風まかせ文芸部参加小説[扉](3分で読める小説)
風まかせ文芸部のふわっとことばあそび[扉]に
参加させていただきます。
扉、なんの変哲も無い扉。
そんな扉が並んでいる。
周りは闇に包まれているのに、
何故こんなところに扉があるのか?
扉には何やら文字が書いてある。
暗闇の中じっと目をこらし見ると、
[怒り]とある。
…怒り…って何?怒る事か!
隣の扉には、[貪り]とある。
…貪りって、飽きる事の無い欲か!
またその隣の扉には[愚劣]
…愚劣って愚かな事だろう!…
その隣には[修羅]
…何だろう、修羅って醜い争いって事?…
「怖い言葉ばかり並んでいるな。
こちらにもあるぞ、何だこの扉は?」
誰も居ないのに僕はつぶやく
こちらの扉には[声聞]とある
…声聞、声を聞く事か?
何かな声を聞くって?…
隣には[縁覚]そしてその隣には[菩薩]
何だか、訳の解らない言葉ばかりだ。
全部で8枚の扉が並列に並んでいたのだが、
突然僕を中心に扉が動き出した。
…何だ!この扉は移動できるのか?…
僕は扉にとり囲まれてしまった。
何処に行く事もできない。
「どうしよう?身動きできない。」
扉を開けて出ていきたいが、
扉には取っ手が無い。
どの様にしたら開くのかが解らない。
すると、突然一つの扉が自動で開いた。
…これは自動ドアか?…
と、思っていたら僕は掃除機で吸われるかの様に
吸い取られてしまう。
この扉は[修羅]
僕、幽体離脱しているのか?!
僕が僕を見ている。
…いま僕は喧嘩の真っ最中だ。喧嘩と言っても口喧嘩。…
口汚く相手を罵り見下している。
訳の解らぬまま、僕は違う扉の中に吸い込まれた。
それは[怒り]の扉だった。
…僕は怒りに任せて、相手を殴っている!…
そして、次に開いた扉は[貪り]
…僕は他人の物を奪い取っている…
何だ?!この姿は!俺は犯罪者か?
やるせない想いが続くが、僕が僕を観ているなんて
そんな事が現実にあるわけが無い。
きっとこれは夢に違いない。
だが、僕は犯罪者となって牢獄に入れられた。
開いた扉は[愚劣]
愚かな行動をした僕の居場所か?
悩み苦しむ僕に、次に開いた扉は[声聞]だった。
僕は今までの行いを見つめ直した
一人静かに反省していた。
そして、気がつく。
私は、自分だけ良ければ良いと絶えず思っていた。
自分さえ良ければ良い。
マイファーストだった。
そんな人間は嫌われて当然。
この牢獄を出たら、私心を捨て人のお役に立とう。
いつの間にか僕のいる扉は[縁覚]に変わっていた。
牢獄を出た私は、ボランティアの活動に参加。
人が変わったと多くの人から言われた。
だが、これからは人の為に尽くす人間となる決意は
絶対に変えない。
僕の心の扉は[菩薩]が開いている。
決して他の扉に入る事も無く、
いつまでもこの扉を開き、他の扉は封印しておこう。
