「お地蔵様の井戸端会議」(1015字の小説)
道端で鎮座しているのは、お地蔵様。
今日は年に一度のお地蔵様の慰安会です。
全国から集められたお地蔵様を
井戸の水で洗って綺麗にします。
一年一度の行水です。
さてさて、お地蔵様の井戸端会議の始まりです。
「最近、不景気でお供え物が少なくなったなぁ」
「そうそう、僕の所なんか年に二度だよ、
お供え物があるのは、お彼岸だけだよ」
「それとさ〜、お供え物が少ないのに
お願い事だけをいっぱいしてくるね」
「そうそう、僕達に頼まれても何も出来ないのにね」
「そうだよ、僕達は神様じゃないんだよ。
仏様でもないし、唯の石の地蔵だよ」
「そうそう、僕たちは石の人形みたいな物だよ」
「神様だって、仏様だって人間の願い事など
聞いてくれんでしょう」
と、一番若い地蔵様が大きな声で言った。
「しっ、黙って!そんな言葉、
神様に聞こえたらまずいよ。
叱られるよ。
神様はお賽銭が欲しいだから、
そんな事を言ったらダメだよ」
「そうだよ、仏様だってお布施が欲しいだからさ
そんな事を言うもんじゃないよ」
と、一番若い地蔵様は年配者に、たしなめられるが
「だって、本当の事だよ。
人間は直ぐに神様や仏様に願いを掛けては
他人任せだ!
そんな事では人間の進歩なんてないよ。」
と、息巻いているのだ。
「だったら人間はどうすれば良いんだよ」
と、もうひとつの地蔵が聞いてくる
「他人任せだと、何にも変わらないよ。
自らの行動で変えていかなければ
何も変える事ができないよ。
人間は他の動物とは違い
脳が進化したんだから
諦めないで自らの力と行動で未来を
切り開いて行かないとダメだよ」
「君は若いのに良い事を言うね。
そうだな、人間は神や仏に頼る事なく
自分の力を発揮しないとダメだな」
「聞いた所によると、日本の政治を変える為に
一人で立ち上がった漢がいるそうだよ。
日本の民衆を蔑ろにする政治家を相手に
一人で闘っているらしいよ。
みんなから虐められても
怯まないで信念を貫く漢らしいよ」
「そうなのか、そんなすごい勇敢な漢がいるのか。
人間も捨てたもんじゃないな。
で、その漢どうしたの?
頑張ってやってるの」
「頑張ってやっていたんだけど、
無理が祟って病気になっちゃたんだ。
本当に神も仏もあったもんじゃないよ。」
「そうだな、神も仏も無情だなぁ。
本当にいるのか神や仏は?」
「居ないよ、お金を巻き上げるだけさ」
「あっ、どこかの教会と同じだ。
どこだっけ、あの壺を売る教会は。
確か、壺市早苗だったかな」
「あれは、トークンだよ」
と、井戸端でトークする地蔵達。
