祖国を奪還するという、ともすれば使い古しとも捉えられかねないストーリーラインだが、特筆すべきはそのゲーム進行スタイルにある。一部イベントフラグに縛られてはいるものの、基本的にはマップのどこから攻略しても良い、というのはシミュレーションとしては珍しいスタイルで、レベル差の無理を多少押してでも格上の陣取る領域を探索することができてしまうのである。ストーリーでは直接語られない部分を脳内補完しつつ、気ままに英雄譚を作り上げることができる傑作。個人的には幻想水滸伝Vを思い出して懐かしい気持ちになった。
Best of "Expected" Game:メタファー:リファンタジオ
『ペルソナ』シリーズや『女神転生』シリーズなどで知られるアトラスの最新作にして完全新規IP。ゲームシステムは同社の既存シリーズのものを踏襲しつつ、世界観を完全にファンタジーに切り替えてきた意欲作といえる。『ペルソナ』、『女神転生』、『世界樹の迷宮』各シリーズのエッセンスを取り入れたタイトルがまずいはずがなく、期待通りの面白さといったところだった。だが、せっかく新規IPを打ち立てるなら、もう少し独自性が欲しかったところだ。本作は良くも悪くも「ファンタジー版のより遊びやすくなったペルソナ」でしかなく、何なら「学園もの」というある種の尖りがあった『ペルソナ5』、『ペルソナ4』などに比べるとどうしても他のファンタジーRPGとの差別化がうまくいっておらず、"one of them"となってしまっている。実際、初動での100万本達成こそ速かったものの、そこから音沙汰がないことを見るに急激に勢いが減衰したものと思われる(時期尚早ともいえるセール実施により多少は伸びてはいそうだが)。大型タイトルの短期決戦化傾向は近年苛烈になっており、本作に限った話ではないとはいえ、より長く売れ続けるため、そしてIPを存続させるためにはもうひとひねり、すなわち期待を超える何かが欲しかったところだ。今後続編が出るのか、あるいは本作での経験を活かした既存シリーズの続編が出るのかはわからないが、決して実力のないスタジオではないので、「期待して」待っていようと思う。
Oreteki Game of the Year:Balatro
「時間を忘れる」とはこのゲームのためにある表現だろう。カナダの個人開発者LocalThunkによって生み出されたこの悪魔のゲームは、ポーカーの皮を被ったコンボデッキビルダーである。プレイヤーは手札からポーカーの役(ワンペア、フラッシュ、ストレートなど)を作り、各ラウンドで決められた基準値以上の点数を稼いでいく。ラウンドとラウンドに合間には通常のトランプのカードや特殊効果を持つカード「ジョーカー」、役ごとの基本点数を引き上げる「惑星カード」、様々な効果をカードやプレイヤーに付与する「タロット」などをショップで購入することができる。これらを有効活用して、ラウンドごとに大きくなる基準値を超えていく、というゲームだ。自分なりにコンボを組み立て、それがハマって数万、数十万ポイントを叩き出した時の快感は何ものにも代えがたい。また、このゲームはサイクルが短く、一度負けても最初からやり直すことは容易であるし、何なら「あと1ラウンドだけ…」が横行する。軽い気持ちで触ってみることをおすすめする。今ならモバイル版もあります。LocalThunkは本当に人類を滅ぼすつもりかもしれない。
これらの他、2024年にプレイしたゲームの中で特筆すべきものを下記に列挙する。
・Cult of the Lamb:ローグライクとしても、経営シミュとしてもよくできている。
・Manor Lords:個人開発のシミュレーションとしては最高峰ではないだろうか。荘園を眺めているだけでも楽しい。
・Thief Simulator 2:住人の目を欺き、各種盗人道具を駆使して金品を、家具を、車を盗め!
・Staffer Case:丁寧な日本語ローカライズとビターなストーリーライン。逆裁好きなら是非どうぞ。
・ELDEN RING Shadow of the Erdtree:れらーないつもありがとう。
・Total War: Napoleon:このタイミングでまさかのおま国解除。長谷川ナポレオンと一緒にどうぞ。
補遺:リマスター、リメイクの光と影
特にNintendo Directでの発表タイトルに多く見られた傾向だが、2024年だけを見てもリマスターやリメイクがますます盛んに作られるようになってきていることは明白だ。往年のゲーマーには嬉しい潮流だが、果たして業界全体を考えた時に健康的な流れといえるだろうか。例えば『FF7 Remake』や『FF7 Rebirth』ぐらい気合の入ったリメイクならある程度の新規層も狙えるだろうが(それでも『Rebirth』は苦戦しているようだが)、基本的には原作プレイ経験者、あるいはシリーズファンがメインターゲットになると思われるので、完全新規に拡大するのはなかなか難しそうだ。ゲームシステムを大きく変えず、グラフィック改善や機能追加に留まるリマスター(あるいは単なる移植)であれば尚更である。一方、これはコンシューマーゲーム全体の問題かもしれないが、特に大型タイトルではシリーズもの、新規IPともに「冒険」ができなくなってきている。開発費や開発年月の増大に伴い、会社としてリスクをとれなくなってきている、というのが主な理由のひとつであろう。とはいえリマスターやリメイクもそれなりのお金と時間はかかるわけで(特にリメイクは新作開発とそう変わらないだろう)、そういう意味では保守的になりすぎているともいえそうだ。いずれにせよ、各メーカーにはどんどん意欲作を出していってもらいたいものだ。
※本記事は以下の企画に参加しています。
