⏳お題③:「小さなドラゴン」(ユニシロシリーズ)
真夜中なのに
湯煮史郎が瞳を輝かせ見つめているのは
星くず市場から買ってきた
小さなドラゴン。
このドラゴンは、
子犬ぐらいの大きさで、
羽が生えているのに飛ぶ事が出来きないのです
ドラゴンの顔はブルドックをもう少し、
イケメンにしたみたいで、愛嬌のある
親しみを感じさせるものでした。
体の色はエメダルドグリーンで、
一見すると雨ガエルみたいですが
カエルでは無くドラゴンなのです。
そのドラゴンは、不思議な事に、
人間の言葉を話す事ができるのです。
独身の湯煮史郎にとって、嬉しい事でした。
…これで、退屈することもないな。
なつくと仲良しなることだし。
だけど、イタズラ好きと
説明書には書いてあるけど…
と、少し不安を持っている湯煮史郎です。
その頃、松原千恵子のアパートでは、
「ご苦労様でした。
あの馬鹿男の相手をさせて・_・〆」
と、若い松原千恵子は老婆に労いの言葉を
掛けました。
「そんな事ないよ。楽しかったよ。
生まれて初めてだよ、
あんな煌びやかな世界を見たのは・_・〆
そうそう、千恵子さんにお土産を買ってきたよ。」
老婆は今買ってきたばかりの、
紙袋から青い鍵を出して、
「この鍵はね、心を開く鍵なんだって。
これを、千恵子さんに買ってきましたよ。
千恵子さん、これでもっと心を開いて、
他人と仲良くなれたら嬉しいだけど。」
と、老婆は若い松原千恵子の事を気遣っているのです。
「心を開く、誰に。私はそんな物に興味は無いわ。」
と、冷たく言うのですが、
…心を開く鍵なんて、でたらめに決まっているわ。
一応貰っておこう。後でユニシロ店で売れるかも
知れないわ…
と、青い鍵を受け取り、
バックの中にしまいこみました。
次の日、松原千恵子は
「店主さん、
昨日の残業代をいただきたいのですが^_^・_・」
と、店に着くなり遠慮なく言うのですが、
「昨日の残業代だって、
昨日君は来なかったではないか。
来たのは、お母さんだ。
お母さんとはそのような契約はしていないよ」
と、そっけなく言われてしまいます。
普段なら、店主に向かって強く反論する千恵子ですが
今日は何故か許してしまうのです。
不思議だと思いつつも、
あれほど毛嫌いしていた湯煮史郎を
寛容に受け止めてしまうのでした。
そして、それからとずっと
湯煮史郎からの理不尽な要求にも
反論もせず受け入れていくのです。
その結果、彼女は大きなストレスを抱えるのでした。
…何故、嫌な事は嫌って言えないのかなぁ?
特にあの男に対して、不思議だわ…
彼女は思い悩みながら、ふと気がつくのでした。
その頃、湯煮史郎は小さなドラゴンに
悩まされていました。
話し相手にはなってくれるのですが
湯煮史郎の気にしている事を露骨に言うのです。
特に彼の体型や容姿については、
歯に絹など着せずに
あからさまに言うのです。
それが事実であるからどうしようもないのです。
小さなドラゴンの言葉は暴力でもあり、
いじめでもありました。
イタズラ好きも日に日にエスカーレートしていきます。
最初の頃は、可愛いイタズラだったのですが、
最近のイタズラは度が過ぎています。
彼がお風呂に入っていたら盗撮して、
ネットに流たり、
トイレペーパーをわざと詰まらせて、
トイレを使わせない様にしたり、
またある時は湯煮史郎が寝ているのに
大きな音を立てて睡眠を邪魔する。
それはイタズラの範疇を超え、
意地悪な世界です。
だけど小さなドラゴンを捨てる訳にはいきません。
大きなストレスを抱えて彼は、
日常生活を送るのですが
彼のストレスの原因は
あの星くずの市場から買った物です。
松原千恵子も、ストレスの原因も
青い鍵でありました。
心を開く事で、自分の感情を抑え精神的な苦痛を
感じるならば、青い鍵は無用の長物。
二人の不幸の原因は星くずの市場に行った事であり
良かれと思い購入した物なのです。
「後悔先に立たず」と言う言葉を噛み締めて
二人は暮らしていくのでしょうか?
これからの二人の生活が
非常に気になるのですが、
今回は此処までのお話とさせていただきます。
そう言えば
後悔先に立たずの似た言葉で
今回先立たずと言うのがありましたね。
