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料理嫌いな私の子育ての末路 エッセイ │ 料理 │家事│育児・子育て

結婚して9年になるが、
未だに好きになれない家事がある。

それは、料理だ。

9年も毎日のように台所に立っていれば、
そのうち慣れるのだと思っていた。

少しくらい手際がよくなって、 冷蔵庫を開けただけで、 献立が浮かぶようになるのだと思っていた。

けれど、9年経った今も、
私は毎日のように思っている。

今日、何を作ろう。

料理ができる人は、よく言う。

目分量で入れたらいいよ

目分量って、なに?

大さじ1なら、 大さじ1とはっきり書いてほしい。

塩少々なら、
その「少々」が一体どれ程のものなのか教えてほしい。

ひと回し。適量。味を見ながら。
きつね色になるまで。

何なん?!?!


料理のレシピには、
私には理解できない曖昧な言葉が多すぎる。

料理ができる人にとっては、
きっと当たり前の感覚なのだろう。

でも私にとって、
「これくらい」が一番難しい。

入れすぎたり、逆に入れなさすぎたりして
大混乱。

そして、 もう一つ分からない言葉がある。

冷蔵庫にあるもので作ればいいじゃん

冷蔵庫を開ける。

卵がある。

キャベツがある。

豚肉も少しある。

……で?

私に見えているのは、
卵とキャベツと豚肉だけだ。

食材は見えている。

でも、レシピという未来が見えない。

卵は卵。

キャベツはキャベツ。

豚肉は豚肉のまま、 冷蔵庫の中にいる。

誰かが決めてくれたら、
それを作るのに。

私は毎回そう思う。

「今日はカレーにしよう」

「今日は親子丼にしよう」

「今日は焼きそばにしよう」

誰かが決めてくれたら、 レシピを調べて、
材料をそろえて、 書いてある順番に作る。

それなら、まだできる。

作ることよりも、
何を作るかを決めることのほうが難しいのだ。

だから、

何でもいいよ

が、一番困る。

何でもいいと言われても、
その「何でも」の中から一つを選べない。

むしろ、何でもいいのなら、
あなたが決めてくれないだろうかと思う。

料理を始める前に、
献立を考えるだけで疲れてしまう。

そのくせ、
冷凍することだけは1人前に得意なのだ。

野菜を切っては冷凍。

お肉を小分けにして冷凍。

余ったご飯も冷凍。

とにかく切ったものを、
どんどん冷凍庫へ入れていく。

これで未来の私が楽になる

そう思いながら、 せっせと冷凍する。

そして、忘れる。


冷凍したことを忘れ、
また同じ食材を買ってくる。

気づけば冷凍庫の奥には、
化石のようになった食材たちが眠っている。

「あれ、これいつの?」

「これは鶏肉?」

「それとも豚肉?」

ラップ越しに眺めながら、
過去の自分の記憶をたどる。

もちろん、思い出せない。

ラベルを書こうと思っていたことも忘れ、

何を作るために冷凍したのかも忘れ、

いつ冷凍したのかも分からない。

未来の私を助けるはずだった食材が、
未来の私を悩ませている。

それでもまた、

「今度こそ忘れないようにしよう」

と思いながら、
新しい食材を冷凍庫へ入れていく。

そしてまた、 新しい化石を増やしていく。

休みの日は、
できるだけ外食へもっていこうとする。

外食が難しい日は、
冷凍食品にする。

我が家では、
それが暗黙のルールになりつつある。

最近では、
子どもまで気を遣うようになった。

「今日は外で食べる?」

「冷凍のおうどんでもいいよ」

まだ小さいのに、
料理嫌いな母の空気を読んでいる。

本来なら、
親が子どもに気を遣うはずなのに。

いつの間にか、 料理に関しては
子どもが私に気を遣っている。

なんとも情けない。

でも、 なんともありがたい。

そんな料理嫌いな私にも、 一つ悩みがある。

子どもが、
私の料理を食べてくれないことだ。

頑張って作った日に限って、

「いらない」

「これじゃない」

「保育園の味と全くおなじにして欲しい」

と言われる。

外食なら食べる。

冷凍食品なら喜ぶ。

私が作ったものは、
ほとんど口をつけてくれない日もある。

もちろん、 少しくらいはショックを受ける。

頑張って作った日は、
やっぱり食べてもらえたらうれしい。

きっと料理が好きなママだったら、

「せっかく作ったのに!」

と怒るのかもしれない。

時間をかけて作った料理を拒否されたら、
悲しくなったり、
腹が立ったりするのかもしれない。

でも私は、 もともと料理が嫌いだ。

だから子どもが食べなくても、

「ああ、そうだよね」

と、どこかで受け入れてしまう。

そりゃ、そうだよね。

私自身、
そんなに自信を持って食卓へ出しているわけでもない。

子どもに、

「おいしくない」

と言われても、

「うん、そうだよね」

と納得してしまう自分がいる。

少し寂しい。

でも、怒るより先に、
なんだか笑ってしまう。

ママは、料理が得意じゃないの。

献立を考えることもしんどい。

目分量も分からない。

冷蔵庫の中身から、
料理を生み出すこともできない。

冷凍した食材は、 化石になる。

休みの日は、
外食か冷凍食品へもっていこうとする。

とうとう子どもまで、
料理嫌いな私に気を遣うようになった。

そして、
たまに頑張って作っても食べてもらえない。

こうして並べてみると、 なかなかひどい。

結婚して9年。

料理上手なお母さん、
嫁には、 なれなかった。

料理を好きになることも、
今のところできていない。

でも、 外食でもいい。

冷凍食品でもいい。

お惣菜でもいい。

毎日手作りじゃなくてもいい。

家族が笑って、 一緒にご飯を食べられたなら、
それでいいのかもしれない。

私は料理上手ではないけれど、
子どもと一緒に笑うことはできる。

一緒に歌うこともできる。

一緒に遊ぶこともできる。

子どもの話を聞くこともできる。

母親としての価値は、
料理だけでは決まらない。と思いたい(笑)

そう自分に言い聞かせながら、

今日も私は、
冷凍庫に眠る化石を横目に、

「晩ごはん、どうしよう」

と考えている。

誰か、
今夜も我が家の献立を決めてくれないだろうか。

決めてくれたら、 それを作るのに(笑)

本日も素敵な一日を!

私もあなたも最強の運と心で。

日々是好日。


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