曼珠沙華は恋をする #毎週ショートショートnote
宵闇が迫る刻限。
荒くれ者で有名だった三太が高手小手に縛られ、曼珠沙華の咲き誇る土手を引きずられていた。三太の傍若無人ぶりに手を焼いた村の衆が、代官所に訴え出ることにしたのだ。
その提灯行列の前に、一人の女が立ちはだかった。三太をここに置いていけと言う。
女をはねのけると、また同じ顔の女が現れた。
それも、次々と。
延々と同じ顔の女が増え続けていく。
恐慌を来たした男たちは、三太を置き去りにして転げるように逃げ去った。
「曼珠沙華が化けて出た」
そんな噂が広がり、三太は行方知れずとなってしまった。
時間と共に噂も三太も忘れ去られた頃、畑から戻って来た男たちがあの土手で三太を見かけた。
なにやら恍惚の表情で独り言を呟きながら、せっせと曼珠沙華の手入れをしていたらしい。
「ありゃ、魅入られたな。」
話を聞いて様子を見に来た土地の古老がそう呟いた。
曼珠沙華。
天上四花の一つ。
「見る者の心をやさしくし、罪深き人を救う花」
と言われている。
本文407文字
僭越ながら、たらはかに様の「毎ショ」に初めて投稿させていただきます。
お題は「曼珠沙華は恋をする」。
ちょっとホラー味持たせつつ、昔話的なテイストでお届けしております。
ご笑納くださいませ。。。
併せてPJ様の企画「幸手権現堂秋祭り」も含めた、ダブルエントリーとなります。
こちらもよろしくどうぞ。。。
#毎週ショートショートnote
#曼殊沙華は恋をする
#幸手権現堂秋祭り
おまけ
裏お題「駅で鯛を釣る」

朝の通勤ラッシュで込み合う駅のホーム。
スーツ姿の男が、釣り竿を構えていた。
手書きの「本日も鯛、絶好調!」の看板まで携えて。
通勤客は目をそらしつつも、気になって仕方がない。
「駅で魚なんて釣れるかよ…」
若者がつぶやいた瞬間、男の竿がしなった。
「来た!」
男が叫ぶや否や、見事な鯛が空中を舞った。
驚く声と、拍手が巻き起こる。
その様子に気が付いた駅員が駆け寄ってきた。
「駅で鯛を釣ったんですか!?」
男は得意げに答える。
「だってここは、『成増駅』でしょう?」
「そうですが…それが何か?」
「成るといえば『と金』。つまり『成ると』。鳴門と言えばあなた、鯛じゃないですか!」
『そんなバカな』と、誰もが思った。
だが、同じようにホームに釣り糸を垂らすと、面白いように鯛が釣れる。
翌日からホームは釣り人で満員。
乗客は鯛を抱えて出社する始末。
ニュースが流れた。
「新たな観光名所誕生。鯛が釣れる駅、乗車率より漁獲率が高い模様」
本文406文字
「おまけ」なんで、いろいろ大目に見て下さい。。。
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