見出し画像

「龍神さまの忘れ傘」(続編)(ユニシロシリーズ)


ふらりと電車に乗って、降りた所が
ボーンストリートと言う名の商店街。
上にはアーケードが施こされ、街並みには
色んなお店が開店している。
どこも賑わいを見せ活気のある商店街だ。
どこからか、ミュージックが聞こえるが、
商店街にあるバーバーステイションと言う
ラジオ放送局からの発信みたいだ。
街並みを歩いて行くと、突き当たった所が
保根神社。
…ついでだから、お詣りでもするか…
と、思い周りを見渡すと、誰もいない。
これでは、ご利益もなさそうだ。
と、元の道を引き返した。
来た時には気がつかなかったのだが、
暗い感じお店がある。
入り口の窓から店内を見渡すと、
お客は誰も居ないみたいだ。
背の高い女性と目が合ったのだが、
ニコリともしない。
美人なのに、愛想がないなと思いつつも。
入り口の扉を開いてしまう。

「いらっしゃいませ」
と、低音の不気味な声が僕の耳に入ってくる。
どうも、あの女性の声らしい。

その時である、女性の後ろから小太り男が
満面の笑みを浮かべ
「いらっしゃいませ、お客さま。
何か御要りようですか?」
と、揉み手をしながらやって来た。

「別に、用ってことはないのですが、・_・〆
何故か、この店に引き込まれてしまったのです」

「引き込まれた?!
そうなんですか。よくお客様から言われます。
『すごく、魅力的なお店なので
勝手に足が動いてしまう』
と」

…魅力的だって?
こんなに閑散してる店なのにか!…
と、思いつつ店内の商品を見渡すと
不思議な物ばかりで珍しい物ばかりだ。

「このお店は、雑貨屋さんですか?
色んな品物がありますね」

「そうです、当店は雑貨店ですが、
他所のお店にはない商品を
数多く揃えております。
お客様、今回珍しい物が手に入ったので
ございます」
と、男の揉み手に力が入るのか、
顔に汗が吹き出ている。

案内されて、見せられた物が
不思議な和傘だった。
虹色に輝き煌びやかな和傘だ。
「何ですか?この傘は光ってますね。
LEDのランプがついているのですか?」

「お客様はお目が高いです。
この傘の良さがお解りになるのですね。
でも客様、この光はLEDではございません。
これはですね・_・」
と、小太り男は一旦、息を吸い込み吐き出して
そして、
「これはですね、お客様。
竜神さまが忘れていった傘なのです。」
「竜神さまが忘れていった傘?だって!」
…嘘くさい、誰が信じるか、こんな話…
と、思いつつも
「竜神さまって何ですか?
竜神さまに傘が必要なのですか?」
と、ツッコミを入れた。

「いや、これはあくまでも伝説です。
この傘を見ていただきたいのです。」
と、小太り男は傘を持ち上げて
ゆっくりとコマの様に回転させた。
「不思議でしょ、色が色んな色に変わって行くでしょ。
タネも仕掛けもありませんよ。
世にも珍しき傘なのです。
しかしです。この傘は使ってはいけないのです。
あくまでも、鑑賞用の傘なのです。
竜神さまはこの傘が濡れるのを嫌いました。
雨が降っても絶対に開けてはいけません。
開ければ、竜神さまのお怒りに触れるのです。
貴方に不幸が訪れますよ。
お分かりになりましたか?」

「分かりますが、雨の日に使え無ければ
傘の意味が無いですよ。
ただ、観ているだけなんてつまらないですよ」
と、僕は不満をもって言い返したのだが、
「これは、あくまでも鑑賞用でして、
持っていれば、竜神さまのご加護を受けられます。
どうでしょうか、この機会に購入されては。
商品はこれのみで、もう無いのですから、
今がチャンスですよ。」
と、強い眼差しで見つめてくる。
…これ一本しかないのか?高く無ければ・_・…
「おいくらでしょうか?」
「これは、本当に珍しき物でして、
本来ならば10万円は下らない物ですが・_・_〆」

と、男は僕の顔を覗き込んでくる
「10万もするのですか、じゃあ辞めて・_・」
「今回に限り、10万円のところを1万円
と、なっております。」
「10万円が1万円ですか?
ちょっと嘘くさいですので、遠慮しておきます。」
と、僕はこの店から出て行こうとしたとき、
あの女性が微笑みをくれた。
その女性の微笑みが印象に残るユニシロ店だった。

「店主さん、ダメじゃ無いですか?
10万円から、一気に1万円にしたら、
誰だって疑いますよ。
今度私が売りますから。良いですか」

松原千恵子に叱れてばかりの
湯煮史郎だ。
果たして、『竜神さまの忘れ傘』は
売れるのでしょうか?
次回また書きますね。

いいなと思ったら応援しよう!