お題三つまとめ丼 (長靴を履いた男)(540字の小説)➕追伸➕ツッコミ
🎈お題①:「紫陽花駅の終電」
🐾お題②:「透明な長靴」
⏳お題③:「雨宿り喫茶店「しずく」
終電に乗って着いたところが紫陽花駅。
パープルの妖艶な光が僕の体を包み込む。
今回で二度目の紫陽花駅。
見上げれば、ぶどう色の空から
静かに堕ちてくる雨。
天使の涙のように優しく、
僕の身体に降りかかる。
傘を持たない僕の行き先は、
雨宿り喫茶店「しずく」
その店は閉店することもなく
お客様を待っている。
ガラスの扉を開けると、
出迎えてくれたのは、黒い猫。
瞼を閉じることも無く
僕を見つめている。
「いらっしゃいませ」
と、澄んだ声の女性がこの店のオーナー。
誰もが認める美人。
銀河鉄道のメーテルに似た儚さが
僕の心を掴んで離さない。
「お客さん、今日で二度目ですね」
と、僕の事を覚えていてくれた。
「そうなんです、二度目です。
僕の事を覚えてくれていたんだ。
嬉しいです」
「ええ、あなたの長靴を覚えていたんです。
不思議な長靴ですね。
透明で透けて見えるのが不思議で」
と、驚きながら美人が言う。
「そうです。この長靴は僕しか持ってないです。
ユニシロと言うお店で購入したのです。」
と、少し誇らし気に語った。
「シンデレラのガラスの靴みたいで素敵ですね。」
と、彼女が僕の長靴を覗き込む。
…待ってくれ!靴下が破けてるんだ…
と、言えない僕でした。
追伸
何故この男は、透明な長靴を履いているのに、
破れた靴下を履いているのか?
と言う疑問が残るが、これも男の狙いなのか?
そう、美人の心に強い印象を与える為の
作戦なのか?
長靴を履いているのに傘を持たないのも
この店に雨宿りがしたいからだ!
「この男、できる」
ツッコミ
「いや、ただの間抜けだろ」
